幽幻會社 夢現堂

Levi

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妖怪大集合

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 そんな感じでワタワタワーワーしていると、また入口のドアの開く音がしました。
 そこには美容三人衆こと、黒髪切くろかみきりさん、毛倡妓けじょうろうさん、青女房あおにょうぼうさんが立っていました。立ち姿が美しくてかっこいいのですが。
 その三人衆の後ろには、以前お世話になった頬撫ほおなでさんと、見たことのない女性がいました。

「百合ちゃん久しぶりー!」

 皆さん手を振りながら、キャーキャー言いながら入って来ます。羨ましいくらい女子力が高いです。
 そんな黒髪切くろかみきりさんがハイタッチを求めて来たので、陽キャのような行動に慣れない私はおずおずとハイタッチを返しました。
 するととてつもない笑顔で黒髪切くろかみきりさんが口を開きます。

「あのさ、今回の企画が面白そうだから、あたしも毛倡妓けじょうろうも仕事辞めて来ちゃった。一緒に働きたくてさ」

 は!? えー!? 黒髪切くろかみきりさん、マジっすか!?

「前に会った時にこの計画を聞いて、段々とうずうずしちゃって」

 毛倡妓けじょうろうさん! 本当にありがたいです!

「あたしはメインはエステに常駐するけど、手が空いてるときは美容室にも手伝いに行くわ」

 ああ! 青女房あおにょうぼうさん! めちゃくちゃ頼もしいです!

「百合ちゃん、今日は撫でるの我慢するから、後でいっぱい触らせてね?」

 頬撫ほおなでさん! はーい、分かりました!

「あとね、もう一人別の頬撫でが一緒に働きたいって言ってたんだけど、今日はどうしても用事があって来られないみたいなの。ごめんなさいって言ってた」

 ん? じゃあこの見知らぬ女性はどちら様?

「あの……初めまして……スネ子ちゃんから紹介を受けた人型すねこすりです……まだ誕生してそんなに経ってなくて、ご迷惑をおかけするかと思いますがよろしくお願いします……」

 擬人化すねこすりキター! って、スネ子ちゃん! いつの間にコンタクト取ってたんですか!?

「ワシですら初めて見たぞ!」

 興奮気味のぬんさんが話しかけると、恐縮しきったようにガチガチに緊張していました。

「かー! 懐かしい顔がたくさんだな! 女三人寄ればかしましいとは言うが……いっぱいいたら騒々しいな」

 サングラスをクイッと上げながら鬼塚さんが女子たちに近寄ります。

「小鬼じゃないか! 相変わらず小さいねぇ」

 毛倡妓けじょうろうさんがクックと笑いながら言えば。

「小さいって言うな! あと俺っちの事はしょうちゃんって呼びやがれ!」

「しょうちゃんってガラじゃないだろ? 相変わらず強烈なパンチパーマだね」

 鬼塚さんに対して、黒髪切くろかみきりさんまで強烈なパンチパーマって言ってるし。

「お前らこれは天然物だって知ってんだろ!?」

 えー!? 天然パーマのパンチパーマ!? そんなことある!?

「あたしのメイクで善人顔にしてやろうか~?」

 そこに青女房《あおにょうぼう》さんも参戦です。

「見るからに善人顔だろが!? このつぶらな瞳が目に入らねぇのか!? お前らの目ん玉はどうなってやがるんだ!?」

 はい、目だけは本当にキラッキラしてます。目だけは。

 もうそのやり取りが面白くて面白くて。爆笑していたら鬼塚さんに不思議そうな顔で聞かれました。

「姉ちゃん、何がそんなにおかしいんだ?」

「いや、皆さん仲が良いなと思いまして」

 先ほどのぬんさんのように、笑い涙を拭いながら答えれば。

「俺っちコイツらにこんなにボロクソに言われてるのに!?」

 と心底驚かれました。ふふふっと笑って誤魔化しましたが、仲が良くなきゃ本当のケンカになってますもんね。

 ぬんさんたちも含めてワイワイとしていると、また入口から誰かが入って来ました。

「大変申し訳ございません。一分も遅刻してしまいました。チーム猫又、全員揃っております」

 足音も物音も立てずに最初に入って来た、パッツン前髪で黒髪ロングの真面目そうな女性が深々と頭を下げますが、後ろの皆さんはだいぶゼーハーしています。しかも全員リュックを背負っています。
 というか、チーム猫又??

「……に……二足歩行で走るのに慣れてなくて、途中で転んだにゃ……」

 ボブで茶色い髪の、人懐っこい感じの女の子が自分の体のあちこちをさすっています。

「大丈夫ですか? 怪我は?」

 と咄嗟に声をかければ。

「にゃ!? 噂の百合ちゃんにゃ? 噂どおり優しいにゃ!」

 そう言いながらタタタッと駆け寄って来て、ギューッと私に抱きついて来ました。あまりの可愛らしさに、私、危うく自分の名前にちなんだ百合百合した世界に飛び込みそうになりました……。ヤバス。
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