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妖怪大集合
⑤
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何を忘れてるのかも思い出せないことにモヤモヤします。
「百合ちゃん、ちょっといい?」
モヤモヤしつつボーッとしてると黒髪切りさんに声をかけられました。
「あのねエステについてなんだけど、場所は美容室の上でも問題はないんだけど、ちょっと狭いと思うんだ。ベッドとか置くしね。だから、この建物の二階にエステをやった方がいいと思うんだ」
そう言いながら上を指差す黒髪切りさんです。
「小鬼、可能だよね?」
と鬼塚さんに聞けば。
「可能もなにも、俺っちもそう思ってさっきから図面を書いている」
そう言って手書きのササッと書いた図面を見せてもらいました。
「姉ちゃん、ここは俺っちに任せな。最高の店にしてやるから」
カッコイイ! 残念ながらセリフだけですが。
「あの……猫耳喫茶は、個人的に大正ロマンな内装にしたいんですが……」
恐る恐る自分の希望を口にしてみました。
「大正ロマン?」
「はい……ぬんさんのお屋敷がそうなんですが、すごく落ち着くんですよね。今のところお年寄りをメインターゲットにしてますが、今どきの感じのお店だとお年寄りも取っ付きにくいかなって……。でもニートだった私が言うのもアレですが、老若男女問わず大正ロマンな店内って落ち着くと思うんですよ」
「そっか……面白いな。俺っちの力を見せてやるよ」
不敵に笑う鬼塚さん……ヒットマンにしか見えませんが……。
その時、またまた入口の開く音がしました。
「ちぃーす! 寝坊してすんませーん……って、何!? カワイイ女の子ばっかじゃん!」
そうだった。コ イ ツ の 存 在 忘 れ て た 。
現れたのは、既に私にすらコイツ呼ばわりされてる小滝くん。あの小滝さんの孫とは思えない残念人間。
今日も上下真っ白衣装で、一番入口に近い場所にいたジャコちゃんとコハダさんを早速ナンパしてます……。
「小僧! ワシは十二時に集合と言ったはずじゃが!?」
少々キレ気味のぬんさん。ただ私は、『忘れとったが……』とボソッと呟いたのを聞き逃しませんでしたよ。私も存在そのものを忘れてましたし。てか、堂々と遅刻してナンパするなよ……。
「ち……ちぃーす……なんかぁじいちゃんが妖怪がどうたら言ってたんで~、ミーチューブでゲゲゲなアニメを見てたら朝になったってゆーか……」
また前髪を高速で触る小滝くん。うん、その仕草にイラッとする。
「理由になっとらん!」
ぬんさんの一喝が響きます。他の妖怪さんたちも、みんな険しい表情で小滝くんを見ています。
そんな中、ズイっと前に出たのは鬼塚さん。
「おいコラ小僧。バカにしてんのか!? 挨拶も出来んのか!? 謝罪も出来んのか!? しかもその服はなんだ!? 働きに来たんじゃねーのか!?」
ドスの効いた怒りはまさに鬼の咆哮でした。めちゃくちゃ怖い……。
「で、姉ちゃん。この小僧何なの? 誰?」
私に振らないでくださいよ! って知らずにキレたのかー! ぬんさんとユキさんが掻い摘んで説明します。
「あぁん!? 姉ちゃんにンなこと言ったのか!?」
あの時のことを聞いて、またキレた鬼塚さんに対して小滝くんが返した言葉に、まさに時間が止まりました。
「……いや、ブスは罪ってゆーか……生きてる意味ないってゆーか……男だったらみんなそう思ってると……」
小滝くんがそこまで言った瞬間、目にも留まらぬ速さで小滝くんの前に移動した鬼塚さんは思いっきり小滝くんの顔面を殴り、その衝動で小滝くんは吹っ飛びます。
「「ぼ、暴力はダメです!」」
あまりのことに、私と鈴木さんが止めに入りました。
「ずいぶん手加減したねぇ小鬼」
毛倡妓さんは涼し気な顔でそう言いますが、これは一大事ですよ!
私と鈴木さんは鬼塚さんを止めようとその体にしがみつきますが、構わず私たちを引きずって小滝くんの所に歩く鬼塚さん。さすがは鬼……。
「おいコラ! 聞いてんのか!?」
そう言い胸ぐらを掴んで無理やり起こします。起こされた小滝くんは泣いていました。
「……親にも叩かれたことないのに……」
エッグエッグと泣いていますが……そこか、泣くとこは。
「あのなぁ! んなこと言われた人の気持ち、考えたことあんのか!? この二人は人間だ。それ以外は妖怪だ。お前なんてどうなろうが、みんな知ったこっちゃない。
なのにあんなヒデェこと言われても、姉ちゃんは俺っちを止めようとしている。何も思わないのか!?」
鬼塚さんは叫びました。
「……は? ……え? ……妖怪とか……ぷっ」
が、鬼塚さんの叫びは彼には届かなかったようで、小滝くんは泣きながらもバカにしたような笑いをこぼしました。
すると鬼塚さんはサングラスを外して作業着の胸ポケットに入れ、その作業着を脱いで私に渡しました。
「姉ちゃん、ちょっと離れてな」
そう言われ、不穏な空気を感じた私と鈴木さんは一歩後退。
一瞬振り向くと、ぬんさんは外に向かって手をかざしていましたが、どうしたらいいか分からない私たちはオロオロしたまま鬼塚さんを見つめます。
「ぬんさん、ありがとよ」
ぬんさんにそうお礼を言うと、鬼塚さんの頭からは角が生え、腕は人では有り得ないくらい太くなり爪も伸び、背中の筋肉も盛り上がりました……。
何よりも変わったのは、体の色でした。人間らしい肌の色ではなく、その色は赤……。
変わり果てた鬼塚さんの姿を真正面から見て「ひっ!」と、小滝くんが小さく声を漏らしました。
「百合ちゃん、ちょっといい?」
モヤモヤしつつボーッとしてると黒髪切りさんに声をかけられました。
「あのねエステについてなんだけど、場所は美容室の上でも問題はないんだけど、ちょっと狭いと思うんだ。ベッドとか置くしね。だから、この建物の二階にエステをやった方がいいと思うんだ」
そう言いながら上を指差す黒髪切りさんです。
「小鬼、可能だよね?」
と鬼塚さんに聞けば。
「可能もなにも、俺っちもそう思ってさっきから図面を書いている」
そう言って手書きのササッと書いた図面を見せてもらいました。
「姉ちゃん、ここは俺っちに任せな。最高の店にしてやるから」
カッコイイ! 残念ながらセリフだけですが。
「あの……猫耳喫茶は、個人的に大正ロマンな内装にしたいんですが……」
恐る恐る自分の希望を口にしてみました。
「大正ロマン?」
「はい……ぬんさんのお屋敷がそうなんですが、すごく落ち着くんですよね。今のところお年寄りをメインターゲットにしてますが、今どきの感じのお店だとお年寄りも取っ付きにくいかなって……。でもニートだった私が言うのもアレですが、老若男女問わず大正ロマンな店内って落ち着くと思うんですよ」
「そっか……面白いな。俺っちの力を見せてやるよ」
不敵に笑う鬼塚さん……ヒットマンにしか見えませんが……。
その時、またまた入口の開く音がしました。
「ちぃーす! 寝坊してすんませーん……って、何!? カワイイ女の子ばっかじゃん!」
そうだった。コ イ ツ の 存 在 忘 れ て た 。
現れたのは、既に私にすらコイツ呼ばわりされてる小滝くん。あの小滝さんの孫とは思えない残念人間。
今日も上下真っ白衣装で、一番入口に近い場所にいたジャコちゃんとコハダさんを早速ナンパしてます……。
「小僧! ワシは十二時に集合と言ったはずじゃが!?」
少々キレ気味のぬんさん。ただ私は、『忘れとったが……』とボソッと呟いたのを聞き逃しませんでしたよ。私も存在そのものを忘れてましたし。てか、堂々と遅刻してナンパするなよ……。
「ち……ちぃーす……なんかぁじいちゃんが妖怪がどうたら言ってたんで~、ミーチューブでゲゲゲなアニメを見てたら朝になったってゆーか……」
また前髪を高速で触る小滝くん。うん、その仕草にイラッとする。
「理由になっとらん!」
ぬんさんの一喝が響きます。他の妖怪さんたちも、みんな険しい表情で小滝くんを見ています。
そんな中、ズイっと前に出たのは鬼塚さん。
「おいコラ小僧。バカにしてんのか!? 挨拶も出来んのか!? 謝罪も出来んのか!? しかもその服はなんだ!? 働きに来たんじゃねーのか!?」
ドスの効いた怒りはまさに鬼の咆哮でした。めちゃくちゃ怖い……。
「で、姉ちゃん。この小僧何なの? 誰?」
私に振らないでくださいよ! って知らずにキレたのかー! ぬんさんとユキさんが掻い摘んで説明します。
「あぁん!? 姉ちゃんにンなこと言ったのか!?」
あの時のことを聞いて、またキレた鬼塚さんに対して小滝くんが返した言葉に、まさに時間が止まりました。
「……いや、ブスは罪ってゆーか……生きてる意味ないってゆーか……男だったらみんなそう思ってると……」
小滝くんがそこまで言った瞬間、目にも留まらぬ速さで小滝くんの前に移動した鬼塚さんは思いっきり小滝くんの顔面を殴り、その衝動で小滝くんは吹っ飛びます。
「「ぼ、暴力はダメです!」」
あまりのことに、私と鈴木さんが止めに入りました。
「ずいぶん手加減したねぇ小鬼」
毛倡妓さんは涼し気な顔でそう言いますが、これは一大事ですよ!
私と鈴木さんは鬼塚さんを止めようとその体にしがみつきますが、構わず私たちを引きずって小滝くんの所に歩く鬼塚さん。さすがは鬼……。
「おいコラ! 聞いてんのか!?」
そう言い胸ぐらを掴んで無理やり起こします。起こされた小滝くんは泣いていました。
「……親にも叩かれたことないのに……」
エッグエッグと泣いていますが……そこか、泣くとこは。
「あのなぁ! んなこと言われた人の気持ち、考えたことあんのか!? この二人は人間だ。それ以外は妖怪だ。お前なんてどうなろうが、みんな知ったこっちゃない。
なのにあんなヒデェこと言われても、姉ちゃんは俺っちを止めようとしている。何も思わないのか!?」
鬼塚さんは叫びました。
「……は? ……え? ……妖怪とか……ぷっ」
が、鬼塚さんの叫びは彼には届かなかったようで、小滝くんは泣きながらもバカにしたような笑いをこぼしました。
すると鬼塚さんはサングラスを外して作業着の胸ポケットに入れ、その作業着を脱いで私に渡しました。
「姉ちゃん、ちょっと離れてな」
そう言われ、不穏な空気を感じた私と鈴木さんは一歩後退。
一瞬振り向くと、ぬんさんは外に向かって手をかざしていましたが、どうしたらいいか分からない私たちはオロオロしたまま鬼塚さんを見つめます。
「ぬんさん、ありがとよ」
ぬんさんにそうお礼を言うと、鬼塚さんの頭からは角が生え、腕は人では有り得ないくらい太くなり爪も伸び、背中の筋肉も盛り上がりました……。
何よりも変わったのは、体の色でした。人間らしい肌の色ではなく、その色は赤……。
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