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ご挨拶
④
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お二人は何のソシャゲやってたんだろう? とか思っているうちに、商店街の理事長さんがいらっしゃるという、噂の骨董屋さんの前に到着しました。
「ん?」
「おや?」
ぬんさんとユキさんが、何かを探っているような仕草と顔つきになりました。
「どうしたんですか?」
お二人に小声で聞いてみたのですが、何ですかこの緊張感は……。
「いや……まずは入ってみようかの……」
ぬんさんは警戒するように、店の入り口のドアに手をかけました。垢舐めくん事件もありましたし、また何かあるんでしょうか?
ちなみにこのお店、ショーウィンドウとでも言えばいいのでしょうか? 商品なのかオブジェなのかよく分からない壷や、どこの国のものなのかも判別できないような怪しげでカラフルな、バカでかいお面のような物を飾ってあります。
……統一性がないのが素敵です(褒め言葉)
無言でぬんさんが先に入り、続いてユキさん、私と続きます。入り口のドアが閉まると同時に、店内の売り物と思われる物の一部がガタガタと揺れだしました。
「え!? 地震ですか!?」
パニックになっていると、お店の奥からのんきな声が聞こえて来ました。
「おー。お前たちー、今日は一段と元気だなー。元気があるのは良いことだー。はっはっはー」
は?
「地震じゃない……? あの……」
ぬんさんもユキさんも返答してくれず、一人で喋る私に気付いたようです。
「おー。お客さんかのー。いらっしゃいー……い?」
売り物を見ながら話していた結構ヨボヨボなおじいちゃんですが、間延びした『いらっしゃいー』を言いながらこちらを向くと、疑問形のまま固まりました。
「……失礼だがー、その丈夫そうなお嬢さんはー、人間で間違いないなー……?」
おじいちゃんはプルプルしながら私を見ます。丈夫そう……うん、三人の中で一番肥えて丈夫そうですが何か? 寝肥りに間違えられましたが何か?
「丈夫な人間で……」
「そちらはー、名のある妖怪ではーなかろうかー?」
喋ってる途中で被せられたー! しかもサラッと妖怪とか言ってるー!
「いやはやご老人、ワシらに気付くとはなかなかやりおるのう」
さっきまでピリピリしていたぬんさんはようやく言葉を発し、しかもなぜか笑顔です。
何がどうなってるの? と思ってたら、また売り物の一部がガタガタと動きます。正確には跳ねてるような動きです。
「……ユキさん? これ、ポルターガイストってやつですか……?」
見える妖怪は大丈夫ですが、見えないオバケが怖くて小声でユキさんに聞きました。
「違う。ここにあるのは九十九神だな」
「九十九神ってあの!?」
長年使っていた物に魂が宿るというあのですか!?
おじいちゃんはプルプルしていたかと思うと、今度はポロポロと泣き出しました。そしてそれを見てオロオロする私です。
「この子たちがー、こんなに喜ぶなんてー、もしかしてーもしかしてー……」
おじいちゃんは涙声で話していますが、どうやら感極まっているようです。
「そうじゃ、総大将……と言えば分かるかの?」
ニヤリと笑うぬんさん、カッコイー! てかおじいちゃん、大丈夫かな? と思ったら……。
「ついに! ついに夢が叶った! 九十九神を集めていれば、いつか出会えると思って……長年の努力が報われた!」
……あれ? おじいちゃんの口調が変わった……。
「儂はな、子供の頃から妖怪はいると、いつか会えると思っていたんだ! 今日やっと……夢が叶った!」
……鈴木さんとはまた違う意味で危なかったので、とりあえず落ち着かせて座らせて、話しを聞いてみることにしました。
妖怪に会いたくて仕方のなかったおじいちゃんは、ある日一つの九十九神に出会ったそうで。九十九神を集めたら、いつか妖怪が集まって来て、夢である百鬼夜行を見れるのではと思い、勢いで骨董屋を始めたそうです。
そのうち本格的な商店街を作る話が出始め、お店も年齢も年長者の、この妖怪好きなおじいちゃんが理事長となり、理事長という権力を使い無理やり『ようかい商店街』と名付けたそうです。
職権乱用とはまさにこのことですね。
「儂はー、普段は駄目なジジイだがー、好きな事になるとー、早口になるんじゃー」
口調がゆっくりになってきた……落ち着いてきたようです。
「ちなみにー、そちらのべっぴんさんはー、なんの妖怪かねー?」
ふとユキさんを見ると、ユキさんもニヤリと不敵に笑いました。もしかしてヤル気満々?
ユキさんは短くフッと息を吐くと、空中に手の平サイズの氷の塊が出来ました。さらにフッと息を吐くともう一つ氷の塊が出来ます。
それを掴んでお手玉のようにしながら息を吐くと、氷のお手玉が増えていきます! 最後には、合計五つの氷でお手玉をするユキさん! すごいです!
……と思っていると、空中で氷のお手玉が静止しました。そしてユキさんが指パッチンをすると、フワッと雪に変わり、床に落ちる寸前にスターダストのようにキラキラと光りながら消えていきました。
「ユキさんすごーい! カッコイイ!」
滅多に見れないであろうユキさんのやる気モードです! 私は手が取れそうなほど拍手していますが……ん? おじいちゃん静かだぞ?
「……雪女じゃー!」
おじいちゃんの目から、生命の危機になりそうなくらいの涙が……もう洪水レベルです……。
「いつお迎えが来てもいいと思っていたが……まだまだ死ねん! この店もまだまだ儂がやる!」
魂の叫びと言うか……泣き叫んでおります……。
「ん?」
「おや?」
ぬんさんとユキさんが、何かを探っているような仕草と顔つきになりました。
「どうしたんですか?」
お二人に小声で聞いてみたのですが、何ですかこの緊張感は……。
「いや……まずは入ってみようかの……」
ぬんさんは警戒するように、店の入り口のドアに手をかけました。垢舐めくん事件もありましたし、また何かあるんでしょうか?
ちなみにこのお店、ショーウィンドウとでも言えばいいのでしょうか? 商品なのかオブジェなのかよく分からない壷や、どこの国のものなのかも判別できないような怪しげでカラフルな、バカでかいお面のような物を飾ってあります。
……統一性がないのが素敵です(褒め言葉)
無言でぬんさんが先に入り、続いてユキさん、私と続きます。入り口のドアが閉まると同時に、店内の売り物と思われる物の一部がガタガタと揺れだしました。
「え!? 地震ですか!?」
パニックになっていると、お店の奥からのんきな声が聞こえて来ました。
「おー。お前たちー、今日は一段と元気だなー。元気があるのは良いことだー。はっはっはー」
は?
「地震じゃない……? あの……」
ぬんさんもユキさんも返答してくれず、一人で喋る私に気付いたようです。
「おー。お客さんかのー。いらっしゃいー……い?」
売り物を見ながら話していた結構ヨボヨボなおじいちゃんですが、間延びした『いらっしゃいー』を言いながらこちらを向くと、疑問形のまま固まりました。
「……失礼だがー、その丈夫そうなお嬢さんはー、人間で間違いないなー……?」
おじいちゃんはプルプルしながら私を見ます。丈夫そう……うん、三人の中で一番肥えて丈夫そうですが何か? 寝肥りに間違えられましたが何か?
「丈夫な人間で……」
「そちらはー、名のある妖怪ではーなかろうかー?」
喋ってる途中で被せられたー! しかもサラッと妖怪とか言ってるー!
「いやはやご老人、ワシらに気付くとはなかなかやりおるのう」
さっきまでピリピリしていたぬんさんはようやく言葉を発し、しかもなぜか笑顔です。
何がどうなってるの? と思ってたら、また売り物の一部がガタガタと動きます。正確には跳ねてるような動きです。
「……ユキさん? これ、ポルターガイストってやつですか……?」
見える妖怪は大丈夫ですが、見えないオバケが怖くて小声でユキさんに聞きました。
「違う。ここにあるのは九十九神だな」
「九十九神ってあの!?」
長年使っていた物に魂が宿るというあのですか!?
おじいちゃんはプルプルしていたかと思うと、今度はポロポロと泣き出しました。そしてそれを見てオロオロする私です。
「この子たちがー、こんなに喜ぶなんてー、もしかしてーもしかしてー……」
おじいちゃんは涙声で話していますが、どうやら感極まっているようです。
「そうじゃ、総大将……と言えば分かるかの?」
ニヤリと笑うぬんさん、カッコイー! てかおじいちゃん、大丈夫かな? と思ったら……。
「ついに! ついに夢が叶った! 九十九神を集めていれば、いつか出会えると思って……長年の努力が報われた!」
……あれ? おじいちゃんの口調が変わった……。
「儂はな、子供の頃から妖怪はいると、いつか会えると思っていたんだ! 今日やっと……夢が叶った!」
……鈴木さんとはまた違う意味で危なかったので、とりあえず落ち着かせて座らせて、話しを聞いてみることにしました。
妖怪に会いたくて仕方のなかったおじいちゃんは、ある日一つの九十九神に出会ったそうで。九十九神を集めたら、いつか妖怪が集まって来て、夢である百鬼夜行を見れるのではと思い、勢いで骨董屋を始めたそうです。
そのうち本格的な商店街を作る話が出始め、お店も年齢も年長者の、この妖怪好きなおじいちゃんが理事長となり、理事長という権力を使い無理やり『ようかい商店街』と名付けたそうです。
職権乱用とはまさにこのことですね。
「儂はー、普段は駄目なジジイだがー、好きな事になるとー、早口になるんじゃー」
口調がゆっくりになってきた……落ち着いてきたようです。
「ちなみにー、そちらのべっぴんさんはー、なんの妖怪かねー?」
ふとユキさんを見ると、ユキさんもニヤリと不敵に笑いました。もしかしてヤル気満々?
ユキさんは短くフッと息を吐くと、空中に手の平サイズの氷の塊が出来ました。さらにフッと息を吐くともう一つ氷の塊が出来ます。
それを掴んでお手玉のようにしながら息を吐くと、氷のお手玉が増えていきます! 最後には、合計五つの氷でお手玉をするユキさん! すごいです!
……と思っていると、空中で氷のお手玉が静止しました。そしてユキさんが指パッチンをすると、フワッと雪に変わり、床に落ちる寸前にスターダストのようにキラキラと光りながら消えていきました。
「ユキさんすごーい! カッコイイ!」
滅多に見れないであろうユキさんのやる気モードです! 私は手が取れそうなほど拍手していますが……ん? おじいちゃん静かだぞ?
「……雪女じゃー!」
おじいちゃんの目から、生命の危機になりそうなくらいの涙が……もう洪水レベルです……。
「いつお迎えが来てもいいと思っていたが……まだまだ死ねん! この店もまだまだ儂がやる!」
魂の叫びと言うか……泣き叫んでおります……。
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