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新たな出会い
③
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バカにされた本人が出遅れて呆然とする中、ぬんさんが代わりに聞いてくれました……。
「……小滝さん? まさかとは思うが、この小僧は……」
「残念ながらーその通りー……うちの難ありの孫でー……本当に何と言ったらよいかー……娘さんもー……申し訳ない……」
孫? 孫なの? 本当に小滝さんと血が繋がってるの? これは難ありすぎるわぁ……。
「じいちゃんったらさぁ、難ありとか冗談ウケるから! 俺は問題なくて、時代が俺に着いてこないんだよ」
効果音が付いていそうなほど、キメ顔で格好つけているのがとてつもなく滑稽なんですが。
「傍から見たら時代に取り残されてるぞ」
ユキさん、無表情で的確すぎるツッコミー!
「いやいやいや、お姉さん冗談ウケるぅ!」
……この人、どんな強メンタルをしてらっしゃるんだろ。ある意味見習いたいレベルなんですが。
「あー……皆様ー本当に申し訳ないー……儂の末の孫のー……」
「英雄と書いて英雄です☆」
「「「……」」」
ピースをしながらウインクをして舌を出して……なんか語尾に星が付いてるような……。星生やしてんじゃねーよ草生えるわ……。
「あっれぇ? なんかノリ悪いっすねぇ?」
「英雄ー……もう黙れー……儂の引退は取り消しじゃー……店もやらんー……決めたー」
あまりの空気にたまらず語り出した小滝さんですが、その言葉に孫である残念な人は鳩が豆鉄砲くらった顔をしています。
「ウッソだろじいちゃん!? これからの時代はさぁ、このガラクタの山にそれっぽいこと書いて、ネットオークションにかけたら儲かるんだぜ!? 適当にやってたら金が入ってくんだよ!? 真面目に働かなくていいんだぜ!? 俺その気だったのにさぁ!?」
その瞬間、またしても九十九神たちがドンっと揺れました。私は九十九神たちと意思疎通を図ることは出来ませんが、これは怒りだということは理解出来ました。
「おい小僧。ここの物の価値は分かって言っておるのか? 歴史ある品々に、九十九神の宝庫じゃぞ?」
怒りを抑えるぬんさんは、いつもより鋭い目つきで凄みが増しています。
「つくも……がみ……? あぁ、物に魂が宿るとか言う? んなわけないじゃないっすかー! ただのガラクタ骨董品っすよ? そんなおとぎ話みたいな事あるわけないっすよ。もしそんな非現実的なことが本当にあったら、テレビで放送されてるんじゃないすか? つーか、そんなの実際に聞いたことないでしょ?」
また前髪をいじいじしながら、本気で笑う残念な人です。
「……先程から目の前で動いておるがな。目に見えるもの、聞こえるもの、全て自分の都合の良いようにしかお主は解釈しておらんな。世の中そんなに自分の都合の良いように回っとらんわ。目に見えるものが全てではない。そして人も見た目が全てではない!」
そんなセリフをサラリと言うぬんさん、カッコイイんですけど!
「舎弟にして欲しいと言ったな? お主が望むのならしてやろうではないか。その腐った性根を叩き直してやろう! うちの百合子がな!」
「え?」
「へ?」
ぬんさんは最後のセリフと共に、ビシィッと私を指さしました。あまりのことに、間抜けな声でハモリをしたヒーロー崩れと私です。
「お主からしたら、百合子は美しくないのじゃろう? 百合子の美しさと素晴らしさを近くで体感しろ。この店を継げないんじゃから、ワシらの小間使いとして雇ってやろうではないか」
ぬんさん? 突然何を言っておられるのです?
「は? え? 雇うって……このブス何なんすか……?」
オイィィィ! 今はっきりブスって言ったぁぁぁ!
「……この度、このようかい商店街に出店することになりました桃田です。私、あまり人と話すのは得意じゃないですが、面と向かってブスって言うのはちょっとどうかと……」
「え? 経営者なの? ただのデブスかと思ってた」
ブスからデブスになったぞオイィィィ! さらに会話が噛み合ってねぇぇぇぇ!
怒り狂っていると、私以上に我慢が出来なかった方がいたようで……。パキィンという音と、キィンという音が同時に聞こえたと思ったら……。
「え!? え!? なになに!?」
かなりパニックになっている彼の首から下は、まるで透明な彫刻像のように氷漬けになっています。
そして彼の肩に立ち、その生身の首元に刀を突き付ける福の神さん。
「死なない氷にしておいた。このまましばらく反省でもしてろ。あとこの福の神が、次に百合子を侮辱したら迷わず切ると言っている」
「氷!? 福の神!? え!? なに言ってるの!?」
今にも泣き出しそうな程にパニックになっている彼に、ぬんさんは顔を近付け圧をかけながら告げました。
「ワシらは人間ほど、特に百合子ほど温厚ではないからの? 次からは言葉に気をつけろ。明日の正午にこの商店街の入口に来い」
踵を返すぬんさんに、私とユキさんが続きます。そんな私たちを追って来て、小滝さんはこれでもかってほど謝っています。
小滝さんは悪くないことを伝え、その小滝さんは明日までに責任を持って説明をすると言うので、私たちは帰ることにしました。
「……小滝さん? まさかとは思うが、この小僧は……」
「残念ながらーその通りー……うちの難ありの孫でー……本当に何と言ったらよいかー……娘さんもー……申し訳ない……」
孫? 孫なの? 本当に小滝さんと血が繋がってるの? これは難ありすぎるわぁ……。
「じいちゃんったらさぁ、難ありとか冗談ウケるから! 俺は問題なくて、時代が俺に着いてこないんだよ」
効果音が付いていそうなほど、キメ顔で格好つけているのがとてつもなく滑稽なんですが。
「傍から見たら時代に取り残されてるぞ」
ユキさん、無表情で的確すぎるツッコミー!
「いやいやいや、お姉さん冗談ウケるぅ!」
……この人、どんな強メンタルをしてらっしゃるんだろ。ある意味見習いたいレベルなんですが。
「あー……皆様ー本当に申し訳ないー……儂の末の孫のー……」
「英雄と書いて英雄です☆」
「「「……」」」
ピースをしながらウインクをして舌を出して……なんか語尾に星が付いてるような……。星生やしてんじゃねーよ草生えるわ……。
「あっれぇ? なんかノリ悪いっすねぇ?」
「英雄ー……もう黙れー……儂の引退は取り消しじゃー……店もやらんー……決めたー」
あまりの空気にたまらず語り出した小滝さんですが、その言葉に孫である残念な人は鳩が豆鉄砲くらった顔をしています。
「ウッソだろじいちゃん!? これからの時代はさぁ、このガラクタの山にそれっぽいこと書いて、ネットオークションにかけたら儲かるんだぜ!? 適当にやってたら金が入ってくんだよ!? 真面目に働かなくていいんだぜ!? 俺その気だったのにさぁ!?」
その瞬間、またしても九十九神たちがドンっと揺れました。私は九十九神たちと意思疎通を図ることは出来ませんが、これは怒りだということは理解出来ました。
「おい小僧。ここの物の価値は分かって言っておるのか? 歴史ある品々に、九十九神の宝庫じゃぞ?」
怒りを抑えるぬんさんは、いつもより鋭い目つきで凄みが増しています。
「つくも……がみ……? あぁ、物に魂が宿るとか言う? んなわけないじゃないっすかー! ただのガラクタ骨董品っすよ? そんなおとぎ話みたいな事あるわけないっすよ。もしそんな非現実的なことが本当にあったら、テレビで放送されてるんじゃないすか? つーか、そんなの実際に聞いたことないでしょ?」
また前髪をいじいじしながら、本気で笑う残念な人です。
「……先程から目の前で動いておるがな。目に見えるもの、聞こえるもの、全て自分の都合の良いようにしかお主は解釈しておらんな。世の中そんなに自分の都合の良いように回っとらんわ。目に見えるものが全てではない。そして人も見た目が全てではない!」
そんなセリフをサラリと言うぬんさん、カッコイイんですけど!
「舎弟にして欲しいと言ったな? お主が望むのならしてやろうではないか。その腐った性根を叩き直してやろう! うちの百合子がな!」
「え?」
「へ?」
ぬんさんは最後のセリフと共に、ビシィッと私を指さしました。あまりのことに、間抜けな声でハモリをしたヒーロー崩れと私です。
「お主からしたら、百合子は美しくないのじゃろう? 百合子の美しさと素晴らしさを近くで体感しろ。この店を継げないんじゃから、ワシらの小間使いとして雇ってやろうではないか」
ぬんさん? 突然何を言っておられるのです?
「は? え? 雇うって……このブス何なんすか……?」
オイィィィ! 今はっきりブスって言ったぁぁぁ!
「……この度、このようかい商店街に出店することになりました桃田です。私、あまり人と話すのは得意じゃないですが、面と向かってブスって言うのはちょっとどうかと……」
「え? 経営者なの? ただのデブスかと思ってた」
ブスからデブスになったぞオイィィィ! さらに会話が噛み合ってねぇぇぇぇ!
怒り狂っていると、私以上に我慢が出来なかった方がいたようで……。パキィンという音と、キィンという音が同時に聞こえたと思ったら……。
「え!? え!? なになに!?」
かなりパニックになっている彼の首から下は、まるで透明な彫刻像のように氷漬けになっています。
そして彼の肩に立ち、その生身の首元に刀を突き付ける福の神さん。
「死なない氷にしておいた。このまましばらく反省でもしてろ。あとこの福の神が、次に百合子を侮辱したら迷わず切ると言っている」
「氷!? 福の神!? え!? なに言ってるの!?」
今にも泣き出しそうな程にパニックになっている彼に、ぬんさんは顔を近付け圧をかけながら告げました。
「ワシらは人間ほど、特に百合子ほど温厚ではないからの? 次からは言葉に気をつけろ。明日の正午にこの商店街の入口に来い」
踵を返すぬんさんに、私とユキさんが続きます。そんな私たちを追って来て、小滝さんはこれでもかってほど謝っています。
小滝さんは悪くないことを伝え、その小滝さんは明日までに責任を持って説明をすると言うので、私たちは帰ることにしました。
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