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帰宅
①
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お屋敷に戻った私たちは、変に疲れてしまった体を休めるために、リビングのふかふかソファーに座りました。癒やし効果バツグンのソファーですからね、きっと荒んだ私の心も癒えることでしょう……。
すると赤さん青さんの二人が、飛ぶような勢いでキッチンからお茶とおやつを持ってきてくれました。
「なんかあったのが? まんつ、これ飲んで落ち着け」
赤さんは私たち全員の顔を見たあと、心配そうに私の顔を覗き込んでいます。
そんな赤さんが持ってきてくれたのは、とても優しい良い香りのするハーブティーでした。
緑とも黄色とも言えるような色合いで、見ているだけでも癒やし効果がバツグンです。
「作ってみだ。け」
青さんは秋田弁で『食べて』と言いながら、みんなに手作りだというカップケーキを配ります。お二人の心温まるお気遣いに甘え、オシャンティーなおやつタイムを堪能することにします。
「それにしてもあの小僧。許せんわ」
かなーりお怒りのぬんさんが、ハーブティーを一口飲んだ後にボソっとつぶやきました。ハーブティーでは癒やされていないようです。
「萌がいなくて良かったな、アイツ。さすがに萌の毒舌には耐えられないだろう」
今度はユキさんが薄ら笑いを浮かべながら口を開きました。美人なだけに怖さ倍増です。
「え? 萌さんってそんなに毒舌ですか? いつも可愛くてギャルギャルしてる感じですけど……」
「百合子、分かっていないな。歴史的な上皇などに寵愛を受けてきた萌だぞ? 今も昔も本物のセレブに愛されるのが萌だ。普段はあぁだが、その気になった萌はすごいんだぞ。そんな萌が一番嫌いなタイプが、ああいう中途半端の部類にすらならない奴だ。立ち直れないくらい口撃してただろう」
そう言いながらユキさんは、雪の結晶の彫刻が入った綺麗なグラスでクイッとハーブティーを飲みました。似合いすぎて絵になります。
ちなみに、私とぬんさんはマグカップでホットを飲んでいますが、ユキさんは氷の入ったキンキンに冷えたやつです。
「ともあれ、流れでついうっかり雇ってしまったからのぅ。使い物にはならんと思うが、遠慮なくビシバシやろうではないか」
それを聞いて『はぁ……』と、ため息がこぼれてしまいました。『流れ』で『うっかり』と人を雇うことってないと思うんですが……。
ハーブティーをすすっている私のすねに、遠慮なくスリスリしているスネ子ちゃんが今はとてつもなく癒しです。
「あぁそうじゃった、今後働く予定の妖怪たちにも遣いを出さねばな。明日は皆で集まり緊急会議じゃな。あとは建築関係の鬼か……」
ぬんさんはそんな事を一人でぶつぶつと呟きながら立ち上がり、窓辺へと向かいました。窓を開けて大声で漆黒さんを呼び出しています。
近くにいたのか、漆黒さんはすぐに窓の外へと降り立ちました。
「今しがた送って貰ったばかりで申し訳ないが、猫又たちと黒髪切りたちに連絡を頼みたいんじゃが。それと付近のカラスたちに、建築関係の仕事をしている鬼がいないかを調べるように聞いてもらいたいんじゃが」
なんだか声に張りがなく、後ろ姿でも分かるくらい疲れた様子のぬんさんです。漆黒さんは頭を下げて「御意!」と言い、颯爽と空に羽ばたいて行きました。
というか、『御意』ってセリフをリアルで聞く日が来るなんて思いもしませんでした。こんな体験なかなかできないですよ。
そして漆黒さんとほとんど入れ違いで、今度は黒羽さんが空からお庭に降り立ちました。……が、その両手にはお姫様抱っこをされている萌さんがいました。
「つ~か~れ~た~!」
うちのお姫様は表情からも発声からも、どうやら御立腹のようです。疲れたというより、イライラするという言葉の方が適切かと思います。
黒羽さんはイライラモードの萌さんに少々ビクつきながら、そっと優しく丁寧に萌さんを地面に降ろし、すぐに私たちに別れを告げました。
ですよね、誰もが知っている大妖怪がご機嫌斜めだと怖いですよね、分かります。
そしてまたみんなでリビングのソファーに腰を落ち着けることにしました。
ポスンとソファーに座った萌さんは、イライラを隠さずに大声で話します。
「はぁ~……人間って~、なぁんで『人』しかいないと思うのが~こんなにも増えたのかしらぁ~? 頭の固い人ばかりで~本当~に大変だったのよ~」
イライラ顔の萌さんは、器用にゴクゴクモグモグと、ハーブティーとカップケーキを交互に口にしながら言います。
おやつが美味しいおかげか、少しずつ萌さんの表情がやわらぎます。
「ワシらも最後だけは大変じゃった」
そこからお互いの、大変だった今日の出来事を語り合いました。
すると赤さん青さんの二人が、飛ぶような勢いでキッチンからお茶とおやつを持ってきてくれました。
「なんかあったのが? まんつ、これ飲んで落ち着け」
赤さんは私たち全員の顔を見たあと、心配そうに私の顔を覗き込んでいます。
そんな赤さんが持ってきてくれたのは、とても優しい良い香りのするハーブティーでした。
緑とも黄色とも言えるような色合いで、見ているだけでも癒やし効果がバツグンです。
「作ってみだ。け」
青さんは秋田弁で『食べて』と言いながら、みんなに手作りだというカップケーキを配ります。お二人の心温まるお気遣いに甘え、オシャンティーなおやつタイムを堪能することにします。
「それにしてもあの小僧。許せんわ」
かなーりお怒りのぬんさんが、ハーブティーを一口飲んだ後にボソっとつぶやきました。ハーブティーでは癒やされていないようです。
「萌がいなくて良かったな、アイツ。さすがに萌の毒舌には耐えられないだろう」
今度はユキさんが薄ら笑いを浮かべながら口を開きました。美人なだけに怖さ倍増です。
「え? 萌さんってそんなに毒舌ですか? いつも可愛くてギャルギャルしてる感じですけど……」
「百合子、分かっていないな。歴史的な上皇などに寵愛を受けてきた萌だぞ? 今も昔も本物のセレブに愛されるのが萌だ。普段はあぁだが、その気になった萌はすごいんだぞ。そんな萌が一番嫌いなタイプが、ああいう中途半端の部類にすらならない奴だ。立ち直れないくらい口撃してただろう」
そう言いながらユキさんは、雪の結晶の彫刻が入った綺麗なグラスでクイッとハーブティーを飲みました。似合いすぎて絵になります。
ちなみに、私とぬんさんはマグカップでホットを飲んでいますが、ユキさんは氷の入ったキンキンに冷えたやつです。
「ともあれ、流れでついうっかり雇ってしまったからのぅ。使い物にはならんと思うが、遠慮なくビシバシやろうではないか」
それを聞いて『はぁ……』と、ため息がこぼれてしまいました。『流れ』で『うっかり』と人を雇うことってないと思うんですが……。
ハーブティーをすすっている私のすねに、遠慮なくスリスリしているスネ子ちゃんが今はとてつもなく癒しです。
「あぁそうじゃった、今後働く予定の妖怪たちにも遣いを出さねばな。明日は皆で集まり緊急会議じゃな。あとは建築関係の鬼か……」
ぬんさんはそんな事を一人でぶつぶつと呟きながら立ち上がり、窓辺へと向かいました。窓を開けて大声で漆黒さんを呼び出しています。
近くにいたのか、漆黒さんはすぐに窓の外へと降り立ちました。
「今しがた送って貰ったばかりで申し訳ないが、猫又たちと黒髪切りたちに連絡を頼みたいんじゃが。それと付近のカラスたちに、建築関係の仕事をしている鬼がいないかを調べるように聞いてもらいたいんじゃが」
なんだか声に張りがなく、後ろ姿でも分かるくらい疲れた様子のぬんさんです。漆黒さんは頭を下げて「御意!」と言い、颯爽と空に羽ばたいて行きました。
というか、『御意』ってセリフをリアルで聞く日が来るなんて思いもしませんでした。こんな体験なかなかできないですよ。
そして漆黒さんとほとんど入れ違いで、今度は黒羽さんが空からお庭に降り立ちました。……が、その両手にはお姫様抱っこをされている萌さんがいました。
「つ~か~れ~た~!」
うちのお姫様は表情からも発声からも、どうやら御立腹のようです。疲れたというより、イライラするという言葉の方が適切かと思います。
黒羽さんはイライラモードの萌さんに少々ビクつきながら、そっと優しく丁寧に萌さんを地面に降ろし、すぐに私たちに別れを告げました。
ですよね、誰もが知っている大妖怪がご機嫌斜めだと怖いですよね、分かります。
そしてまたみんなでリビングのソファーに腰を落ち着けることにしました。
ポスンとソファーに座った萌さんは、イライラを隠さずに大声で話します。
「はぁ~……人間って~、なぁんで『人』しかいないと思うのが~こんなにも増えたのかしらぁ~? 頭の固い人ばかりで~本当~に大変だったのよ~」
イライラ顔の萌さんは、器用にゴクゴクモグモグと、ハーブティーとカップケーキを交互に口にしながら言います。
おやつが美味しいおかげか、少しずつ萌さんの表情がやわらぎます。
「ワシらも最後だけは大変じゃった」
そこからお互いの、大変だった今日の出来事を語り合いました。
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