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ダンジョンの中の町
Gランク冒険者の船出
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冒険者は誰もが最初はGランク、そのの世界ではGランクの場合はお手伝いや運搬、素材採集が主になるのだが、この掃きだめの町はダンジョンのどこかの層にあるためまともな採集依頼は存在しない、大概は動力源となる魔石や魔物の素材、そして鉱石や少量の薬草類、これらを少なくない冒険者が競って採集しては奪い合い、勝ち残った者だけが今も冒険者として活動を続けることが出来ている、それがこの町の冒険者事情なのだという。
技能鑑定後少し面倒はあったのだが、無事に冒険者Gランクに登録することができたのだが、さすがの掃きだめの町でも上納金のための人材を減らすのは忍びないのか、ランクごとに受注することができるクエストが設定されていた……無理もないよな、上位のクエストともなれば危険度が跳ね上がる。
「常時受け付けの依頼は……ダンジョンからの魔物の間引きと攻略で、あとは町の手伝い系か……まぁそうだよな」
ともあれ、ダンジョンに入るための……違うか、ここより下に潜るための許可証は手に入ったんだ、クエストと関係なく素材を売り払うことも可能なはずだ。
下層へと続く門を守る守衛に冒険者のライセンスを見せ、ついにダンジョン(下層)へと足を踏み入れた。
「良し、お前ら出てきていいぞ」
その呼びかけにポン!っという音とともに姿を現したのは7色、そして7体の精霊だ。 うまく喋ることはできないが身振り手振りで可愛らしく意思表示してくれる。
『キュ! キュキュキュ!』
「なになに? あの洗礼の間にはなんで連れてってくれなかったのか? それは司祭さんがそれが決まりだからって」
『キュッキュキュ! キュイーー!』
「あの部屋なんかおかしかったぞだって? 空中の魔力を感じないくらいだったけど」
『キュ!! キュキュキュウウ!』
「その魔力が無いと魔法が使えないんだからもっと気をつけろ? ……確かに、魔道具とかで魔力を貯めておくのも将来的に考えたほうがいいのか」
魔力が使えなくなったら僕の力は半減以下だ、空気中の魔力ならまだいい、精霊の魔力が受け取れなくなったら死活問題だ。
「そうだよな、ちょっと迂闊だったよ、機会があったら魔道具を探してみるさ、まずはここがどんなダンジョンなのか調べないといけないんだ、ちょっと探索を頼むよ」
『キュ!!』
敬礼のポーズをとると彼らからさらに下位の精霊が飛び出し、辺りに霧散していき僕と7人だけが残された。
「それじゃ進もうか」
僕の周囲に残ったのは上位の精霊だ。
それぞれ、火精霊のフュー、水精霊のルー、風精霊のヴォン、土精霊のソイル、無精霊のリオン、光精霊のウィル、闇精霊のシェイドの全7人だ、彼らは物心ついたことから何故か僕に寄り添い何かと支えてくれた、そして彼らの魔力を借りてほぼ無制限に魔法を発動することができたのだ。
そんな彼らには何人もの配下がいる、上位になるとある目的をもって土地に住み着いていたりすることもあるが、それよりも下位の存在になっていくと空気に漂うように流されるような感じになっていくのだ。
「ん……前方組がゴブリン3匹とボアを発見? 分かった早速行くよ」
ゴブリンはともかくボアは皮は素材に肉は食材になるため、どの町でも一定の需要がある。
そしてその報告のあった場所に着いた時には報告よりも数がだいぶ増えていた。
「報告してきた場所から距離があったし変化はあるけど、思ったより増えてたな……やろうと思えば一人でも余裕だけど、みんなもよろしく!」
◇ ◇
そうして初めてのダンジョン探索である程度の魔物を討伐、そしてダンジョンの状態を精霊にいろいろと探索してもらってから帰還し、冒険者ギルドへと報告と素材の買い取りをしてもらいに行くことにした。
「素材買取お願いします! ……ってあれ? ザイルさんとドロンさん、それにスールさん揃ってどうしたんですか?」
「……この町に来た初日にダンジョンに潜った奴は初めて見たよ」
「……さすがにないわ」
「心配したのよ! アルス君!」
はい?
「でもまだここから3層潜った程度です、だから魔物の数も大したことなかったですよ?」
「ん?」
「んん?」
「はい?」
だってゴブインとかボア程度だったし……おかしいことはないはずだよな、なら。
「ボア程度だと買取してもらえないんですか?」
「「「そうじゃない!」」」
3人の大声がギルドロビーに響き、大勢の目線がこちらに注目してしまったのだと、近づいてくる足音と声から理解させられてしまった。
技能鑑定後少し面倒はあったのだが、無事に冒険者Gランクに登録することができたのだが、さすがの掃きだめの町でも上納金のための人材を減らすのは忍びないのか、ランクごとに受注することができるクエストが設定されていた……無理もないよな、上位のクエストともなれば危険度が跳ね上がる。
「常時受け付けの依頼は……ダンジョンからの魔物の間引きと攻略で、あとは町の手伝い系か……まぁそうだよな」
ともあれ、ダンジョンに入るための……違うか、ここより下に潜るための許可証は手に入ったんだ、クエストと関係なく素材を売り払うことも可能なはずだ。
下層へと続く門を守る守衛に冒険者のライセンスを見せ、ついにダンジョン(下層)へと足を踏み入れた。
「良し、お前ら出てきていいぞ」
その呼びかけにポン!っという音とともに姿を現したのは7色、そして7体の精霊だ。 うまく喋ることはできないが身振り手振りで可愛らしく意思表示してくれる。
『キュ! キュキュキュ!』
「なになに? あの洗礼の間にはなんで連れてってくれなかったのか? それは司祭さんがそれが決まりだからって」
『キュッキュキュ! キュイーー!』
「あの部屋なんかおかしかったぞだって? 空中の魔力を感じないくらいだったけど」
『キュ!! キュキュキュウウ!』
「その魔力が無いと魔法が使えないんだからもっと気をつけろ? ……確かに、魔道具とかで魔力を貯めておくのも将来的に考えたほうがいいのか」
魔力が使えなくなったら僕の力は半減以下だ、空気中の魔力ならまだいい、精霊の魔力が受け取れなくなったら死活問題だ。
「そうだよな、ちょっと迂闊だったよ、機会があったら魔道具を探してみるさ、まずはここがどんなダンジョンなのか調べないといけないんだ、ちょっと探索を頼むよ」
『キュ!!』
敬礼のポーズをとると彼らからさらに下位の精霊が飛び出し、辺りに霧散していき僕と7人だけが残された。
「それじゃ進もうか」
僕の周囲に残ったのは上位の精霊だ。
それぞれ、火精霊のフュー、水精霊のルー、風精霊のヴォン、土精霊のソイル、無精霊のリオン、光精霊のウィル、闇精霊のシェイドの全7人だ、彼らは物心ついたことから何故か僕に寄り添い何かと支えてくれた、そして彼らの魔力を借りてほぼ無制限に魔法を発動することができたのだ。
そんな彼らには何人もの配下がいる、上位になるとある目的をもって土地に住み着いていたりすることもあるが、それよりも下位の存在になっていくと空気に漂うように流されるような感じになっていくのだ。
「ん……前方組がゴブリン3匹とボアを発見? 分かった早速行くよ」
ゴブリンはともかくボアは皮は素材に肉は食材になるため、どの町でも一定の需要がある。
そしてその報告のあった場所に着いた時には報告よりも数がだいぶ増えていた。
「報告してきた場所から距離があったし変化はあるけど、思ったより増えてたな……やろうと思えば一人でも余裕だけど、みんなもよろしく!」
◇ ◇
そうして初めてのダンジョン探索である程度の魔物を討伐、そしてダンジョンの状態を精霊にいろいろと探索してもらってから帰還し、冒険者ギルドへと報告と素材の買い取りをしてもらいに行くことにした。
「素材買取お願いします! ……ってあれ? ザイルさんとドロンさん、それにスールさん揃ってどうしたんですか?」
「……この町に来た初日にダンジョンに潜った奴は初めて見たよ」
「……さすがにないわ」
「心配したのよ! アルス君!」
はい?
「でもまだここから3層潜った程度です、だから魔物の数も大したことなかったですよ?」
「ん?」
「んん?」
「はい?」
だってゴブインとかボア程度だったし……おかしいことはないはずだよな、なら。
「ボア程度だと買取してもらえないんですか?」
「「「そうじゃない!」」」
3人の大声がギルドロビーに響き、大勢の目線がこちらに注目してしまったのだと、近づいてくる足音と声から理解させられてしまった。
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