孤児院を追放された精霊魔法使い~虹色魔力で自由気ままに冒険者として成り上がります~

かぼす

文字の大きさ
5 / 8
ダンジョンの中の町

疑念の町

しおりを挟む
「3層って言ったか?」
「あと普通の新人は良くて魔物を数匹狩るのが限界だ、悪くて死ぬか稼ぎ無しなんだよ、それが何だこの量は」
「いきなりこれはねぇ……」

 僕としては精霊にも手伝ってもらってるから別にどうということでもないんだけど、孤児院にいたころと同じような説明をするのはメンドクサイな。

「とにかく買取をしてほしいんですが……」

 そう言って受付のお姉さんを見るが、いまだに混乱から立ち直っていないようだ。

「あのー」
「……ひゃいぃ!! ……ひゃい?」
「ゴブリンとボア、それに少し大きめのボア、たぶん『ラージ』を持ってきたので買取お願いします、クエスト報酬じゃなくても買取はできたはずですよね?」
「ひゃい! 査定しますね!」

 やっと査定し始めてくれたよ。

「おいおいアルス、3層ってどういうことだ、ここからいきなり3層も潜ったのか?」
「だからこの量はなんだ! しかも『ラージボア』って層の主クラスじゃねぇか」

「確かにここの入口から潜って3層目だったと思います、それで『ラージ』についなんですけど、3層奥の岩石地帯を抜けた先の広場みたいなところに寝ていたのでサクッとやっちゃいました、ここのダンジョンは孤児院の町の北にあったダンジョンよりだいぶ広いですが魔物はたいしてことがないから楽でいいですね」

「Cランクのダンジョンだぞ」
「しかもこれだけ狩って来て楽だなんて……」
「けど、これなら期待を持てそうね」

 ん?

「期待? なんのことですか?」
「え……ううん? 気にしないで」

 気になる……でも今日あったばっかりに人にしつこくいくと、今後親切にしてくれなくなるのも嫌だからな。

「はぁ……」
「あ! アルス君受付が戻ってきたわよ、報酬をもらいなさい」

 逃げられた感はあるけれど、とにかく買取報酬をもらわないと話にならないよな。

「はい! Gランク冒険者のアルス君は……あ、こちらへどうぞ!」
「了解しました」

 呼ばれたので窓口に向かうと受付台カウンターの上にあったのは……。

「これ、何ですか? お金じゃないみたいですけど」
「あれ? 説明しませんでしたっけ、この町の中では外界とのやり取りが不便なため貨幣の流通が極端に少ないのです、冒険者ギルドのカードを通して外であれば入出金できるんですが、いかんせんここだと出すものが出せないので、この町の中でのみ有効で、いちおうは外のお金と同じ価値として扱うルールになっている『焼き符』、つまりこの板に書かれた数字がそのままルクス貨幣の単位になるの、書き換えたり偽造をしようにもこのダンジョンや町には木が一切生えていないし町の建材もすべて土や、石で作られているので偽造はまずできないはずなのです」

 なるほど、それも分かるんだけど。

「ダンジョンなんだからもっと潜ったら木が生えてる層とかがあったらどうするんですか?」
「それは大丈夫です、一級ダンジョン鑑定士の鑑定によるとこのダンジョンは『火』寄りの『土』属性で、草や小さい植物ならともかく、木が生えることはないということだったのです」

 僕の精霊も特に気になることはないみたいだからそれはきっと正しいことなんだろうな。

「なんとなく状況はわかりました、それだと例えば1ルクスの『焼き符』をたくさん誰かが持ってると素材の木が不足しませんか?」
「それはご心配なく! …って! ひゃぁぁ……これも説明を忘れていたみたいです! ごめんなさいごめんなさい」

「……いえ、どういう事ですか?」

「ひゃい! この町での最小貨幣単位は10ルクスで外の世界には存在しないのですが『小符』として扱っています、その100倍が『符』でさらに100倍が『大符』、この3種類しか存在しません、そもそもそれ以上のお金が持てるような人が送られて来ないことを想定しているためです、なんせここでは1000ルクスちょっとあれば誰かさんのおかげで1日暮らしていけます、その100倍まであればこんな町ではその次なんて必要なわけがないのです!」
「おいラスカ! ……それは今はいいだろ?」
「とにかく木の量は上の貨幣で調整してるからそうそう溢れることはないはずだよな? 少なくとも俺は見たことがないんだな」
「そうね……」

 ……やっぱり、この町はいろいろ問題がありそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

辺境追放された「植物魔導師」の領地開拓 ~枯れ果てた死の大地は、俺の魔力で聖域(楽園)へと変貌する~

リーフレット
ファンタジー
​「植物魔法? ああ、農作業にしか使えないあの地味な魔法か」 ​帝国騎士団の専属魔導師だったアルトは、無能な二世皇太子レオンによって、一方的に追放を言い渡された。 アルトがどれほど魔導植物を駆使し、帝国の食糧難を裏から支えていたかを知らぬまま、彼は「戦闘に役立たない役立たず」という烙印を押されたのだ。 ​帝国を出て行き着いた先は、魔物が跋扈し、草一本生えないと言われる最果ての荒野。 死を待つだけの地。しかし、アルトは絶望するどころか、晴れやかな顔で笑っていた。 ​「やっと、気兼ねなく『植物』を愛でられる。……よし、ここを世界一の庭(楽園)にしよう」

ハズレスキル『自動販売機』を授かって婚約破棄されましたが、 実は回復薬も魔力食も出せる最強スキルでした

暖夢 由
ファンタジー
十八歳の成人儀式で授かったのは、誰も聞いたことのない《自動販売機スキル》。 役立たずと嘲られ、婚約者レオンには即座に婚約を破棄され、人生が崩れ落ちたように思えた。 だがそのスキルには、食べ物を作り、摂取すれば魔力を増やし、さらに“治癒効果”を付与できるという隠された力があった。 倒れた母を救い、王都の名門・ヴァルセイン伯爵夫人を救ったことで、カミーラは“呪詛”という闇の存在を知る。伯爵邸で出会った炎の力を持つ公爵家次男レグナスとの出会いが、彼女の運命を大きく変えていく。 やがて王都全体に“謎の病”が蔓延。カミーラは治癒スープの炊き出しを行い、人々を次々と回復へ導く。 一方、病の裏で糸を引いていたのは………。 “無価値”と嘲られたスキルが、いま世界を癒し、未来を照らす光となる――。

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした

黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。 地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。 魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。 これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。 「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

追放したんでしょ?楽しく暮らしてるのでほっといて

だましだまし
ファンタジー
私たちの未来の王子妃を影なり日向なりと支える為に存在している。 敬愛する侯爵令嬢ディボラ様の為に切磋琢磨し、鼓舞し合い、己を磨いてきた。 決して追放に備えていた訳では無いのよ?

処理中です...