孤児院を追放された精霊魔法使い~虹色魔力で自由気ままに冒険者として成り上がります~

かぼす

文字の大きさ
6 / 8
ダンジョンの中の町

冒険者たちの悲喜交々

しおりを挟む
 ◇ 翌日のとある冒険者たち ◇
「なになに、今日の依頼は……討伐がやたら少ないな」
「それに比べて採集系は多いみたいだな」
「なぁ姉ちゃん、何かあったのか?」
「姉ちゃんはやめてください! せめて美人受付嬢でお願いします」
「美人……」
「それはなあ」
「お客様、お帰りはあちらですよ?」

 にっこり。

「ぐ……! 分かった! せめてお嬢さんで」
「そうだな、お嬢様悪かったよ、とにかくこのボードの依頼書どうなってんだ?」
「まぁ良いでしょう、簡単なことです、3層までの魔物がほとんど討伐されてしまったのでリポップまでの間はほとんど魔物がいないはずです、なので今のうちに安全に薬草や解毒層、食材になる魔草などの採取をお薦めしているんです」
「ほとんどって……あれか? 昨日の新人が山盛り素材を売り払ったっていう」
「それです、なのでお肉や魔石はしばらく困っていませんね、魔物を間引く必要も現在はありません」
「すっげえ奴がきたもんだな、一回パーティ組ませてもらったら新しいもの見れそうだ」
「よしわかった、なら今日はギルドに倣って採集でいいか?」
「おう! 安全なによりだ、籠いっぱい持って帰ろうぜ」

 ◇ 翌日のとある冒険者たち:出遅れた人の場合 ◇
「商売あがったりだな……昨日着た新人が3層までの魔物をほとんど借りつくしちまったらしい」
「そりゃ本当なのか? 採集ならやりやすいんじゃねぇのか? リポップまでのあいだはよ」
「もちろん本当だ、そして3層まではそれを狙って採集に行ったやつらでごった返してるんだよ、草一本残らねぇんじゃないか?」
「でも大勢が安全に生活できるなら……俺らは荷運びでも手伝うか」
「それもそうだよな、生きてることが一番だ、薬草もたくさん採れるだろうからな、薬草をすり下ろす作業の手伝いでも水汲みでもやってみるか」

 ◇ 翌日のとある冒険者たち:通常営業の場合 ◇
「魔物が……いねぇ」
「どこにもいねぇ」
「斥候も戻ってこないな」
「もう2層も中盤だろ? 異常じゃないか?」

 その後いくら進んでも魔物は現れず、代わりに斥候が戻ってきた。

「来たか、先はどうなってた? 魔物が影も形も見つかりやしねぇ」
「3層への階段まで見てきたんだが、やっぱり何もいないな」
「でも、それはそれでチャンスじゃないか? 損耗なしでここまで来てるんだぜ」
「確かにな、俺らの最高深度まで潜れるかもだな」
「おっしゃ! 行ってみるか」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

「男のくせに料理なんて」と笑われたけど、今やギルドの胃袋を支えてます。

ファンタジー
「顔も頭も平凡で何の役にも立たない」とグリュメ家を追放されたボルダン。 辿り着いたのはギルド食堂。そこで今まで培った料理の腕を発揮し……。 ※複数のサイトに投稿しています。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...