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眩しい朝陽を感じて目を開けた途端、私は酔っ払って寝てしまったことに気づく。
重い身体を起こすと、昨日の記憶が蘇ってくる。
辺りを見渡せば、テラスのテーブルは綺麗に片付いて部屋も整頓されている。
カイルが私をベッドに寝かせてから全部片付けてくれたんだ……。
ああ、私はなんてことを……!
今日はクロー公爵家へ入る日だ。
もう二度と会えないっていうのに、最後までカイルに迷惑をかけてしまった……!
ありがとうを伝えるどころか、きちんとサヨナラさえも言えなかった。
そうこうしているうちに、迎えの馬車がやってきて、私は家を出発する。
クロー公爵家は王都からさほど離れていない場所にあったのか、あっという間に到着した。
私は覚悟を決めて、クロー公爵家へと一歩を踏み出す。
執事を始めとした使用人たちから丁寧な歓迎を受けて、私は少し意外に思う。
予め聞いていたクロー小公爵の噂と、私の置かれた立場からして、あまり良い扱いは期待していなかったのだ。
しかし、なんだろう、この意外すぎるほどの丁重な扱いは……。
案内された部屋は細部まで綺麗に飾り立てられた大変に豪奢で美しい場所だった。
ただ、お金をかけただけではない、暮らす者のことを丁寧に考えられた思いやりを感じる。
これは一体どういうことだろう……。
内心驚く私に、執事が細かく説明をしてくれた。
公爵と公爵夫人はすでに、北部の静かな領地へと移り住んでいるらしい。
公爵家の古くからの慣わしで、結婚が爵位継承の条件ということだ。
小公爵はどうしても結婚する必要があったということで、だから私がこうして嫁いでくることになった訳で……。
つまり、ここは公爵夫人が過ごす場所。
それは当たり前のことではあるのだろうが、やはり、こんなに極上の扱いはどうも腑に落ちない。
「セレナ様、小公爵様は本日のお帰りが遅く、先にお休みになられますようにとのことです」
「まあ、そうですの……」
私はすでに夕暮れを迎えている窓の外を見上げて少し考える。
「……でも、私、小公爵様をお待ちしますわ。夕食後に準備をお願いできるかしら」
「かしこまりました」
きびきびした様子で、丁寧に挨拶して執事が退出する。
先に休んでいろなんて言われても、落ち着かないわ。
まずは、小公爵に会って、ちゃんと話をしないと。
少し不安はあるけれど、仮にも夫になる人だもの。きちんと向き合いたい。
そう思い、夕食を終えてひと休みした私は、やってきたメイドに身支度をお願いした。
重い身体を起こすと、昨日の記憶が蘇ってくる。
辺りを見渡せば、テラスのテーブルは綺麗に片付いて部屋も整頓されている。
カイルが私をベッドに寝かせてから全部片付けてくれたんだ……。
ああ、私はなんてことを……!
今日はクロー公爵家へ入る日だ。
もう二度と会えないっていうのに、最後までカイルに迷惑をかけてしまった……!
ありがとうを伝えるどころか、きちんとサヨナラさえも言えなかった。
そうこうしているうちに、迎えの馬車がやってきて、私は家を出発する。
クロー公爵家は王都からさほど離れていない場所にあったのか、あっという間に到着した。
私は覚悟を決めて、クロー公爵家へと一歩を踏み出す。
執事を始めとした使用人たちから丁寧な歓迎を受けて、私は少し意外に思う。
予め聞いていたクロー小公爵の噂と、私の置かれた立場からして、あまり良い扱いは期待していなかったのだ。
しかし、なんだろう、この意外すぎるほどの丁重な扱いは……。
案内された部屋は細部まで綺麗に飾り立てられた大変に豪奢で美しい場所だった。
ただ、お金をかけただけではない、暮らす者のことを丁寧に考えられた思いやりを感じる。
これは一体どういうことだろう……。
内心驚く私に、執事が細かく説明をしてくれた。
公爵と公爵夫人はすでに、北部の静かな領地へと移り住んでいるらしい。
公爵家の古くからの慣わしで、結婚が爵位継承の条件ということだ。
小公爵はどうしても結婚する必要があったということで、だから私がこうして嫁いでくることになった訳で……。
つまり、ここは公爵夫人が過ごす場所。
それは当たり前のことではあるのだろうが、やはり、こんなに極上の扱いはどうも腑に落ちない。
「セレナ様、小公爵様は本日のお帰りが遅く、先にお休みになられますようにとのことです」
「まあ、そうですの……」
私はすでに夕暮れを迎えている窓の外を見上げて少し考える。
「……でも、私、小公爵様をお待ちしますわ。夕食後に準備をお願いできるかしら」
「かしこまりました」
きびきびした様子で、丁寧に挨拶して執事が退出する。
先に休んでいろなんて言われても、落ち着かないわ。
まずは、小公爵に会って、ちゃんと話をしないと。
少し不安はあるけれど、仮にも夫になる人だもの。きちんと向き合いたい。
そう思い、夕食を終えてひと休みした私は、やってきたメイドに身支度をお願いした。
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