桜のあと ―私の推しの美男子看護師さん―

中川四角

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桜のあと

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 「3人で行きたい。2人なら力のある男性の方が良いかも。車椅子の遠出は初めてだから。」
と私は紙に書いた。

 「そうね。力が強い人の方が安心かも。」
 「じゃあ、僕行く。」
 「行ってらっしゃい。」

春山さんに見送られて、櫻川さんと私は車椅子でお散歩に出かけた。

「検査以外で病棟から出たことないもんね。この辺も見たことないよね。ここはねー、いろんな備品が置いてあるところ。」

「なるべく人がいない所をいくよ。ここからでられるんだ。」

「ここの廊下は絵がたくさんあるよね。土曜だから誰もいない。」

櫻川さんの声は、後ろから優しく響いて途切れる事はなかった。今日の櫻川サンの声は軽やかで、少しはずんでいるみたい。

正面玄関にも人はまばらだった。

「やっぱり外はいいね。日に当たると暑いから、、この辺が良いかな。」

櫻川さんと私は、桜の季節が終わった後の、木々の呼吸感じながら、やわらかな風に吹かれていた。

ありふれた日常の景色も、安心できる人が側にいてその人が笑っていたらどこか華やぐのだ。

櫻川さんは、私の写真を1枚撮ってこう言った。

「HCUでの思い出ができたね。」

HCUへの帰り道も、櫻川さんはお話してくれた。HCUへ帰ってナースステーションの前を通ると、みんなが出迎えてくれた。

「えっ、外に行けたの?良かったね。」
「うん、うん、櫻川さんと一緒でよかったね。」

妊婦の長丘さん、小野さん、下沼さん、百瀬さんみんな優しい。

「あれ?写真1人で写ってる。櫻川さんと撮ってもらいなよ。」

「とってあげる。」

櫻川さんと私は小さな枠の中に収まった。




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