桜のあと ―私の推しの美男子看護師さん―

フジハシ

　一般病棟通称西6に移った私の担当看護師は
藤橋さんと言う名前だった。

２７才。なぜか私の周りは２７才が多い。優しい感じではあるけど、あまりデリカシーが無いのかおかしな事を言ってくるので、最低限の返事だけしていた。

　不本意な病棟移動もあって、しばらく１人にしてくださいオーラの私。藤橋さんに筆談で何か伝えても全く逆の意味に取られる。わざとなのか天然なのか。

　次の日も担当は藤橋さんだった。その次の日も藤橋さんだった。

　ある日の夜の担当さんに、
「師長さんはいついますか？」と聞くと、
「師長さんのような偉い人にはあなた、会えませんよ。私たちですらなかなか話ができない。」

と言われた。私が話せないのでバカにされているのかもしれない。患者ファーストのこの病院でこういう人も未だいるのかと思った。　

手術の日が迫っていた。手術前の説明が先生からあると言うので夫が明日くる。
　主治医の先生は、３時間位の手術と言っていた。きっと大丈夫。

　今日も藤橋さんは、おかしな反応をしていてなかなか意思疎通ができなかった。

私は時々不機嫌だったと思う。それでも、藤橋さんは献身的でいつも優しかった。

手術の説明の日、私と夫と看護師さんで、先生の話を聞いた。これは成功する確率があるのかなと思うほどリスキーで、最小限で済む予定の傷口も、開けてみてから骨を割って開かないといけないかもしれないと言うものだった。

夫も、私も、看護師さんも話の内容が怖すぎて
黙ってしまった。
ため息もでない。

先生は、腕の良いと評判。
私は動けない体で逃げ場はない。