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一般病棟へ
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病院での夜は長く感じる。あまりよく眠れない事も多い。不安や恐怖の波の中を進む小舟のように独り張り詰めている事も多かった。
夜は先生もいない。スタッフも少ない。
無事に夜が明ける事を願いながら、朝方すっと眠りに落ちる。
朝は、下沼さんや長丘さんの明るい声で始まる。
病棟移動の朝はいつもと変わらない顔をしてやって来た。
「真木さん、今日は10時の移動まで私が担当です。送り出しもしますからね。」
下沼さんだった。気心の知れた下沼さんと、たわいもない会話で和む。私の荷物をまとめてくれた。あっと言う間に時間近くになる。
「今日、移動だね。」
櫻川さんが来てくれた。私の唇は小刻みに揺れだし、涙があふれてきた。
「卒業の涙だね。」
櫻川さんはそう言って優しく微笑んだ。
「移動の時間だけど、どっちといく?私?櫻川さん?」
下沼さんが聞いてきた。
私は櫻川さんの方に手を伸ばした。
「やだもう、あたし振られた? 今日担当なのに。今、全然迷わず櫻川さんだったよね。
もう、しょうがないなあ。」
「僕担当じゃないけど、一般病棟まで一緒にいきますよ。」
そんなやり取りがあって、櫻川さんは私を一般病棟まで送ってくれた。
「じゃあね。」
櫻川さん、、それでも同じ病院内にいるのだからと思っていたけど、違う病棟の看護師さんが出入りする事など殆ど無いに等しいと後で知ることになる。
男友達からの返信はひと事程度になっていて、どこかよそよそしく、私も手術や病気の事をハッキリとは言えないでいた。
電話で話す事もできない。手術の前に声だけでも聞きたい。その願いは叶えられる事は無かった。
夜は先生もいない。スタッフも少ない。
無事に夜が明ける事を願いながら、朝方すっと眠りに落ちる。
朝は、下沼さんや長丘さんの明るい声で始まる。
病棟移動の朝はいつもと変わらない顔をしてやって来た。
「真木さん、今日は10時の移動まで私が担当です。送り出しもしますからね。」
下沼さんだった。気心の知れた下沼さんと、たわいもない会話で和む。私の荷物をまとめてくれた。あっと言う間に時間近くになる。
「今日、移動だね。」
櫻川さんが来てくれた。私の唇は小刻みに揺れだし、涙があふれてきた。
「卒業の涙だね。」
櫻川さんはそう言って優しく微笑んだ。
「移動の時間だけど、どっちといく?私?櫻川さん?」
下沼さんが聞いてきた。
私は櫻川さんの方に手を伸ばした。
「やだもう、あたし振られた? 今日担当なのに。今、全然迷わず櫻川さんだったよね。
もう、しょうがないなあ。」
「僕担当じゃないけど、一般病棟まで一緒にいきますよ。」
そんなやり取りがあって、櫻川さんは私を一般病棟まで送ってくれた。
「じゃあね。」
櫻川さん、、それでも同じ病院内にいるのだからと思っていたけど、違う病棟の看護師さんが出入りする事など殆ど無いに等しいと後で知ることになる。
男友達からの返信はひと事程度になっていて、どこかよそよそしく、私も手術や病気の事をハッキリとは言えないでいた。
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