龍青学園GCSA -ぷち-

楓和

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第5章の14・だから、もう泣くなっ…の ぷち話し

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 〝か…可愛い〟

ブラックマスクを倒した竜沢に駆け寄って来る七月。その七月の姿を見て、心の中でそう呟く竜沢。

 〝も、もしかして…抱きついてくる?〟

今、竜沢の脳内では七月がスローモーションで駆け寄ってきている。若干だが、七月の揺れる胸に目線がいく。

 〝だ、抱きつかれたら…当たるよね?アレ、当たるよね?〟

ドキドキしてきた竜沢。目の前にはブラックマスクの屍。

 〝……は!〟

竜沢は気付いた。七月以外にも自分の方に駆け寄ってくる奴らに。
それは流香に肩を借りた状態の鏡。そして隆正を担ぎながらの甲。更に学美、つくし…である。

 〝学美は良いだろう。つくしちゃんも良い〟

何が。

 〝だが…ヤローはいらねぇ!〟

さっきまでの仲間美談どこいった。

 〝女性陣、カモン!〟

竜沢の目はもう血走っていた。

まぁ普通に考えれば、怪我人の甲、隆正、鏡、そして鏡を抱えた流香より、七月や学美、つくしの方が早い。
竜沢の欲望は叶えられる…はずだった。

 「む。」

七月が嬉しそうに竜沢の方へ走っているその姿を、悲しげに見ていた隆正に気付いた甲は…一肌脱いだ。

 「…行くぞ。」
 「あ?」
 「ふぅん!」

甲に言われて『?』な隆正は、次の瞬間…甲にぶん投げられた。

 「どおうわぁあ!」

甲のパワーで一、二歩が三メートル幅くらいの片足飛び(左足)で進んだ隆正は、一気に竜沢に近付いた。
ここにきて『ま、間に合うんじゃね?!』という思いが頭をよぎった隆正に火が付いた。

 〝阻止ーっ!〟

ここで走らんでいつ走んねん…隆正は今、マッスルに追い付こうとしたあの時と同じ…いや、それ以上の気合いで走ろうとしていた。
そんな自分を誇らしいと思える隆正。アホや。
が、しかし、右足を出して地に着いた瞬間…

 「いでぇっ!がふっ!」

右足がめちゃくちゃ痛くて動かせずズッコケ、甲に投げられた勢いのまま転がって行く隆正。当たり前である。

 「え?ぐおぁっ!」

しかしこれが見事竜沢まで転がって激突。竜沢も足をすくわれて地に転がった。

 「そ、阻止成功やー…」
 「お、おのれー…」

どうしようもなく馬鹿な奴らである。

そんな馬鹿達の横には、深雪に抱えられたブラックマスクの屍。
それを見て『う、羨ましい…』と思っていた竜沢であった。
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