龍青学園GCSA

楓和

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第4章の3「あまりに可笑しくて」

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 園花咲子を預かった…その突拍子もない内容の電話に、竜沢は鏡と隆正に連絡した。
そして…

 龍青学園校門前。
竜沢、鏡、隆正の三人が…いや、隆正は来ていなかった。

 「夜の学校は不気味だな。」
 「それにしても隆正くん、遅いですね。ここから一番近いのに。」

隆正の家は、竜沢と鏡に比べて龍青学園から近い。しかも隆正のスピードは言うまでもない。だが、まだ来ていなかった。

 「隆正抜きで行こう。咲ちゃんが心配だ。」
 「本当に居なかったんですね?」
 「電話したら大事になりかけてたから何とか誤魔化した。何故か園花家は俺の言う事を信用してくれるからなー。しかし…危うく高瀬の件と同じく、警察沙汰になるとこだった。まぁ本来、警察に連絡すべきなのかもしれんが…。」
 「警察沙汰どころか、高瀬くんのご家族はあっけらかんとしてたみたいですよ。青葉園長が言ってました。甲くんのご家族の事は全く教えてくれませんでしたが…。ただ咲子さんの家は…警察とかじゃなく私設軍隊とか出してきそうですもんね。竜沢くんも大変ですね。」
 「鏡…それシャレにならねー。」

そして二人は校門を通り抜け、校舎に入った。

 「宿直、いないのか?」
 「みたいですね。もしかすると酷い事になってるんじゃ…。」

咲子をさらったのは、いったい何者なのか?

 「今ならまだ警察に連絡出来ますが…どうします?進みますか?」
 「う、うーん…相手の狙いは俺達のようだし、とにかく行ってみよう。」

竜沢と鏡は校舎内を屋上目指して進む。屋上に行くには南校舎の階段しかない。

 「二階の渡り廊下を抜けて、職員室の前を通りましょう。」
 「そこが一番見通しがいいからな。よしっ。」

二人はまず二階の渡り廊下を目指した。

 「…竜沢くん、慎重に行きましょう。」
 「鏡?」

渡り廊下に差し掛かった際、鏡が真顔になった。それを見て竜沢も周囲に気を配る。

 「…うまいですね、気配を消すのが。七月さんの言ってた事もまんざらハズれてないかもしれません。」

何かがいた。だが、すぐに気配を消したという鏡。只者じゃない事は確かであった。そして二人は慎重に渡り廊下を進んだ。

 「…竜沢くん!右です!」
 「へ?!」

渡り廊下の中間、突然何者かが竜沢に襲いかかった。しかも渡り廊下の右側天井から逆さまで現れたのである。上下共に黒い服で統一したスキンヘッドの大男だ。どうやら足を引っ掛け、それを軸にしている様子。

 「うわっ?!」

竜沢は慌ててその場に伏せた。するとスキンヘッドの大男、空振りした上に足を引っ掛けていた部分の雨樋が外れ、反対側に飛んで行った…。

 「あ。……ぎゃあああああぁぁぁー!」

スキンヘッドの大男は渡り廊下から地上に落ちた…かも。

 「…先に進むぞ、鏡。」

二人は何も見なかった事にした。そして渡り廊下を無事に通り抜け、職員室前の廊下を歩いて行く。

 「…ん?何だこれ。」

生徒指導室(GCSAの部室)の戸に、張り紙を見付ける竜沢。

 「何々?『竜沢一人で来い』……だとさ。」
 「僕達を分断したいんですね。」
 「仕方ない、な。」
 「そうですね。では気を付けて。」

竜沢は鏡と分かれ、咲子をすくう為に一人で屋上を目指す。


 こちらは数分前の隆正。

 「た、助けて下さい!」
 「何や、お前等!この子をどないする気や!」

隆正の後ろに女の子が隠れていた。そして、隆正達を囲む謎の黒ずくめの男達。

 「その女を渡せ。怪我をしたくなければな。」
 「やかましい!男がここで引き下がれるかい!」
 「じゃあ、くたばれ。」

男達は一斉に隆正に襲いかかった。


 再び龍青学園。

 「さ、さすがに一人だと恐いな。」

きょろきょろしながら慎重に進む竜沢。

 「…ふっふふ。」
 「びくっ?!だだだ、誰だ?!」

ちょっと声が裏返る竜沢。

 「名乗る訳にはいかぬ。」

廊下の突き当たり、竜沢の前方数メートル先に誰かが居る。

 「に、忍者…?」

目を凝らしてその姿を認識できた竜沢だったが、それが忍者だった為、力が抜けた。
全身黒の忍者服を着ており、目の部分だけが露出。頭部には金属の額あてが付いている。首元には鎖帷子が見え隠れしており、どうやら本物の忍者…な訳はない。

 「主の命により、学園から消えてもらう。」

忍者の頭領の様な格好をしたその男は背中の忍者刀を抜いた。それは本物ではなく木刀だったので、ちょっとホッとする竜沢。

 「お前等が甲をやったのか?」
 「さて、な。」
 「…咲ちゃんは何処だ。」
 「心配するな。それより自分の事を心配したらどうだ?」
 「自分の事も心配だが、咲ちゃんの事はもっと心配なんだよ。」

話しながら、ゆっくりと後退している竜沢。

 「ふっ、言うではないか。」

すり足でジリジリと近付いて来る忍者。その時、竜沢の背後から声が!

 「後ろに飛んで!」

その声に、咄嗟に後ろに飛ぶ竜沢。すると竜沢の右側の教室の、少しだけ開いていた扉の隙間から、真っ黒のヨーヨーのようなものが飛んで来た。
さっきのスキンヘッドの大男同様、鏡の声がなければ、竜沢は無事では済まなかっただろう。

 「ちっ!」

ヨーヨーのようなものを手に戻して教室から出て来たのは、袖の無い奇妙な黒い学生服を着た筋肉質の男だった。だが頭髪が坊ちゃん刈りであり、少々緊迫感に欠ける。

 「あ、危なかった。…助かったぞ、鏡。」
 「いえいえ。」

竜沢の背後から現れたのは、さっき分かれたはずの鏡だった。距離を置きつつ付いて来ていたのだ。

 「うぬ、謀ったか。」
 「うるせー。お前等みたいな卑怯者に言われたくねーし。」
 「全くです。しかも女の子をさらうとは最低の行いですね。」

ドライバーグローブをつける鏡。

 「ふっ…引くぞ。」
 「はっ。」

素早く逃げ去る二人。

 「あ。…え、えらく引き際が早いな。」
 「ですね…。」

呆気にとられる竜沢達。

 「何はともあれ、咲子さんを探しに行きましょう。」
 「あ、ああ、そうだな。」

しかし二人が屋上へ向かおうとしたその時、坊ちゃん刈りの男が出てきた教室側から物音が…。

 「ま、まだ誰かいるのか…。」
 「殺気は感じませんが…。」

そ~っと教室を覗き込む二人。そこに居たのは…

 「く~…」

布団をひいて寝ている咲子であった。

 「…。」

二人は無言になっていた。


 次の日。龍青学園生徒指導室。

 「…と、いう訳なんや!」

隆正はにこやかに話していた。

 「お前な…腕を骨折しといて嬉しそうに言うな!」

怒鳴る竜沢。隆正は左手をギプスで固めていた。
昨晩、竜沢から連絡を受けて家を出た隆正は、途中で数人の男に囲まれていた女の子を見付けて助けたとのこと。その時に左手を負傷、骨折したという事であった。

 「ふぅ~…で、その子が例のアイドル、鶴野つくしさんだったのね。」
 「せやねんせやねん。」

少し呆れて言う流香に、笑顔でうなずく隆正。

 「いや~何か俺、好かれてもうたっていうか。とにかく今日からボディガードとしてつくしちゃんと一緒に帰る事になっとるんで、よろしく!」
 「何がよろしくだ。それはGCSAとしての依頼か?第一、何でその子は狙われてるんだよ?そこんとこちゃんと聞いてるんだろうな?」
 「アホなこと言うなや神侍!つくしちゃんはええ子や!きっと、悪者に狙われてるけどそれを簡単には言えん訳があるんや!そうに決まっとる!困ってる子を放っとけるか?!ええ?!…依頼云々関係なしで、私は彼女を守ります。」
 「なぜ標準語?!」

突っ込む竜沢を無視して、ニタニタしながら部室を後にする隆正。

 「舞い上がってるわね。この前まで深雪先生の方がいいって言ってたのに。」
 「どう思う鏡、流香。」
 「昨夜の忍者との関係ですか?」
 「タイミングとしてはピッタリね。そうすると鶴野つくしがその忍者達とつながってる…って事になる、か。」
 「そうだな…まぁもう少し調べてくれ、鶴野つくしって子の事を。」
 「分かったわ、確かに私も高瀬くんの最期の言葉が引っ掛かってるし。」

それは『鶴』と『つくし』という、あの言葉である。更に銀色の折り鶴。関係がある可能性は高い。ところで『高瀬くんの最期』って…。

 「じゃあ竜沢くんと鏡くんは、隆正くんを見張って。」
 「おう。…今回こそタダ働きか。」

頭をかく竜沢。

 「何言ってんのっ。甲くんや高瀬くんの為にも…でしょ?」
 「そうだな。ほんじゃ鏡、放課後にここで落ち合おうか。」
 「分かりました。あ、そう言えば…七月さんと学美さんはどうなりました?」
 「ふぅ~…。」

鏡の質問に、外人みたいに両手を開いてため息をついて首を振る流香。

 「何となく分かりました。」

冷や汗を垂らして納得する鏡と竜沢。で、その頃の七月と学美…

 「約束通りやってもらうわよー!」
 「か、堪忍して~!」

学美に萌え系の服を着せてフラメンコを躍らせる為に追う七月と、七月に萌え系の服を着せられてフラメンコを踊らされない為に逃げる学美。朝からずっと学園内を走り回っている様だ…。


 「そして、あっという間に放課後だが…行くか。」

部室に竜沢が来ると、待っていた鏡がいた。流香はまだ来ていない。

 「はい。隆正くんはまだ学園内にいる様なので、靴箱の所で待ち伏せしましょう。」
 「そうだな。」

二人は部室を後にする。その約十分後、流香が部室に入って来た。

 「もう鏡くん達は行ったみたいね。私も早く帰ろ。高瀬くんがいないから以前みたいに私一人で調べないとね。」

部室の金庫内に置いてあったノートパソコンを取り出し、鞄に入れる流香。その時、部室に一人の男が入って来た。

 「?!」
 「天野流香…しばらく学園から消えてもらいたい。」

それは昨夜、竜沢をヨーヨーのようなもので襲ってきた坊ちゃん刈りの男だった!

 「竜沢くんから聞いた特徴で、あなたじゃないかと思ってたわ、二年の転校生…。甲くんをあんな目に合わせたのは、あなたね。高瀬くんは…また別かな。」

流香の目つきが変わった!それはいつぞや、学美と一緒に猪野岡達と戦った時の目だった。戦闘体勢に入ったという事である。しかし相手は甲を倒したかもしれない男…流香に勝てるか?


 一方、隆正は…

 「そーなんや!わっははっ!」
 「山嵐さんって面白いですねっ。」
 「もー、『隆正さん』でええって!」

つくしと二人仲良く歩いていた。それを陰で見ている竜沢達。

 「何か馬鹿らしくなってくるなぁ。」
 「まあまあ、ここは我慢ですよ。」

竜沢をなだめる鏡。

 「しかし昨日の奴ら、今日は来ぇへんな。」
 「きっと隆正さんを怖がってるんですよ。昨日の隆正さん、凄く強くてカッコ良かったもんっ。」

上目使いに隆正を見るつくし。

 「お、おお、おうっ、まあな!ま、俺にかかれば楽勝やで!」

小悪魔っぽい子に弱いな、隆正。それに対し『見てらんねー』という表情の竜沢。
そして結局何事もなく、つくしは家に着き、隆正も帰っていった。

 「…何もなかったな。」
 「ええ。ここ…鬼緑とグレートの近くですね。」

この学園都市には学区はない。だから区域で行く学校が決まる事はないので、遠くても近くても関係なく好きな学校に通えるのだ。ただし生徒数は極力均等にするという決まりがある為、集中した場合は他の学校へ振り分けられる事もある。
ちなみに隆正や七月、それに甲は龍青学園が一番近いが、竜沢は真橙中学校の近くで鏡もその近所。流香と学美は鬼緑学院の近くに住んでいる。そして咲子は抹紅中学校の近くの大豪邸である。

 「流香ん家の近所だな。」
 「ですね。…思い出しますね、流香さんと出会った時のこと。」
 「あー、あれな。あいつ、でっかい眼鏡掛けてたよなー。」

思い出して笑う竜沢と鏡。

 「今思えば流香さんも随分と柔らかくなりましたね。いや…元から、だったのかもしれませんね。」
 「だな。あの頃は殻に閉じこもって…まぁこじ開けたけど。」

流香と出会った頃の事を楽しく話していて、二人は気付いていなかった。つくしが入ったフリをした家の表札が『鶴野』じゃない事に。

 「う~む。とにかく何もなかったんだ、帰るとしようか。」
 「ただ帰るのも味気ないですね。どうです?たこ焼きでも。」
 「おっ!いいねぇ!この辺ならタコタコ亭だなっ。」
 「おいしいって話しですねぇ。じゃ、ごちそうさま。」
 「って、何でやねん!」
 「隆正くんになってますよ。」
 「うおおっ!嫌なこと言うな!」
 「じゃ、ごちそうさま。」
 「だから何でやねん!って、そういやこの前ツッコミという名のボディーブローをくらってな、姉ちゃんから。」

二人仲良く漫才しながらたこ焼き屋を目指す竜沢と鏡。流香がヤキモチを焼くのも分かるくらい恋人風な二人であった。


 そして、その流香は…

 「あんたの力は分かった。もう無駄な抵抗はやめろ。」

舞台は屋上に変わっていた。

 「はぁ、はぁ、この男…」

流香は竹刀を構えていたが、その手は微妙に震えていた。

 「この男?ちゃんと名乗ったんだ、その名で呼んでくれ。」

男は自分を倒せば全て話すと言い、屋上へと流香を誘ったのだ。甲も同じ様に屋上近くまで誘い出されたと考えられる。流香も、部室から持ち出した自分の愛刀である『花柳(かりゅう)』(竹刀)を思う存分振るうには、屋上は打って付けだった事もあり、あえてこの誘いに乗った。
しかし逆に考えれば、男はそれだけ腕に自信があるということ。しかし流香も一対一で戦えば勝てるという自信があったのだ。それは、甲や高瀬の敵を討ちたいという思いが…仲間を思う気持ちが、流香から冷静さを奪っていたのかも知れない。

 「忘れたのならもう一度言おう。俺は森林(もりばやし)…通称、文房具の森だ。」

間抜けな通称であった。一度聞けば忘れる訳がない。流香はあえて呼ばないだけである。

 「私の仲間…大切な仲間をっ!」

竹刀を上から振り下ろす流香。森林はそれを真っ黒なシャーペンで軽く受ける。しかも片手で、だ。

 「甘い!」

森林はもう一方の手でヨーヨーのように巻尺を放つ。

 「あうっ?!」

流香の引き締まったボディにヒットした。

 「うう…。」

その場に膝を付く流香。

 「そろそろ巻尺ではなく、このメジャーの方でいくか。」

真っ黒な巻き尺から真っ黒なメジャーに持ち替え、とどめに入ろうとする森林。
流香、絶体絶命!…なのか?

 「なぁに痛いのは一瞬で、目が覚めたら病院のベッドの上だ。どうという事はない。じゃあ…恨んでくれるなよ。」

森林の手から、流香の頭部目掛けてヨーヨーのようにメジャーが放たれる!

 〝鏡くん…!〟

心の中で鏡の名を呼ぶ流香。



 「ん?」
 「どうした、鏡?」
 「いえ…何か今…。いえ、何でもないです。」
 「そうか。しっかしうまいな、このたこ焼きっ。」

たこ焼きを食べながら、鬼緑学院辺りを歩いている竜沢と鏡だった。



 「なんだ?!」

森林が放ったメジャーは流香に命中せず、飛んできたバケツがぶつかり弾き飛ばされていた。

 「…え?」

バケツの『ガランガラン』という音を聞いて目を開けた流香が見たものは…

 「ふん。」

今バケツを投げたであろう甲だった!

 「甲くん?!」

驚く流香に甲は言う。

 「もっと嬉しそうな顔をしろ。鏡じゃなくて残念なのは分かるが。」

その言葉にちょっと赤面する流香。

 「き、貴様は谷角…病院送りになったはず…」

森林が焦っている。

 「ふん、俺は頑丈なんでな。竜沢ほどの回復力はないが。」
 「くぅ…ならばもう一度病院送りにしてやろう。川波鏡の周りに居る奴ら、全てを排除せよとのご命令だからな。」

メジャーを手元に戻しながら言う森林。

 「ほう?面白い話だな、聞かせてもらおう。今回はお前一人…ならば、俺には勝てん。」

その言葉は、前にやられた時は複数である事を物語っている。

 「女はいないんだろう?」
 「ぬう…。」
 「甲くん、女ってやっぱり鶴野…」
 「そう、鶴野つくしだ。」

流香は確信した。ここ最近の転校生全てが鶴野つくしやこの森林の仲間である事を。

 「さて…逃げるなよ。」

指をボキボキと鳴らす甲。さぁ行け!森林を倒せ甲!


 竜沢と鏡は走っていた。目指すは龍青学園。

 「どうなってる?!」

走りながら尋ねる竜沢。

 「谷角くんが戦い始めた様です!」

鏡はスマホを片手に持っていた。
実は流香は、甲が来て森林と話してる間に鏡に電話していた。もちろん会話してる訳ではない。流香は電話をつなげておいて、屋上での話しが聞こえる様にしたのだ。それで鏡はただ事ではない事を察知し、竜沢と共に龍青学園を目指して走っているのだ。

 「それにしてもあいつ、病院出て早々に何してんだ?!」
 「目覚めてすぐに病院を出て家にも帰らずそのまま龍青に行ったという事は、犯人の事を僕達に伝えたかったんじゃないでしょうか?」
 「なら電話するだろ?!あいつの事だ…多分即行仕返ししたかったんだな!」
 「な、なるほど…」

という会話をしながら龍青を目指していた。


 再び龍青学園屋上。

 「さっきの威勢はどうした?」
 「くっ。」

頭を押さえ、少しふらつく甲。甲はまだ本調子ではないようだ。

 「俺一人なら倒せる…確かそう言ったよな?」

森林は真っ黒なハサミを回しながら余裕の笑みを浮かべる。

 「それがどうだ?あ?」

だんだん話し方が荒く変わってくる森林に、しばらくうつむいていた甲は『ぷっ』と吹き出してしまった。

 「な、何だ?!」
 「いや…あまりに可笑しくて。」
 「うっ?!」
 「それぐらいで調子に乗ってるお前が…あまりに可笑しくて。」

ギラッとした目つきで森林の方を見る甲の口元は、薄っすらと笑みを浮かべている。そんな甲を見て、森林は思わず一歩引いてしまった。

 「お前の技は出終わったか?じゃあ…そろそろ行くぞ。」

ずいっと真正面に森林を見据えて甲は拳を握った。

 「くっ!」

森林は慌ててハサミとシャーペンを握り、奇妙な構えを取る。

 「…ハサミを頼む。」
 「え?」

流香にそう言うと、甲は森林に突っ込んだ。

 「ふん!」

甲の左正拳突き。それをシャーペンを持った右手で、力を受け流しながら止める森林。

 「これで終わりだ!」

左手のハサミを甲の右肩目掛けて振り下ろす森林!それを…

 「はぁっ!」

流香が竹刀で弾き飛ばした!

 「な?!」
 「終わりなのはお前だったな。」

ズムッ!

 「ぐっ…!」

甲の右拳が森林の腹部にめり込んだ。

 「ひ、卑怯…だ、ぞ…」
 「素手の俺に武器を使ってか?それに、鶴野に気を取られていた俺の頭にクソ重いメジャーをぶち当ててくれたのは…誰だったかな?」
 「ぐ、うう…」

森林はゆっくりと前のめりに倒れ、動かなくなった。

 「やったね、甲くん。」
 「ああ。」

甲は返事をしながら森林の手首を掴み、引き上げていた。

 「ちょっとそんな…釣った魚の大きさを自慢するみたいに…。」

だら~んとしている森林。完全に沈黙している様だ。

 「こいつにはまだ聞きたいことがある。だろ?」
 「そりゃまぁ…って、部室に連れて行くの?」
 「ああ。」

『ずる~りずる~り』と沈黙した森林を引きずって行く甲を見て、冷や汗をたらす流香であった。その時…

 「何っ?!」
 「むっ?」

ボンッという音と共に、辺り一面に煙がたち込めた。そして煙がなくなる頃には森林の姿がマネキンに変わっていた。

 「え、なんで?なにこれ?」
 「むぅ…」

目が点になっている流香と、唸る甲であった。


 生徒指導室。GCSAマイナス隆正が集合していた。

 「恐らくその煙はあの忍者コス野郎の仕業だな。」

駆け付けた竜沢が、甲達の話しを聞いてそう言った。

 「今までの話しから考えると…リーダー格がその忍者のコスプレさんでしょ?その下に文房具の森、鶴野つくし、竜沢くん達を襲ったスキンヘッドの大男。とりあえずこの四名が忍者軍団な訳よ。」
 「ふむふむ。」

流香の説明にうなずく竜沢達三人。

 「最近転校して来たのは一年に鶴野つくし、二年に森林と黒房(くろふさ)、三年には斎藤(さいとう)…この四人。つまりこれが忍者軍団のメンバーだと思うわ。あと、その他に情報屋が居る…気がするのよね。」
 「黒房に斎藤?」
 「特徴から、黒房っていうのがスキンヘッドの大男。斎藤が…恐らく忍者コスね。」
 「あ、あのスキンヘッドがクロフサ?名は体を現すというが…何となく違和感。」

四人は真顔でうなづいた。更に流香は恐ろしい事を言う。

 「下の名前は…光(ひかる)よ。」
 「……だーっはっはっはっ!」

竜沢、間を置いてからの大笑いである。

 「そ、それで、斎藤の名前は?あ~苦しっ。」

竜沢笑い過ぎ。

 「斎藤…権三郎(ごんざぶろう)。」
 「それ本名か?!本名なのか?!」

めっちゃ笑いながら聞く竜沢。

 「間違いなく本名よ。」

ツボに入る竜沢、大笑いである。そして数分後…

 「す、すまん、あまりに可笑しくて。じゃあ話しを戻そう。」
 「そうね、人の名前で大笑いするのは失礼ね。」

やっと落ち着いた竜沢が聞く。

 「で、流香、それ以外に転校生は居ないのか?」
 「そうね。後、龍青に来た人と言えば…音楽の黒崎深雪先生ぐらい。」
 「それはいくらなんでも…。流香のいう通り情報屋が居るとして、それが誰かは分からんがとりあえず転校生は全員敵って訳だな。とんでもない話しだなー。」
 「目的は何ですかね?何故僕の周りの人達を…」
 「むぅ。」

鏡の言葉に甲が唸り、その後しばらく沈黙。

 「…ともかく今後どうするか、ね。」

流香が口を開いた。

 「私や甲くんの件を考えると出来るだけ一人にならない方が賢明よね。学園内で一人になると襲ってくるところあるし。」
 「言えてるな。咲ちゃん誘拐事件の時は、俺と鏡の二人が揃った瞬間に逃げたからな。一人じゃなければ安心かも。」

竜沢がそう言うと甲がそれを否定する。

 「今回は逃げなかった。」
 「うーん…それはお前がいきなり出て来たからじゃないか?」

その時、鏡が少し暗い顔をして言う。

 「僕…絡みでしょうか?僕に対しての攻撃が無い。僕が居れば襲ってこない動きが見えます。」

その鏡の言葉に、甲と流香が目を合わせる。

 「僕絡みでみんなに迷惑が掛かっているとしたら…」

鏡がそこまで言った瞬間、竜沢が声を出した。

 「鏡!」

竜沢は鏡の頭に手を置き、髪をくしゃくしゃっとした。

 「え?!ちょっ…りゅ、竜沢くん?」

突然の事に目を白黒させる鏡。

 「いらん事考えてんじゃねーよ。お前は川波鏡。俺達の大事な仲間だ。それ以外に何か必要か?」

竜沢のその言葉に、きょとんとした後、うつむき加減に笑ってしまう鏡であった。

 〝ありがとうございます、竜沢くん〟

 「とにかく今は、奴らが何で襲って来るかなんて考えてても仕方ないだろ。とりあえず次にどう来るのか…だ。それを見極める。」

珍しく心強い竜沢に、少しむずがゆい一同。

 「竜沢くん、じゃあ次の忍者コスの動きを待つ…で、いい?」
 「流香。…そうだな、それでいこう。」

全員がうなずく。

 「僕の感覚が正しければ、ゴンザ・ブロウはかなり手強いと思いますよ。気をつけて下さいね、竜沢くん。」
 「分かってるよ、鏡…って、お前今…何かおかしかったぞ?」
 「え?何がです?」

鏡は本気で分からない様子。たまに天然。

 「いや、だから…ゴンザで切ってブロウって言わなかったか?」
 「そうですか?」
 「あーもうっ、名前の事はいいわよ。じゃあこれからゴンザって呼びましょ。」

竜沢と鏡の会話を聞いていて、名前の事はもういいとか言いながら勝手に呼び名を決める流香。

 「了解。」

甲は了解した。

 「とにかく私は転校生全ての情報をもう少し調べるわ。竜沢くんは咲ちゃんや七月を守ってあげて。相手のやり方からして、恐らくもう巻き込まれる事は無いと思うけど。」
 「何でそう言い切れるんだ?」
 「ふぅ~、目的が見えないのよ。竜沢くんを狙うなら他にもっとシンプルな方法もある。咲ちゃんをさらうなんて、一歩間違えればとんでもない大事になるわ。そんな危険を冒してまで実行した作戦にしては、お粗末すぎるのよ。つまりあれは『俺たちはここまでやるぞ』というアピール。私達への威嚇…ってとこかしら。」
 「威嚇って…」

流香の説明に、いまいち納得できない竜沢。

 「あと、隆正くんと私達を混乱させる要素もある。よくある手だけど…今までの相手より陰湿で厄介ね。」
 「ま、まぁつまりなんだ…咲ちゃんや七月を守るのは念の為なんだな?」
 「ふぅ~、そうね、あくまで念の為。甲くんは学美を守るのと、あと…深雪先生を見張ってて。」
 「何?」

不思議な顔をする甲。竜沢と鏡もである。

 「どうも気になるのよ、さっき言ってた情報屋の件なんだけど…。何もつながりがないならそれでいいから。」

実は流香は高瀬がやられた事を考えていた。流香と高瀬がつながっていたのをゴンザ達が調べたのかもしれないが、もしかすると深雪先生が関係しているかもしれないと。
何故そうなるかと言うと、深雪先生が転任して来る少し前…抹紅中との湯飲み茶碗争奪杯の時に、高瀬と話しているところを大人の女性に見られたこと…更にその女性が深雪先生似だった事を思い出したからだ。
今考えると引っ掛かる…流香はそう思ったのである。

 「お願いね。」
 「了解。」
 「鏡くんは、竜沢くんと甲くんのフォローと…鶴野つくしをマークすることっ。」

最後の方のセリフは、何故かぶっきらぼうになっていた。

 「分かりました。」
 「流香、どうしてそんなに嫌そうに言うんだ?」

分かってて聞く竜沢。意地の悪い奴である。

 「べ、別に何でもない。とにかくそういう事で、いいわねっ。」
 「分かった分かった。」
 「分かりました。」
 「了解。」
 「ふぅ~。…一人いないわね。」

いつものやかましい声がない。

 「え~と、隆正は…鶴野つくしって子のとこだな。」

そう、隆正はつくしに骨抜きにされている。つくしが関係有りなら、隆正が腕を折られた事も忍者軍団の仕業なのだろう。今回何もなかったのは幸いだが、隆正がつくしと一緒に下校するという事は…

 「ゴンザ軍団にとって毎日が隆正を潰すチャンス…という訳か。」
 「それは違うと思うわ。」
 「どういう意味だ?」
 「ふぅ~。隆正くんを病院送りにしようと思えばとっくにやっていると思う。そして甲くんを誘い出す為に使った銀色の折り鶴…わざわざここに残していったのは、鶴野つくしに私達の目を向かせるための行為と考えるのが妥当ね。総合して考えると、隆正くんの腕を折っただけで終わらしたのは…私達を分断させる作戦よ。」

流香による推理は、敵は隆正を使って仲間割れを狙っているというもの。
つくしを信じきっている単純な隆正に、つくしが敵かもしれないと伝えれば、隆正は反発するか信じないかである。もし反発すれば仲間割れ。信じなくても仲間に対し不信感を持つ。内部分裂を狙ってのことだと。

 「ついでに僕達のうち一人が隆正くんを護衛しなくてはならなくなる…それも狙いかもしれません。」

鏡がそう続けると竜沢がうなずきながら言う。

 「なるほど、こっちも限られた人数だからな。どっかに穴が出来るのを狙ってる、のか…。」

二秒の沈黙の後、甲がボソッと言った。

 「無駄な事を。」

その言葉にまたもうなずく竜沢。

 「だな。…隆正は放っておこう!」

竜沢言い切った。

 「そうすると逆に向こうが一人、人員を無駄に使う事になる。鶴野つくしは隆正と一緒にいなければならなくなるからな。」

竜沢のその言葉に納得する甲。

 「そ、それでは隆正くんがあまりに…あまりに哀れで…」

鏡が隆正をかばう…

 「ちょっと…笑えますね。」

ことはなかった。そう、こいつらはこんな奴等だった。

 「じゃ、そういうことで…帰りましょっ。」

流香は鏡が送り、竜沢と甲は一緒に帰路につく。


 帰り道。鏡と流香は並んで歩いていた。

 「…どうしてなんですか?」
 「えっ?な、何が?」

動揺している流香。

 「いつも僕と二人になるとあまり話さないですよね?」
 「えっ、そ、そう?」

確かにそうである。このところ特にそうなっている様だ。

 「どうしてです?」

流香の顔をのぞき込む様にしてもう一度聞く鏡。

 「ど、どうしてと言われても…。」

目をそらす流香。

 「そう言えばあの時もそうでしたね。流香さんは竜沢くんとだけ話してて…」

鏡は、流香と初めて会った時の事を言っていた。
元々流香は天才の上にかなりのひねくれ者で、小学生の頃は大きめの眼鏡(度が入っていない伊達眼鏡)で顔を隠すようにして、ほとんど誰とも話さない子であった。ところがある件で竜沢と鏡と関わる事になり、二人に助けてもらった事や竜沢の強い要望もあって、龍青学園に入る事になったのである。

 「え、えと、それは…」
 「あっ、ミシェルっ。」
 「へぇっ?!」

突然目の前を通った犬に反応して駆けて行ってしまう鏡に、素っ頓狂な声を出して目を白黒させる流香。

 「よしよし、いい子ですね。」

セントバーナードの頭を撫でている鏡を見て、肩の力をすぅっと抜く流香。

 「この子、ミシェルっていうの?」

流香も犬の頭を撫でに行く。

 「可愛いでしょう。でも何故一人で?」
 「一人って…。あはっ、この子言葉が分かるみたいね。可愛いに反応してるっ。どこの子なの?」

流香達に可愛いと言われてジャレつくミシェル。その流香の笑顔を優しい眼差しで見ている鏡に、流香は気付いていなかった。
ちなみにこの後、駆け付けた飼い主(?)と合流したミシェルは、無事に園花家へと帰って行った。そう、ミシェルは咲子のペットであった。お手伝いさんが散歩していたようである。咲子はすげー金持ちさんなのである。


 一方、色気もクソもない竜沢と甲の方は。

 「で、お前何で病院抜け出してすぐ龍青に行ったんだよ?先に連絡くれりゃ良かったのに。」
 「スマホは充電が切れていた。公衆電話で話すのも面倒くさかったんでな。それに…何となく龍青に行きたくなった。」
 「自分がやられた場所を見たくなったのか?」
 「やられていない。鶴野つくしに気を取られただけだ。負けた訳じゃない。」
 「なるほど。」

しばらく無言になる二人。

 「なぁ甲。お前が無口なのは知ってるが、そう言う事じゃなくてな…俺の気のせいならいいんだが、お前って…俺らとちゃんと向き合ってるか?」

竜沢のその言葉に、甲は目付きが変わった。

 「何つーか、俺らに心を開いてないとかそんなんでもない。…ただ、仲間であっても頼りたがらないっていうか…いや、ちょっと違うな。…特定の人物に対してだけだと思うが…変に意識してるな?お前。」

竜沢の言葉に甲は目を伏せた。そして竜沢の方を見ずにこう言った。

 「俺はただ、強い奴と戦いたいだけだ。」
 「…それは、仲間であってもか?」
 「…。」

竜沢の問いに無言で応える甲。
その態度で、竜沢は自分の考えが間違っていない事を確信した。それは甲が鏡に対してライバル心を持っている…という事だ。
自分よりも強いかもしれない存在『川波鏡』に対し弱みを見せない…見せたくない。甲は、いずれ鏡と本気で戦う事を願っている…ということを。
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