私の脳内会議がうるさい

恋した蕎麦

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第1章 猛獣たちの目覚め

♯4 光属性の同期登場

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憂衣「ふぅ……落ち着け私。今は官能小説家じゃなくて、しがない会社員なのよ……」


梶さんからの「氷のデコピン」を喰らった憂衣は、真っ赤になったおでこを冷やすため、休憩フロアで缶コーヒーを買う。

おでこに当てた冷たさが心地いい。だが、脳内ではまだ、梶さんのあの綺麗な指の節々がスローモーションで再生されている。

(……あの指。あの中指のしなり……っ! 弾かれた瞬間の、骨と肉の完璧な調和! 思い出すだけで『丸秘メモ』が1万字埋まっちゃうわ……ッ!!)


?「お、憂衣じゃん。そっちも休憩?」

憂衣「ひゃいっ!?」


不意に背後からかけられた、明るく軽やかな声。

驚いて振り返ると、そこには憂衣の同期で、社内でも「王子様系」と名高い黒島 旭(くろしま あさひ)が立っていた。

少し明るめの髪をラフに遊ばせ、人懐っこい笑顔を浮かべる旭。

彼は手に持っていた書類をベンチに置いて、憂衣に近づいてきた。

(ひょえ……っ! 光属性のイケメン、旭くん登場!! 見てよあの、梶さんとはまた違うあの筋肉……! シャツの上からでもわかる、無駄な脂肪のない若々しい体格……ッ! 眩しい、眩しすぎて直視できない資料だわ……!!)

旭は憂衣の顔を覗き込むと、ぷっと吹き出した。


旭「あはは! どうしたのそのおでこ。真っ赤じゃん。もしかして、どこかの壁に自分から突っ込んだ?(笑)」

憂衣「ち、違うよっ! これは、その……梶さんからの、熱い……じゃなくて、優しいご指導の証でっ!」


慌てて言い繕うが、興奮のあまり最後がぶつ切りになってしまう。旭はさらに面白そうに目を細めた。


旭「梶さんねー。相変わらず厳しいな。でも、憂衣のおでこ結構いい音しそうだもんね?」


そう言って旭は、いたずらっぽく笑いながら、憂衣のおでこを覗き込むように顔をさらに近づけてきた。

(ぎゃ……!近い、近いですよ旭くん! その、ふんわり香るバニラの香りと、白くて綺麗な首筋……! う……ッ!)


旭「ほら、貸して。俺が冷やしてあげるよ」

憂衣「っ!? い、いいですよ自分でやりま……っ!」

旭「いいからいいから」


旭は憂衣の手から缶コーヒーをひょいと取り上げると、空いた方の手で憂衣の髪をふわりと掻き上げた。

指先が微かにおでこの端に触れる。梶さんの硬質な指とは違う、少し体温の高い、柔らかな感触。


旭「……んー。これ、結構痛いんじゃない? 梶さん、意外と加減知らないんだから」


旭の優しい、けれどからかうような瞳が至近距離で見つめてくる。

憂衣の「変態脳」は、この新旧・イケメンからの胸キュン攻撃に、いよいよショート寸前だった。

(ひ、ひょえ……っ! 梶さんの『氷』と、旭くんの『光』……! 贅沢、贅沢すぎるわっ!! 私、この会社に入って本当に良かったぁ……っ!!)

休憩フロアの片隅で、憂衣の妄想(という名の執筆)は、さらなる高みへと加速していくのだった。
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