D○ZNとY○UTUBEとウ○イレでしかサッカーを知らない俺が女子エルフ代表の監督に就任した訳だが

米俵猫太朗

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第三十二章

ブヒリオバトル

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「なんだ、ショー殿であったか!」
「焦って損したっすよー」
 俺を見上げた先輩後輩コンビはあまりにもあまりな言い方で胸をなで下ろしたが、こちらはもう怒ったり呆れたりを通り越していた。
「他のエルフがいないからって、そういうのを広げるのは良くないと思いますねー。『帰りの電車内でもグッと我慢』が即売会の掟でしょ?」
 伝わらないかもしれないがそう言って、俺はテーブルを囲む椅子の一つに座る。
「ぐへへ……つい解放感で」
「面目ないっす」
 リストさんとクエンさんはそう言いながら身体を戻し、机の上の本を端へ寄せた。俺はそれで空いたスペースに皿を起き、食べ物を勧めながら口を開く。
「自分で言っておいてなんですが、即売会の帰りじゃないですよね? どうしたんですか、その本?」
「これは……遂に明けたという事で」
「はあ?」
「リストパイセン、ゴルルグ族戦の後で『次に得点するまでBL禁止』って自分で決めてたんっすよー! 割と早く解禁になっちゃったすけど」
 首を傾げる俺にクエンさんがそう説明する。なるほど、ジンクスとか願掛けの類か。別のスポーツだが確か落合監督も優勝を逃して一年間のガンダム禁止令――後にシーズン後から次のシーズンの開幕までに短縮――を息子の福嗣さんに課せられたりしてたな。
「いや、まあ、良かったですね……」
 しかしそれで選んだのがよりにもよってショタBLなのか……と思いながら俺はミートパイをかじる。美味い。
「ただクエンが持ってきてくれたブツがショタカウンターばかりで」
「いやちゃんとショタ友たちがお兄さんを囲むモノもあるっすよ!」
 俺は腐ったコンビの話を聞き流しながら、リヴァプール所属のポルトガル人FWジョタ選手がカウンターで疾走する姿を思い浮かべていた。そう言えばポルトガルにも有名なパイがあったな。あれはお菓子系だっけ?
「それはそうとしてですね。実はお二方にお願いがあって来たんですよ」 
 パイの名前を思い出すのを諦めて俺は本題へ入った。
「おう、何でも言って欲しいでござる!」
「ありがとう! えっと、リストさんかクエンさんがヨミケから持ってきた本の中に、日本の古典とか文学作品ってありますか? あれば貸して頂きたいんですが」
 そう言って慌てて、
「あ、できればアレンジの少ないやつで。二次創作じゃない原作そのものがあれば一番、良いです」
と付け加える。
「古典っすか! そこそこあるっすけど、ファンタジー要素はアリですかナシですか?」
「アリで」
 ナイトエルフというファンタジーどっぷりの種族にそう言われるのは不思議だなあ、と思いながら俺はクエンさんの設問に答えていく。
「恋愛要素は?」
「アリ」
「SF要素」
「ナシ」
「身分違い」
「アリ」
「性行為の描写」
「ナシ」
 アキネイターかな?
「クエン、これはどうでござる?」
 そこでリストさんが一冊の本を差しだし、クエンさんが眉間に皺を寄せた。
「あー説明が難しいので具体的に聞くっすけど、ギャル語翻訳は?」
「そんなのあるんっすか!?」
 と驚きつつも、平安時代のなんやかんやはギャルの日記みたいなもの……という説を思い出して納得する。
「すみません、先に用途を言うべきでした。今度レイさんたちの学校の国語教師さんと日本の文化文学について勉強するんですよ。で、その教材が欲しくて。できれば日本語としては普通に近いのでお願いします」
「そうなんすか! じゃあ村上○樹翻訳版はナシっすね」
 俺の釈明? 説明を聞いたクエンさんは同じく納得してまた選別へ入った。ってハルキ翻訳の日本古典とかあるのか!? いやどの道、性行為描写はナシでお願いしてるので無理だが。日本語としては美しい文章なんだけどなあ。
「ほうほう、イケナイ個人授業! ショー殿も隅におけないでござるなー!」
 一方のリストさんは別の部分に喰いついてテンションを上げる。調子戻るとこれだもんな! まだまだ無得点でいれば良かったのに、とまでは言わないが、もう少し静かでも構わないんだぞ!
「言っておきますけど相手は女性ですよ。アリス先生って方で、俺は日本語や文学について、彼女はエルフ文化について相互学習する予定です」
「そうでござったか。いやしかし、イヤラシー雰囲気が必要であれば、何時でも拙者が助太刀いたす!」
「結構です!」
 リストさんと言えば出歯亀だ。この出歯亀とは盗み見の事で、そういうモンスターがいる訳ではない。いやこの世界にはいそうだな?
 ともかく、彼女には何度か女性と二人きりのシーンを覗き見されている。リストさん的にはじれってーのでもっといやらしい雰囲気にしたいそうだが、ノーサンキューである。釘を刺しておかねば。
「良いですか、相手は聖職者ですしレイさんポリンさんの関係者でもあります。あと彼氏もいるそうです。くれぐれも変な気を回したり観察しようとしたりしないで下さいね!」
 俺がそう言うとリストさんは
「分かったでござるよ~。見てないみてないー」
と懐からサングラスを取り出し顔にかけた。いやそれ見えてるやつやろ! 俺は本当に真っ黒で前が見えないサングラスを持ってるけど。
 あ、そう言えばそれを使えばセンシャの儀式を見てるフリが出きるか? しかし前に水着の試着をそれを使った際はヒドいことになったし、どうするかは考えものだな。
「ショーパイセン、これならどうっすか?」
「なになに……あ、『源氏物語』か!」
 俺はクエンさんに差し出された書物を受け取り、魔法の眼鏡をかけて表紙のタイトルを読んだ。
「そうっす! 子供向けの学習漫画形式で、ストーリーは漫画で、解説や本文は文章で書かれているやつっす」
「申し分ない、最高だよ! ……実はヒロインが全部、男に性転換されてるとかじゃないよね?」
 その書物をパラパラとめくりつつ、念の為に訊ねる。クエンさんとリストさんの性向、及び最近のモーネさんリュウさんの件でその当たりにはだいぶ警戒心を抱くようになっているのだ。
「え、そっちが望みでござるか!?」
「ちゃうわ! じゃあこれをお借りします」
 リストさんの言葉を否定し、クエンさんにそうお願いする。その後、俺は真面目なナイトエルフと相談してあと数冊、借りて帰る事となった……。
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