669 / 700
第三十八章
ビッシャピッシャ
しおりを挟む
サッカーで一人の選手が3点穫るのは……ハットトリックとして有名である。では2点は何だろう?
マニアが言いがちなのは
「ドッピエッタ」
唐突にイタリア語である。普通に『2』を表す言葉から来てるって。
もちろんドイツ語やスペイン語にもそれを表す言葉はあるのだが、ドッピエッタが好んで使われるのはその語感の面白さと『通っぽさ』が理由ではないかと推測している。
なぜ急にそんな事に言及しているのかと言うと、一日に二度もシャワー室で選手から襲われる経験も広い意味ではドッピエッタかな? と考えていたからだ。
「ちょっとレイさん危ないですよ! 足下がまだ濡れていますし!」
「確かに怪我させたらあかんね。ほなこけんように座ろっか!」
そう話す間にもレイさんはこちら壁へ追い詰め、俺の両肩に手を置いてそっと床へ座らせた。両手に服を抱え、彼女の足下も気にしている俺に抗う術はない。そのまま濡れたフロアに尻餅をつく。
「ああ、せっかく服を着替えたのにまた濡れた……」
「へっへっへ。濡れるのは服だけやないかもしれんで?」
「なんやそれエロ親父か! むーっ!」
あまりにオッサン臭い言い方に俺も思わずツッコミを入れる。その隙を逃さず、レイさんは唇を重ね舌をねじ込んできた!
「ぴちゃぴちゃ」
という音がシャワー室に響く。もちろん、いやらしい方の音ではなく水滴が天井から落ちる音だ。それが聞こえる程の静寂に包まれているのである。
「ぷはーっ!」
しばらくしてその静けさを破るように、口を離したレイさんが大きく息をついた。まるで仕事あがりのビールを一気飲みして一息つく親父のようだ。てかいちいち行動がオッサンっぽいね!?
「ううっ……」
一方の俺は哀れな子犬のような濡れ落ちていた。別にレイさんから無理矢理ディープキスされた事を嘆いている訳ではない。それは慣れているし、どちらかというと気持ちの良い――今回は特に情熱的だったような気がする――行為でもあるし。
俺が悲しんでいるのはまだ乾いてない床や壁に押しつけられ、濡れそぼっている事についてだ。
「あらあらショーキチにいさん、女の子みたいな声を出してどうしたん?」
そんな俺を見てレイさんがおかしそうに笑った。
「それはこういう文脈で使う台詞ではありません!」
それに対しては思わず突っ込んでしまう。レイさんがオッサン化するのは自由だが、俺はオネショタにはウルサいのだ。
「ほな、正しい文脈で使う?」
実年齢で言えばお姉さんと言っても過言ではないナイトエルフは、言いながら俺のジャージをさっと上にたくし上げ、露わになった臍の付近をペロっと舐めた。
「ひゃん!」
床は冷たいが彼女の舌は暖かく、俺は女の子の様な悲鳴を上げる。そうそうこれがオネショタにおける正しい文脈……だけど正しい行為ではない! 本能のままにツッコミをして事態を悪化させる癖、いい加減に直さないと!
「レイさん駄目です!」
俺は今の今まで大事に抱えていた服の類を投げ捨て、両手で彼女の顔を掴んだ。腹を舐められるだけならまだ良い。だがその舌が下に行っても上に行っても、かなりエッチな行為を彷彿させる動きになってしまう!
「ちょ、頑張らないで!」
そして痛くないように気をつけながら俺の身体から引き離そうとするが、レイさんは蛇の様に舌を伸ばし最後の瞬間まで俺の腹を舌先をツツき続ける。
冷静に考えると、とんでもない格好してるね!?
「んー! もうちょっと舐めてたかったけど、まあ今日はこれくらいにしといたるわ」
しかしレイさんは意外とあっさりと俺の抗議を受け入れ、俺の両手を上から掴んで一気に引き起こしてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
少し拍子抜けしたがこれ以上、余計な事を言うとまた藪から蛇を出してしまうかもしれない。というか蛇には大人しくしていて貰おう。俺は礼を言いつつ、床に落ちて湿り気が増えたであろう衣類を拾う。
「ウチの為に髪まで切ってくれたんやもんね」
「へっ!?」
ちょうど腰を屈めた瞬間を捉えてレイさんは俺の頭部を両手で掴んだ。先程、俺が彼女を引き離した時と逆の状態だ。
「だからショーキチにいさんの意向にはなるべく答えたいけど、ウチの方は受け入れる準備はもうできてるで。何時でも言うてな?」
ナイトエルフの少女はそう言うと俺の頭部を自分の下腹部へ押し当てた。水の匂いに混じって彼女の体臭が鼻孔を直撃し、俺は頭がくらくらとする。
「ほな。ちょっとだけやけどクールダウンに入ってくるわ」
それからレイさんは俺の頭部を離し、そんな言葉を残してこの場を去った。
俺はずっと混乱したまま下を向いていたので、彼女がどんな表情をしていたかは分からない。だが自分が今の状態でここを出て行ったら駄目なのは分かる。
俺はそっと壁のボタンを押し、服を来たままお湯を頭から被った。気持ちを落ち着かせる為に。
シャワーを浴びるのに1分。濡れたまま監督室へ行くのに2分。最後の予備の服に着替えるのに1分。手拭いを手に俺が濡らした廊下を拭きながらシャワー室まで逆行するのに5分。ギリギリだった。
「あれ? 監督どうしたの?」
「これからみんなシャワーよ。遠くへ行きなさいよ!」
整理運動を終えた選手たちがぞろぞろと向こうからやってきて、先頭のユイノさんとリーシャさんが声をかけてきた。
「ごめん、先に俺が使って濡れたから拭いていたんだよ。じゃあ、どうぞ」
俺は親友コンビにそう弁明し、さっさとその場を去る。良かった、彼女たちは俺の服がまた変わっている事に気づかなかったらしい。
「若いだけあってそういうところは鈍いんだよな。助かるけど」
廊下の角を曲がってから安心して呟く。そんな安堵からか、俺は俺で失くしたブツについてはついぞ気づかないのであった……。
マニアが言いがちなのは
「ドッピエッタ」
唐突にイタリア語である。普通に『2』を表す言葉から来てるって。
もちろんドイツ語やスペイン語にもそれを表す言葉はあるのだが、ドッピエッタが好んで使われるのはその語感の面白さと『通っぽさ』が理由ではないかと推測している。
なぜ急にそんな事に言及しているのかと言うと、一日に二度もシャワー室で選手から襲われる経験も広い意味ではドッピエッタかな? と考えていたからだ。
「ちょっとレイさん危ないですよ! 足下がまだ濡れていますし!」
「確かに怪我させたらあかんね。ほなこけんように座ろっか!」
そう話す間にもレイさんはこちら壁へ追い詰め、俺の両肩に手を置いてそっと床へ座らせた。両手に服を抱え、彼女の足下も気にしている俺に抗う術はない。そのまま濡れたフロアに尻餅をつく。
「ああ、せっかく服を着替えたのにまた濡れた……」
「へっへっへ。濡れるのは服だけやないかもしれんで?」
「なんやそれエロ親父か! むーっ!」
あまりにオッサン臭い言い方に俺も思わずツッコミを入れる。その隙を逃さず、レイさんは唇を重ね舌をねじ込んできた!
「ぴちゃぴちゃ」
という音がシャワー室に響く。もちろん、いやらしい方の音ではなく水滴が天井から落ちる音だ。それが聞こえる程の静寂に包まれているのである。
「ぷはーっ!」
しばらくしてその静けさを破るように、口を離したレイさんが大きく息をついた。まるで仕事あがりのビールを一気飲みして一息つく親父のようだ。てかいちいち行動がオッサンっぽいね!?
「ううっ……」
一方の俺は哀れな子犬のような濡れ落ちていた。別にレイさんから無理矢理ディープキスされた事を嘆いている訳ではない。それは慣れているし、どちらかというと気持ちの良い――今回は特に情熱的だったような気がする――行為でもあるし。
俺が悲しんでいるのはまだ乾いてない床や壁に押しつけられ、濡れそぼっている事についてだ。
「あらあらショーキチにいさん、女の子みたいな声を出してどうしたん?」
そんな俺を見てレイさんがおかしそうに笑った。
「それはこういう文脈で使う台詞ではありません!」
それに対しては思わず突っ込んでしまう。レイさんがオッサン化するのは自由だが、俺はオネショタにはウルサいのだ。
「ほな、正しい文脈で使う?」
実年齢で言えばお姉さんと言っても過言ではないナイトエルフは、言いながら俺のジャージをさっと上にたくし上げ、露わになった臍の付近をペロっと舐めた。
「ひゃん!」
床は冷たいが彼女の舌は暖かく、俺は女の子の様な悲鳴を上げる。そうそうこれがオネショタにおける正しい文脈……だけど正しい行為ではない! 本能のままにツッコミをして事態を悪化させる癖、いい加減に直さないと!
「レイさん駄目です!」
俺は今の今まで大事に抱えていた服の類を投げ捨て、両手で彼女の顔を掴んだ。腹を舐められるだけならまだ良い。だがその舌が下に行っても上に行っても、かなりエッチな行為を彷彿させる動きになってしまう!
「ちょ、頑張らないで!」
そして痛くないように気をつけながら俺の身体から引き離そうとするが、レイさんは蛇の様に舌を伸ばし最後の瞬間まで俺の腹を舌先をツツき続ける。
冷静に考えると、とんでもない格好してるね!?
「んー! もうちょっと舐めてたかったけど、まあ今日はこれくらいにしといたるわ」
しかしレイさんは意外とあっさりと俺の抗議を受け入れ、俺の両手を上から掴んで一気に引き起こしてくれた。
「あ、ありがとうございます……」
少し拍子抜けしたがこれ以上、余計な事を言うとまた藪から蛇を出してしまうかもしれない。というか蛇には大人しくしていて貰おう。俺は礼を言いつつ、床に落ちて湿り気が増えたであろう衣類を拾う。
「ウチの為に髪まで切ってくれたんやもんね」
「へっ!?」
ちょうど腰を屈めた瞬間を捉えてレイさんは俺の頭部を両手で掴んだ。先程、俺が彼女を引き離した時と逆の状態だ。
「だからショーキチにいさんの意向にはなるべく答えたいけど、ウチの方は受け入れる準備はもうできてるで。何時でも言うてな?」
ナイトエルフの少女はそう言うと俺の頭部を自分の下腹部へ押し当てた。水の匂いに混じって彼女の体臭が鼻孔を直撃し、俺は頭がくらくらとする。
「ほな。ちょっとだけやけどクールダウンに入ってくるわ」
それからレイさんは俺の頭部を離し、そんな言葉を残してこの場を去った。
俺はずっと混乱したまま下を向いていたので、彼女がどんな表情をしていたかは分からない。だが自分が今の状態でここを出て行ったら駄目なのは分かる。
俺はそっと壁のボタンを押し、服を来たままお湯を頭から被った。気持ちを落ち着かせる為に。
シャワーを浴びるのに1分。濡れたまま監督室へ行くのに2分。最後の予備の服に着替えるのに1分。手拭いを手に俺が濡らした廊下を拭きながらシャワー室まで逆行するのに5分。ギリギリだった。
「あれ? 監督どうしたの?」
「これからみんなシャワーよ。遠くへ行きなさいよ!」
整理運動を終えた選手たちがぞろぞろと向こうからやってきて、先頭のユイノさんとリーシャさんが声をかけてきた。
「ごめん、先に俺が使って濡れたから拭いていたんだよ。じゃあ、どうぞ」
俺は親友コンビにそう弁明し、さっさとその場を去る。良かった、彼女たちは俺の服がまた変わっている事に気づかなかったらしい。
「若いだけあってそういうところは鈍いんだよな。助かるけど」
廊下の角を曲がってから安心して呟く。そんな安堵からか、俺は俺で失くしたブツについてはついぞ気づかないのであった……。
0
あなたにおすすめの小説
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
最初から最強ぼっちの俺は英雄になります
総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…
アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。
そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる