ある日、幼女が弟子にしろと言ってきたのだが

まさ☆まさお

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そんなんチートや!チーターや!

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「瑠依ちゃん、手を出して」

「はいっ」

瑠依は上栫が言った通り、小さな手を差し出す。

「これ、あげるねっ」

上栫は手に現れた物を瑠依の手へと乗せて、柔らかな表情を浮かべる。

「わぁ!ありがとうございます!」

瑠依は手に乗せられた、上栫の手の上に淡い光を放ちながら現れた物を見て、大きな瞳をキラキラと輝かせた。

「……それ、瑠依にあげていいの?」

俺は上栫に対して問い掛ける。

「いいの。別にあたしが欲しくて

「……そうは言ってもな、お前、それの価値知ってんだろ?ポンポンポンポン作ったら、最悪お前、生命狙われんぞ?」

俺はため息を吐きながらそんな言葉を投げる。

上栫が作った物、それは瑠依の小さな手からはみ出る位の大きさの透き通った、純度100%の炭素の同位体。

混じりっ気なしのダイヤモンドの原石である。

物欲しさに生命を狙われたり、価値を暴落させると危惧する輩からもまた、生命を狙われるだろう。

「……大丈夫。こんなの作るのこれっきりだから。それに、あたしが危なくなったら、あんたが護ってくれたらいいじゃん?」

上栫は悪びれることなく、そう言った。

「……はぁ。めんどくせぇから、あんまりやらかさないでくれよ?」

なんで俺が助けにゃならんのだと思いながら俺はそう返す。

上栫が出したものは紛れもないダイヤモンドの原石である。

それは、どこかから取り寄せたものではなく、ましてやどこかに隠していたわけでもない。

上栫の魔法によって作られたのだ。

上栫の魔法は、物質変換、変化である。

無から作り出した訳ではない。

簡単に言うと、上栫の周りにある空気(窒素、酸素、二酸化炭素等)を炭素に変換させ、それを通常ならとてつもなく時間を掛けて同位体結晶化するものを、魔法によって変化させたわけである。

……チートだろ。

使い方によってはとんでもないといつも思う。

まぁ、うちの弟子に何かをプレゼントするのに使う位なら問題はないが。

「ありがとうですっ!!花梨さん、おれいになにかお願いありますか?」

「いいよいいよ、そんなの」

元気よく、礼儀正しくお礼を言った瑠依が提案するも、上栫ははにかみながらそれを断った。

「むぅ……。やです!きちんとお礼したいです!」

しかし、瑠依はそれが気に入らないらしく、上栫に迫る。

「……いいんじゃねーの?瑠依もお礼がしたいみたいだし、お前も瑠依に何かお願いしてみろよ」

「えっ!?う、うーん……。それじゃあ」

「なにですか?なんでも言ってくださいです!」

俺の言葉を受けた上栫はそれじゃあと、やる気満々の瑠依にだけ聞こえるようにそっと耳打ちをするのであった。

「それはダメ!!」

「えっ!?」

だが、どうやら、上栫の願いは瑠依に却下されたらしい。

……なんでもいいんじゃないんかよ。

「ししょーは、わたしのししょーなのです!だから、ダメです!ちがうのにしてください!」

おい。なんで俺の名前が出てくるそこで。

「じ、じゃあ……」

瑠依に拒否られたのが堪えたのか、上栫の2度目の耳打ちは恐る恐ると言った感じで行われた。

「うん。それなら、いいですよ!じゃあ、花梨さんのお……「きゃー!!ここで言っちゃダメ!!」」

上栫が恐る恐る出した2度目の要望はどうやら通ったらしい。

が、ここで言ってはいけないらしく、上栫は慌てて瑠依の口を塞いだ。

「ふわわわわ」

瑠依は突然、口を塞がれたために驚いたらしく、 手足をジタバタさせながら、上栫の手によって言葉になっていない音を漏らす。

……なにやってんだか。

「……ここで言えないなら、お前ら2人で風呂場か俺の部屋かどっかでやってこいよ」

俺がそう言うと、上栫は瑠依の手を引き、慌てて駆け出すのであった。
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