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そして、俺はパシられる
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瑠依と上栫、2人が俺の前から駆け出すと同時に俺のポケットの中で携帯電話が鳴った。
「はい。もしもし、誰か知らないけど、今、マジ取り込み中だから、仕事なら勘弁して下さい。お願いします」
誰からの着信か確かめずに電話に出て、すぐさま仕事という名のパシリは阻止しようと断りをいれる。働きたくないでござる。
なんなら、土下座までする覚悟である。
『は?バカなの?』
それに対して電話越しに聞こえてきたのは冷たい声でした。
「んん。バカとはなんだ。バカとは。俺から言わせればホイホイと働いてるやつの方が馬鹿だ。で、なに?なんの用事?お前から電話とか嫌な予感しかしないから早く切りたいんだけど?」
『は?ナニ?なんでそんなクズみたいなこと言ってる訳?アンタどうせ今、1人でしょ?』
ますます声音が冷たい物に変化したでござる。
つか、上栫は知らされてたのに、こいつは知らされてないのか?ハブられてんの?ぼっちなの?
「残念だったな、1人じゃない。」
『は?』
「俺、弟子が出来たんだわ。だから、1人じゃない」
『……は?なんですぐ私に教えない訳?』
「いや、教える必要ないだろ。それに、上栫は知ってたぞ。国から聞かされたっつってたし。お前は聞かされてないの?お前がハブられてんのか、それとも、上栫だけが聞かされたのかは知らんけど」
『……ふぅん、花梨は知ってたんだ。で、今、弟子と2人なんでしょ?どうせ弟子に修行させるなら、私の所に連れてきなさい。で、私の仕事を手伝え。その後、あんたの弟子の修行に付き合ってあげるから』
……めんどくせぇ。そんで、なんでこんな偉そうなの?
「あ、間に合ってます。今、上栫来てるし、弟子も上栫と仲良くやってるみたいだし」
『……今すぐ行くわ。逃げたら許さないから』
事実を告げたら、電話が切れたでござる。
電話が切れて1分も経たないうちに再び携帯電話が着信を知らせた。
今度はメールのようである。
……マジですか?
メールに目を通した俺はげんなりとしてそう言葉を零した。
内容は、お断りできないパシリだった。
国ェ……。命令書って。
「電話……誰だったの?」
いつの間にやら戻ってきていた上栫がそう話し掛けてくる。
「やたらエラそうなお嬢さま」
無気力に答えた。
「……もしかして、風音?」
上栫が如何とも表現し難い表情を浮かべてそう言い、俺は力なく首肯する。
「風音がどうしたの?」
と、上栫が俺に聞くのと、来客を知らせるチャイムがなったのはほぼ同時だった。
「はぁい」
と、またしても、うちのお弟子さんはトテトテと、玄関へと駆け出してゆく。
「……さぁ?なんか俺に仕事手伝わせようとしたけど、弟子が出来たから無理だって伝えた」
「……で?」
続きがあるんだろ?おら、早くしろよみたいな目で俺を見る上栫に辟易としながら言葉を続ける。
「じゃあ、あのお嬢さま、仕事が終わったら瑠依の修行に付き合ってあげるから、今すぐ来いって言うから、上栫が来てるし無理だって伝えたら、今すぐこっちに来るってさ」
「……あら、花梨。こんな所でサボってて大丈夫なのかしら?だから、私やソレよりランクが低いんじゃないの?」
俺が言い終わるとすぐに違う声が飛んできた。
「……風音こそ、Sランクなんだったら、1人で仕事くらい終わらせたら?コレなんか、いつも1人で終わらせてるよ?」
……睨み合う女子2人。
そして、俺の扱いどうなってんのこれ。
ソレとか、コレとか、指差しながら言うのは止めなさい。
☆
あれからしばらく、睨み合いながらも俺をなんだと思ってるんだと思うような扱いを2人はしていたが、例によって我が弟子、瑠依によって、2人は争いをやめたのであった。
まじ、幼女すごい。
そして、何故か今、俺と瑠依は風音こと、有栖川 風音の仕事に同行している。何故か、上栫も一緒にだ。
「ふんふーん」
瑠依はお出掛け感覚なのか、鼻歌交じりに上機嫌である。
上栫はと言うと、ワガママお嬢さまこと、有栖川が俺と一緒に仕事に行くからと、メールで送られてきた命令書を見せたのに対し、いきなり役所に電話して無報酬でいいから同行させろ。でなきゃ、任務が来ても受けないと伝えて、自分の携帯に任務同行の命令書を送らせていた。
……無報酬とか、何考えてんの?つか、上栫の魔法って何気に便利だから、絶対に国は断れねーじゃん。
上栫と有栖川、2人は同じ年で互いにコイツには負けたくないと思っているらしく、常日頃からよくイザコザを起こしては、俺を巻き込んでいたりする。本当に勘弁して下さい。
ランクは有栖川のが魔法の性質上、戦闘やら特殊任務向けなので高いだけだろう。
2人とも実力は同じ位だと思う。
Sランクは5人までと決まっているから仕方ないが、近々、上栫もSランクに上がるだろう。なんか、もう一つ上にランクが出来るらしい。
誰が上がるかは知らないが、上がる人ご愁傷さまです。
「はい。もしもし、誰か知らないけど、今、マジ取り込み中だから、仕事なら勘弁して下さい。お願いします」
誰からの着信か確かめずに電話に出て、すぐさま仕事という名のパシリは阻止しようと断りをいれる。働きたくないでござる。
なんなら、土下座までする覚悟である。
『は?バカなの?』
それに対して電話越しに聞こえてきたのは冷たい声でした。
「んん。バカとはなんだ。バカとは。俺から言わせればホイホイと働いてるやつの方が馬鹿だ。で、なに?なんの用事?お前から電話とか嫌な予感しかしないから早く切りたいんだけど?」
『は?ナニ?なんでそんなクズみたいなこと言ってる訳?アンタどうせ今、1人でしょ?』
ますます声音が冷たい物に変化したでござる。
つか、上栫は知らされてたのに、こいつは知らされてないのか?ハブられてんの?ぼっちなの?
「残念だったな、1人じゃない。」
『は?』
「俺、弟子が出来たんだわ。だから、1人じゃない」
『……は?なんですぐ私に教えない訳?』
「いや、教える必要ないだろ。それに、上栫は知ってたぞ。国から聞かされたっつってたし。お前は聞かされてないの?お前がハブられてんのか、それとも、上栫だけが聞かされたのかは知らんけど」
『……ふぅん、花梨は知ってたんだ。で、今、弟子と2人なんでしょ?どうせ弟子に修行させるなら、私の所に連れてきなさい。で、私の仕事を手伝え。その後、あんたの弟子の修行に付き合ってあげるから』
……めんどくせぇ。そんで、なんでこんな偉そうなの?
「あ、間に合ってます。今、上栫来てるし、弟子も上栫と仲良くやってるみたいだし」
『……今すぐ行くわ。逃げたら許さないから』
事実を告げたら、電話が切れたでござる。
電話が切れて1分も経たないうちに再び携帯電話が着信を知らせた。
今度はメールのようである。
……マジですか?
メールに目を通した俺はげんなりとしてそう言葉を零した。
内容は、お断りできないパシリだった。
国ェ……。命令書って。
「電話……誰だったの?」
いつの間にやら戻ってきていた上栫がそう話し掛けてくる。
「やたらエラそうなお嬢さま」
無気力に答えた。
「……もしかして、風音?」
上栫が如何とも表現し難い表情を浮かべてそう言い、俺は力なく首肯する。
「風音がどうしたの?」
と、上栫が俺に聞くのと、来客を知らせるチャイムがなったのはほぼ同時だった。
「はぁい」
と、またしても、うちのお弟子さんはトテトテと、玄関へと駆け出してゆく。
「……さぁ?なんか俺に仕事手伝わせようとしたけど、弟子が出来たから無理だって伝えた」
「……で?」
続きがあるんだろ?おら、早くしろよみたいな目で俺を見る上栫に辟易としながら言葉を続ける。
「じゃあ、あのお嬢さま、仕事が終わったら瑠依の修行に付き合ってあげるから、今すぐ来いって言うから、上栫が来てるし無理だって伝えたら、今すぐこっちに来るってさ」
「……あら、花梨。こんな所でサボってて大丈夫なのかしら?だから、私やソレよりランクが低いんじゃないの?」
俺が言い終わるとすぐに違う声が飛んできた。
「……風音こそ、Sランクなんだったら、1人で仕事くらい終わらせたら?コレなんか、いつも1人で終わらせてるよ?」
……睨み合う女子2人。
そして、俺の扱いどうなってんのこれ。
ソレとか、コレとか、指差しながら言うのは止めなさい。
☆
あれからしばらく、睨み合いながらも俺をなんだと思ってるんだと思うような扱いを2人はしていたが、例によって我が弟子、瑠依によって、2人は争いをやめたのであった。
まじ、幼女すごい。
そして、何故か今、俺と瑠依は風音こと、有栖川 風音の仕事に同行している。何故か、上栫も一緒にだ。
「ふんふーん」
瑠依はお出掛け感覚なのか、鼻歌交じりに上機嫌である。
上栫はと言うと、ワガママお嬢さまこと、有栖川が俺と一緒に仕事に行くからと、メールで送られてきた命令書を見せたのに対し、いきなり役所に電話して無報酬でいいから同行させろ。でなきゃ、任務が来ても受けないと伝えて、自分の携帯に任務同行の命令書を送らせていた。
……無報酬とか、何考えてんの?つか、上栫の魔法って何気に便利だから、絶対に国は断れねーじゃん。
上栫と有栖川、2人は同じ年で互いにコイツには負けたくないと思っているらしく、常日頃からよくイザコザを起こしては、俺を巻き込んでいたりする。本当に勘弁して下さい。
ランクは有栖川のが魔法の性質上、戦闘やら特殊任務向けなので高いだけだろう。
2人とも実力は同じ位だと思う。
Sランクは5人までと決まっているから仕方ないが、近々、上栫もSランクに上がるだろう。なんか、もう一つ上にランクが出来るらしい。
誰が上がるかは知らないが、上がる人ご愁傷さまです。
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