転生したら幼女でした。※ただし、レベル、ステータスは完スト

13、幼女、駆ける

 鳳凰を剣技スキルで斃たおしたアリスは刀を鞘に戻すことなく、手にしたまま、血を力強く蹴り出し、駆ける。

 一陣の風の様に山を駆け上って征く。

 その表情は年端の行かぬ幼い女の子にはとても似合わぬものであった。

疾風の様な足取りを止めることなく、姿を現すモンスターを次から次へと剣一振りで首を刎ね、加速してゆく。

モンスターからすれば、正に阿鼻叫喚の地獄絵図であろう。

どれほどの時間そうしていたのか、気付けばアリスは山の頂上手前まで来ていた。

アリスの目には山の頂上に佇む一頭のモンスターが映る。

神々しい雰囲気に包まれ、悠然と佇むそのモンスターの名は、神獣『神龍』と言った。

正にアリスがギルドで受けた依頼の討伐対象、伝説の神獣である。

神龍は猛スピードで山を駆け上って来るアリスの姿を目に映すと、鎌首を擡げる。

『……何の用だ？』

そして、低く、重い声をアリスに投げてきた。

「……うるさいです」

アリスは驚くことも、怖がることもせず、呟くようにそう言い、一気に山をかけ上ると、神龍へと飛び掛る。

神龍はそんなアリスに向かって大きく口を開け、けたたましい咆哮をあげた。

地は揺れ、空気は震え、衝撃波ととてつもない重圧がアリスを襲う。

「風裂斬」

アリスはそう呟き、手にしている剣を振るった。

風切音を残して振られた剣は、アリスへと襲い掛かる衝撃波と重圧を切り裂く。