転生したら幼女でした。※ただし、レベル、ステータスは完スト

まさ☆まさお

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9、幼女、装備を調えるために女神と会う

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「……本気?」

アリスが放った言葉にセリアはそう問うた。

「はいです」

アリスは真っ直ぐにセリアを見つめて答える。

「……死ぬかもしれないのよ?」

「はいです」

「……はぁ、最後に聞くわ。本気なのね?」

「はいです」

セリアの繰り返す問いかけに、アリスは真っ直ぐ見つめたまま答えた。

「わかりました。でも、危なくなったら、絶対逃げるのよ?」

セリアは折れないアリスを見て溜息を吐きながらそう言い、手続きを行った。

「掲示板にパーティメンバー募集の貼り紙はどうする?」

「いらないです。わたしはひとりでいいです」

セリアは色々言いたかったが、もう、何も言わなかった。

「手続きは終わったわ。クエストの説明をするね」

そして、セリアは手続きを終わらせクエストの説明に入った。

期限は2週間

討伐対象は危険度SSS 神獣 麒麟 

クエスト成功条件    麒麟の絶命及び、捕獲

クエスト失敗条件   上記が達成出来ずに期限を迎える

討伐場所    神獣の住む山の頂き

成功報酬    1億G及び、神獣ハンターの称号


クエスト内容の確認をアリスと共にしていたセリアが気付く。

「あれ?アリスちゃんって称号全て持ってたよね。じゃあ、神獣を倒したことがあるってこと?」

「わからないです!!」

セリアの問い掛けにアリスは答えた。

それはそうだろう。倒したのはアリスではなく、勇者なのだから。

そもそも、勇者と言うのも称号らしい。

その後、なんだかんだギルドでセリアと話したりしていたアリスだったが、ぽつりぽつりと人が集まってきた為、1度外に出る事にした。

さて、ここで1番戸惑っているのはアリスでも、ギルド職員でもなく神々であった。

確かに勇者が転生した者であるアリスなら、麒麟を討伐することは可能だろう。

しかし、それは装備がしっかりと調っている状態であればこそである。

今のアリスは中身こそ、人外チートの勇者であるが、外見は年端もゆかぬ幼女であり、駆け出し冒険者なのだ。

装備品が調っている訳がない。

さて、どうしたものかと考える神々。

このままでは、折角転生させた勇者が再び死んでしまうかも知れない。

それだけは避けたかった神々は一つの結論を出す。

勇者が魔王討伐の際に身に付けていた装備品をアリスに引き継がせること。

最早、満場一致だった。

で、どうやるかと話し合った結果、幸いにも勇者が生前過ごした家が近くにあるのを利用して、そこに立ち寄らせよう。そして、神々のうち、誰かがアリスをそこまで導き、あまりにも、サイズが違い過ぎる防具類のリサイズをさせよう、と言うご都合主義この上ない結論が出たのである。

して、アリスを導く役割を負った神々代表は、日本神話の太陽神であり、天津国の頂点に立つ天照大御神となった。

報せを受けた天照大御神はノリノリでアリスに合わせて幼女の姿になり、服装も洋風な物を身に着けると、「じゃあ、いってきます!」と、直ぐに天津国を発ったのである。

天照大御神の兄弟神である須佐之男命は、そんな姉を見てかなり凹んだらしい。

「……姉さんに迷惑掛けすぎてきたかな」

と、周囲に漏らしていたとの情報もある。


天津国を出た天照大御神は人間の幼女の姿で人間界に顕現し、すぐさまアリスの下へと急いだ。

その頃アリスは、そんな神々の事情なぞどこ吹く風とばかりに、昨日から早朝にかけて狩ったモンスターのパーツやらを売っぱらったお金でハンバーグを上機嫌に食べているのであった。

「はんばーぐおいしいなぁ」

ニコニコと天使の様な柔らかい笑顔は、周りにいた人々の心を癒したらしい。

ニコニコと小さな手と口でハンバーグを食べるアリスと、それを生暖かい目で見守る人々という平和な空気が支配する店内、そんな店のドアが勢いよく開くと1人の幼女が入ってきた。

「あ、あなたがアリスちゃんですか?」

「はいです。わたしがアリスです。あなたはだぁれ?」

アリスは突如現れた自分と同じ位の年に見える女の子に尋ねる。

「わ、わたしは……テラっていいます!」

尋ねられた幼女はそう答えた。

言わずもがな、天照大御神である。

「わたしになにかごようですかぁ?はんばーぐをいっしょにたべますかぁ?」

アリスは現れた天照大御神にそう笑顔で言った。



結局、天照大御神もハンバーグをアリスと一緒に食べた。

会計はアリスが自分に良く似合うファンシーな感じのお子様むけ財布をクマさんリュックから取り出している最中に、癒された人からご馳走に。天照大御神の分もである。

「はんばーぐおいしかったですねぇ」

店から出たアリスが話し掛ける。

「あ、うん。でね、アリスちゃん、これからわたしのおうちにいっしょにいかないかな?」

と、天照大御神はかなり強引に話を自らの目的へと持ってゆく。
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