9 / 9
第二章『魔女の店』
第二章 その⑤
しおりを挟む
早速僕は、青村さんと共に、その割引券が適用される店へと向かった。
それは、我が威武火市が誇る、老舗菓子メーカー、『堂々咲製菓』が経営するケーキ専門店で、名前を『AMANE』と言った。
大学の裏を流れる川の対岸にあり、多分、五百メートルと歩かなかったと思う。
ビスケットの屋根に、チョコレートの扉。街灯はキャンディーのように丸く、お菓子の家を髣髴とさせるポップでファンタスティックな外観。とはいえ、流石に窓ガラスやアスファルト舗装の駐車場まではお菓子風にできなかった詰めの甘さ。
駐車場を横切り、入り口まで歩いていくと、傍にドレスを着た女の子の人形があった。話によると、現社長の娘さんがモデルになっているらしい。
まあ、そんなことはどうでもよくて、僕は扉を開けて中に入った。
「いらっしゃいませ」
甘い香りと共に迎えてくれたのは、ケーキ屋には少し似つかわしくないメイド服を着た女性だった。僕は彼女に「店内で」と告げると、川の見える窓際の席に座った。
遅れて、さっきの店員の女性がやって来て、おしぼりと水を置いた。
「ご注文は?」
「僕はチョコレートケーキで……」
目線を青村さんに向ける。
「あ、私はショートケーキ。あと、この割引券使えますか?」
「使えますよ。お会計の時に出してくださいね」
そう言ってほほ笑んだ店員さんは、一礼して店の奥へと引っ込んでいった。
数秒の沈黙。
「そんなに、良い人なんですか? 東雲さんは」
青村さんは椅子の背にもたれると、肩の力を抜きながら言った。
「なんか、水無瀬さんって、いつも東雲さんと一緒にいるイメージがあるのですか」
「ああ……」
まーたその話題か。と僕は辟易する。
「まあ、確かに、そうだね。基本的に東雲先輩と一緒にいるね」
実際、昨日も一緒にいたし、今日も一緒にいる約束をしていた。
僕の言葉に、青村さんは頬を膨らませた。
「なんなんですか? お二人は付き合っているんですか?」
「あははは~、ないない」
真面目で清廉潔白で、顔も良いし、お洒落だし、頭もいい。大学に入学した頃からずっと僕の友達でいてくれる青村さん。そんな、純潔も守っていたそうな彼女から、「付き合っているんですか?」などと世俗的な疑問が出てくるとは思わず、僕は肩を竦めて笑った。
「あの人とは、まあ悪友みたいな感じだよ」
「悪友……」
青村さんは何か思うような顔をした。
「それで、十二万も貸しているわけですか?」
それを言うのは卑怯っていうもんだ。
僕が目を逸らしたタイミングで、店員さんが、コーヒーとケーキを持ってやってきた。
洗練された動きで、僕の前にチョコレートケーキとアイスコーヒー。青村さんの前にショートケーキとアイスコーヒ―が置かれる。
「ごゆっくり」
店員さんがレジカウンターの方に戻っていくのを横目に、青村さんはため息交じりに言った。
「もうやめたらどうですか? 付き合う相手は考えないと」
「い、いやあ……」
ごもっともな意見に、僕は歯切れ悪く笑った。
話を逸らすようにコーヒーをストローで啜り、それから、何とか言葉を絞り出す。
「君が思ってるほど、東雲先輩は悪い人じゃないよ」
「そうなんですか?」
「そりゃあ、確かに、二年留年して、自分の好きなものにしか興味を示さない。人に興味を示さない。お金の亡者のわりに、ギャンブルで簡単に溶かし、挙句人に集って、人を顎で使って、僕を便利屋としか思っていない。夢は小説家だけど鳴かず飛ばずで、心労が限界に達したのか、書籍化小説を読んでは批判し、読んでは罵るようなクズ人間だけど、良いところはあるんだ」
「あの……、クズの要素しかないのですが……」
「大丈夫、ちゃんと良いところはある」
躓きそうになりつつ、しっかりと言い切った。
だが、青村さんは怪訝な顔をして、ショートケーキのイチゴを摘まんだ。
「たとえば?」
「ええ、例えば……、ね。うん、例えば」
僕はコーヒーを一口飲み、こくりこくりと頷いた。
「ええと、あれだ。良いところって言ったら、あれだ。その、あれ。わかるだろう? あれだよあれ。その、あれとか、あれとか……」
「どれなんですか?」
ダメだ。普段からあの人のだらしないところしか見ていないせいで、青村さんの求める「良いところ」が思い浮かばない。
東雲先輩の良いところ? なんだかんだ、ゴミはポイ捨てしないところか? それとも、ラーメンはスープも飲み切るところか? 小説ばっかり書いてるから、文具系の話題には強いところか? はたまた、友達がいないから、人込みに出ると吐きそうな顔をするところ……。
顔。
「ああそうだ! 顔が良い!」
やっとこさ、僕は絞り出した。
「いや、顔は良くない!」
いや、確かに顔は良い。ちゃんと手入れすれば、大学のミスコンで優勝できるくらいには綺麗な顔をしている……のだが、それを言うと、僕の株が下がる気がした。
「いや! やっぱ顔は良い!」
だが、「顔は良くない」と断言するのもまた僕の株を下げるのだった。
青村さんは、目を細め、口をゆがめた。
「水無瀬さんって、女性を顔で見ているんですか?」
「そういうわけじゃないけど……、あの人の良いところって言ったら、顔しかないっていうか……」
言った後で、慌てて首を横に振る。
「もちろん、そんなことは無いよ? 他にも良いところはあるはずなんだよ」
「なんなんですか? はずって……」
青村さんは呆れたようにため息をついた。
「とにかく、忠告はしておきますよ。水無瀬さんあなた、これ以上あの人に関わったら、きっと痛い目見ますからね」
「うーん……」
あの人に二十万近く金を貸しているのも然り、会ったら必ずパシリに使われるのも然り、もう十分見ているんだよな。この前なんて、一緒に居酒屋で飲んだ後に、酔った勢いで柄の悪い人に突っかかって行って、結局カツアゲに遭ったのは僕の方なんだ。当の本人は泥酔して路上で服を脱ぎだす始末だし……。
「でも、あの人にはなんだかんだ良いところがあるし……」
それは、言葉で説明できないものだった。
「それに、僕にはあの人くらいしか、友達がいないっていうか……」
言った後で、はっとする。
恐る恐る見ると、青村さんは口をフグのように膨らませていた。
「水無瀬さん……」
「ああ! いや! 青村さんも立派な友達だよ! 大切な人だよ!」
話を逸らすように、僕は運ばれてきたチョコレートケーキにフォークを立てると、一口大に切って、食べた。たちまち、緊張で粘ついた口内に、天使の吐息のような甘さが広がり、鼻先から脳天に掛けて、幸せが駆け巡った。
「うん、うん、美味しいなあ! 青村さん、今日はありがとう!」
ダメダメ人間の東雲先輩と、良い人の青村さん。この二人の大きな違いは、多分、気が疲れないかどうかなんだろうな……と、笑いながら思うのだった。
それは、我が威武火市が誇る、老舗菓子メーカー、『堂々咲製菓』が経営するケーキ専門店で、名前を『AMANE』と言った。
大学の裏を流れる川の対岸にあり、多分、五百メートルと歩かなかったと思う。
ビスケットの屋根に、チョコレートの扉。街灯はキャンディーのように丸く、お菓子の家を髣髴とさせるポップでファンタスティックな外観。とはいえ、流石に窓ガラスやアスファルト舗装の駐車場まではお菓子風にできなかった詰めの甘さ。
駐車場を横切り、入り口まで歩いていくと、傍にドレスを着た女の子の人形があった。話によると、現社長の娘さんがモデルになっているらしい。
まあ、そんなことはどうでもよくて、僕は扉を開けて中に入った。
「いらっしゃいませ」
甘い香りと共に迎えてくれたのは、ケーキ屋には少し似つかわしくないメイド服を着た女性だった。僕は彼女に「店内で」と告げると、川の見える窓際の席に座った。
遅れて、さっきの店員の女性がやって来て、おしぼりと水を置いた。
「ご注文は?」
「僕はチョコレートケーキで……」
目線を青村さんに向ける。
「あ、私はショートケーキ。あと、この割引券使えますか?」
「使えますよ。お会計の時に出してくださいね」
そう言ってほほ笑んだ店員さんは、一礼して店の奥へと引っ込んでいった。
数秒の沈黙。
「そんなに、良い人なんですか? 東雲さんは」
青村さんは椅子の背にもたれると、肩の力を抜きながら言った。
「なんか、水無瀬さんって、いつも東雲さんと一緒にいるイメージがあるのですか」
「ああ……」
まーたその話題か。と僕は辟易する。
「まあ、確かに、そうだね。基本的に東雲先輩と一緒にいるね」
実際、昨日も一緒にいたし、今日も一緒にいる約束をしていた。
僕の言葉に、青村さんは頬を膨らませた。
「なんなんですか? お二人は付き合っているんですか?」
「あははは~、ないない」
真面目で清廉潔白で、顔も良いし、お洒落だし、頭もいい。大学に入学した頃からずっと僕の友達でいてくれる青村さん。そんな、純潔も守っていたそうな彼女から、「付き合っているんですか?」などと世俗的な疑問が出てくるとは思わず、僕は肩を竦めて笑った。
「あの人とは、まあ悪友みたいな感じだよ」
「悪友……」
青村さんは何か思うような顔をした。
「それで、十二万も貸しているわけですか?」
それを言うのは卑怯っていうもんだ。
僕が目を逸らしたタイミングで、店員さんが、コーヒーとケーキを持ってやってきた。
洗練された動きで、僕の前にチョコレートケーキとアイスコーヒー。青村さんの前にショートケーキとアイスコーヒ―が置かれる。
「ごゆっくり」
店員さんがレジカウンターの方に戻っていくのを横目に、青村さんはため息交じりに言った。
「もうやめたらどうですか? 付き合う相手は考えないと」
「い、いやあ……」
ごもっともな意見に、僕は歯切れ悪く笑った。
話を逸らすようにコーヒーをストローで啜り、それから、何とか言葉を絞り出す。
「君が思ってるほど、東雲先輩は悪い人じゃないよ」
「そうなんですか?」
「そりゃあ、確かに、二年留年して、自分の好きなものにしか興味を示さない。人に興味を示さない。お金の亡者のわりに、ギャンブルで簡単に溶かし、挙句人に集って、人を顎で使って、僕を便利屋としか思っていない。夢は小説家だけど鳴かず飛ばずで、心労が限界に達したのか、書籍化小説を読んでは批判し、読んでは罵るようなクズ人間だけど、良いところはあるんだ」
「あの……、クズの要素しかないのですが……」
「大丈夫、ちゃんと良いところはある」
躓きそうになりつつ、しっかりと言い切った。
だが、青村さんは怪訝な顔をして、ショートケーキのイチゴを摘まんだ。
「たとえば?」
「ええ、例えば……、ね。うん、例えば」
僕はコーヒーを一口飲み、こくりこくりと頷いた。
「ええと、あれだ。良いところって言ったら、あれだ。その、あれ。わかるだろう? あれだよあれ。その、あれとか、あれとか……」
「どれなんですか?」
ダメだ。普段からあの人のだらしないところしか見ていないせいで、青村さんの求める「良いところ」が思い浮かばない。
東雲先輩の良いところ? なんだかんだ、ゴミはポイ捨てしないところか? それとも、ラーメンはスープも飲み切るところか? 小説ばっかり書いてるから、文具系の話題には強いところか? はたまた、友達がいないから、人込みに出ると吐きそうな顔をするところ……。
顔。
「ああそうだ! 顔が良い!」
やっとこさ、僕は絞り出した。
「いや、顔は良くない!」
いや、確かに顔は良い。ちゃんと手入れすれば、大学のミスコンで優勝できるくらいには綺麗な顔をしている……のだが、それを言うと、僕の株が下がる気がした。
「いや! やっぱ顔は良い!」
だが、「顔は良くない」と断言するのもまた僕の株を下げるのだった。
青村さんは、目を細め、口をゆがめた。
「水無瀬さんって、女性を顔で見ているんですか?」
「そういうわけじゃないけど……、あの人の良いところって言ったら、顔しかないっていうか……」
言った後で、慌てて首を横に振る。
「もちろん、そんなことは無いよ? 他にも良いところはあるはずなんだよ」
「なんなんですか? はずって……」
青村さんは呆れたようにため息をついた。
「とにかく、忠告はしておきますよ。水無瀬さんあなた、これ以上あの人に関わったら、きっと痛い目見ますからね」
「うーん……」
あの人に二十万近く金を貸しているのも然り、会ったら必ずパシリに使われるのも然り、もう十分見ているんだよな。この前なんて、一緒に居酒屋で飲んだ後に、酔った勢いで柄の悪い人に突っかかって行って、結局カツアゲに遭ったのは僕の方なんだ。当の本人は泥酔して路上で服を脱ぎだす始末だし……。
「でも、あの人にはなんだかんだ良いところがあるし……」
それは、言葉で説明できないものだった。
「それに、僕にはあの人くらいしか、友達がいないっていうか……」
言った後で、はっとする。
恐る恐る見ると、青村さんは口をフグのように膨らませていた。
「水無瀬さん……」
「ああ! いや! 青村さんも立派な友達だよ! 大切な人だよ!」
話を逸らすように、僕は運ばれてきたチョコレートケーキにフォークを立てると、一口大に切って、食べた。たちまち、緊張で粘ついた口内に、天使の吐息のような甘さが広がり、鼻先から脳天に掛けて、幸せが駆け巡った。
「うん、うん、美味しいなあ! 青村さん、今日はありがとう!」
ダメダメ人間の東雲先輩と、良い人の青村さん。この二人の大きな違いは、多分、気が疲れないかどうかなんだろうな……と、笑いながら思うのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる