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第一章 開店
ぷろぽおず?
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「お茶葉!」
茶店の中、釜に火を点ててで薬缶でお湯を沸かす。
うーん。薬缶というのも味気ないなぁ。かと言って、鍋とかで沸かすのもつまらないし。
茶釜を準備出来ないかなぁ。と言っても茶釜って何。
分福茶釜くらいしか知らないぞ。部屋に戻ったら勉強だなぁこりゃ。
イメージを鮮明にすれば、部屋の台所で出せる筈だし。
変な日本語だけど、多分僕はこのままずっと変な日本語を作って生きていくんだろうなぁ。
なんなんだ僕の人生。
「とのとの~。お水が綺麗で冷たくて気持ちいいです!」
お茶を淹れて外の縁台で一休みしていると、隣から玉の元気な声が聞こえてくる。
お風呂大好き巫女なので、池に足をつけてミニ行水のつもりなんだとか。
ああいうところは、年相応というか(そういえば玉の実年齢を知らないや)身体付き相応というか、非日常な事が始まると真っ先に突進していく。
そのくせに、ちゃぁ~んとタオルを用意している辺りは、変にしっかり者の玉らしいというか。
「とーのー。このお水があったかくなったら、ここでお風呂入れますね。」
温泉ね。露天風呂ね。僕なら多分出来るでしょう。
でも、それはここでやる事じゃないなぁ。
僕には一つの確信がありました。今はまぁはっきりとは言わないけどね。
「とーのーとーのー!」
「なんですか?」
行水巫女には何か話したい事があるみたいだ。
「縁台!緋毛氈!日傘!」
熱いお茶が入った湯呑みだけ持って、池のそばにもう一つ縁台を作ります。
「わ、わ、わ、わあ。」
「うるさいですよ。折角のせせらぎが聞こえません。」
「なんで殿だけ優雅にお茶飲んでんですか?」
「玉が池に夢中で、僕のお茶に付き合ってくれないからです。」
「玉は殿が作った池の方が新鮮な話題なのです。」
ずずぅ~。うん、久しぶりにほえほえ言いたくなるほどお茶が美味しい。
「あ、忘れてた。座布団!」
ぽんっと音がして降って来た座布団をお尻の下に敷いて
「ふひぃ。」
「殿ぉ。」
「はんへふは?」
やばい、この空間気持ちいい。神社の清冽さなのか、水の流れが何かの澱みを流してくれてるのか。
どんどん気分が溶けていく。
単に神社があったから聖域と呼んでいたけど、本当に聖なる空間にレベルアップしたんだろうか。
そういえば、あっという間にどっかに行っちゃったけど、荼枳尼天って言う神様だか仏様だかが現れちゃったんだよな。あれこそ「浅葱の力」なんかぶっ飛んだ超常現象な訳で。
「ねぇ殿。折角の池ですから、お魚とか欲しいですね。ほおむせんたあに赤い小さなお魚売ってましたよね。」
「まだ水が落ち着かないから駄目ですよ。」
…いくら早強剤入れたとはいえセメントを使っているから池の水はアルカリ性の筈。
というか固まっているのかセメントさん。
いくら聖域といえど、アルカリ性の水で玉の言う赤いお魚(多分、餌用の豆金だろう)は生きられない。
「先ずは水質改善。その後に水性植物を根付かせてから魚ですね。両生類なんかも入れれば、いずれ小さなビオトープになるかもしれません。」
多分、出来るだろうな。
ここはなんらかの力に祝福されている空間だろう。
でなければ、僕の力の、この限定解除されている様な無双性が説明出来ない。
★ ★ ★
「あのね、殿。」
ちゃばちゃば水に素足を付けながら、俯きがちの玉が本音を綴り始めます。
「このお社で、お母さんが居なくなって、だけど玉はずっと頑張ってました。誰も来なかったけど、毎日雑草を抜いて。でも崩れかけたお社を直すにも材料がなくて困っていたら、殿が迎えに来てくれました。お社は綺麗になったし、お社の周りもこうやって毎日掃除出来ます。」
ちゃぷん。
「佳奈さんとはメル友になりました。お婆ちゃんとは庭友です。菅原さんも玉を見かけると話しかけてくれます。玉はもう1人じゃありません。」
ちゃぷん。
「殿は玉を仲良しお化けと言いますけど、違うんですよ。玉じゃないんです。みんな、みんな殿に逢いにきてくれるんです。玉は知っていますから。」
ちゃぷん。
「そして。こうやってお社の周りも新しく綺麗になります。それもこれも全部、ぜ~えんぶ殿のお力なんですからね。」
ちゃぷちゃぷ。
「だから玉は改めて決めました。玉が殿の奥さんになるのは難しそうですけど、それでも。それでも玉はずっと殿について行きたいです。殿が何をされるのかわかりませんけど、玉は殿のお手伝いがしたいです。」
ちゃぷん。
「………お慕い申し上げますよ、殿…。」
僕は、僕は今どういう顔をしているのだろう。
★ ★ ★
「たっだいまぁ!お風呂お風呂しゃわぁー!」
さっきまで神妙な顔して僕に告っていた筈の少女は、
帰る早々、巫女衣装を脱ぎ散らかして下着姿になりながら風呂場に飛び込んで行ったってオイ!
なんなんだろうね。男に惚れました。一生付いていきますって結構な決意を表明しといて、その男に着てた物を片付けさすかね。
まぁ、多分これも玉的には僕に甘えているんだろうけど。それにしても、パジャマやジャージじゃなくて巫女衣装だぞ。
一応、僕らは神様に会っているんだぞ。
「さぁびすです。」
「ちっともサービスじゃありません。」
やれやれ。
そういえば。僕は玉の巫女衣装を畳みながら思う。
この装束は、おそらく玉が1,000年着ていた物だろう。拝殿すらない小さな本殿には、祭壇と奉納絵馬の他何も無かった。
今でこそ、榊を毎日納めているとはいえ、鏡しかあの祭壇にはなかった。
ならば、この装束は、汚れや解れのないこの装束はなんなんだろう。
~玉をお願いしますね~
……今更、何が起ころうと驚きませんけどね。
例え巫女装束が頭の中に話しかけてこようと。
~玉は私の大切な娘です~
つまり、玉が言うところの、突然居なくなったお母さんが今は巫女装束だと。
~もっと早くご挨拶したかったのですが、何しろ玉は巫女衣装を脱ぐ事が増えましたし、玉がお風呂に入っている時以外は、いつもお二人一緒なので~
まぁ、僕のそばにいる事で玉の存在確率が上がっているわけですし。
それで、何か伝えたい事でもありましたか?
~…本当に動じない方ですね…~
巫女装束に呆れられる僕。
まぁねえ。この部屋に越して来ていきなりご先祖様が出て来たり、1,000年前の少女が住み着いたり、4年前の女子高生がOLになって我が家をメールで引っ掻き回したり。
ついこの間、会社が潰れてリストラされて、そしたら何だいこの生活。巫女装束だと何となくそれっぽいし、神様にだって会ったし、ついさっきその誰かさんにプロポーズされたし。
動じてる暇なんかないんですよ。
ぶっちゃけ、玉のお母さんが巫女装束に宿っていると言う事実よりも、お昼ごはんをどうしようか。
そっちの方が悩ましいんです。
~…時と場所を選んで、色々考えていたのに、玉のごはんに負けちゃいましたか~
今のところ、そのくらい平和であり平穏であり、何も起こらない日々なんです。
~一つ、いいですか?~
なんですか?
~玉は貴方様の元に嫁に行くと決めた様ですが~
お嫁に来られても、子作り出来ないんですが。
~働け~
うるさいよ。
茶店の中、釜に火を点ててで薬缶でお湯を沸かす。
うーん。薬缶というのも味気ないなぁ。かと言って、鍋とかで沸かすのもつまらないし。
茶釜を準備出来ないかなぁ。と言っても茶釜って何。
分福茶釜くらいしか知らないぞ。部屋に戻ったら勉強だなぁこりゃ。
イメージを鮮明にすれば、部屋の台所で出せる筈だし。
変な日本語だけど、多分僕はこのままずっと変な日本語を作って生きていくんだろうなぁ。
なんなんだ僕の人生。
「とのとの~。お水が綺麗で冷たくて気持ちいいです!」
お茶を淹れて外の縁台で一休みしていると、隣から玉の元気な声が聞こえてくる。
お風呂大好き巫女なので、池に足をつけてミニ行水のつもりなんだとか。
ああいうところは、年相応というか(そういえば玉の実年齢を知らないや)身体付き相応というか、非日常な事が始まると真っ先に突進していく。
そのくせに、ちゃぁ~んとタオルを用意している辺りは、変にしっかり者の玉らしいというか。
「とーのー。このお水があったかくなったら、ここでお風呂入れますね。」
温泉ね。露天風呂ね。僕なら多分出来るでしょう。
でも、それはここでやる事じゃないなぁ。
僕には一つの確信がありました。今はまぁはっきりとは言わないけどね。
「とーのーとーのー!」
「なんですか?」
行水巫女には何か話したい事があるみたいだ。
「縁台!緋毛氈!日傘!」
熱いお茶が入った湯呑みだけ持って、池のそばにもう一つ縁台を作ります。
「わ、わ、わ、わあ。」
「うるさいですよ。折角のせせらぎが聞こえません。」
「なんで殿だけ優雅にお茶飲んでんですか?」
「玉が池に夢中で、僕のお茶に付き合ってくれないからです。」
「玉は殿が作った池の方が新鮮な話題なのです。」
ずずぅ~。うん、久しぶりにほえほえ言いたくなるほどお茶が美味しい。
「あ、忘れてた。座布団!」
ぽんっと音がして降って来た座布団をお尻の下に敷いて
「ふひぃ。」
「殿ぉ。」
「はんへふは?」
やばい、この空間気持ちいい。神社の清冽さなのか、水の流れが何かの澱みを流してくれてるのか。
どんどん気分が溶けていく。
単に神社があったから聖域と呼んでいたけど、本当に聖なる空間にレベルアップしたんだろうか。
そういえば、あっという間にどっかに行っちゃったけど、荼枳尼天って言う神様だか仏様だかが現れちゃったんだよな。あれこそ「浅葱の力」なんかぶっ飛んだ超常現象な訳で。
「ねぇ殿。折角の池ですから、お魚とか欲しいですね。ほおむせんたあに赤い小さなお魚売ってましたよね。」
「まだ水が落ち着かないから駄目ですよ。」
…いくら早強剤入れたとはいえセメントを使っているから池の水はアルカリ性の筈。
というか固まっているのかセメントさん。
いくら聖域といえど、アルカリ性の水で玉の言う赤いお魚(多分、餌用の豆金だろう)は生きられない。
「先ずは水質改善。その後に水性植物を根付かせてから魚ですね。両生類なんかも入れれば、いずれ小さなビオトープになるかもしれません。」
多分、出来るだろうな。
ここはなんらかの力に祝福されている空間だろう。
でなければ、僕の力の、この限定解除されている様な無双性が説明出来ない。
★ ★ ★
「あのね、殿。」
ちゃばちゃば水に素足を付けながら、俯きがちの玉が本音を綴り始めます。
「このお社で、お母さんが居なくなって、だけど玉はずっと頑張ってました。誰も来なかったけど、毎日雑草を抜いて。でも崩れかけたお社を直すにも材料がなくて困っていたら、殿が迎えに来てくれました。お社は綺麗になったし、お社の周りもこうやって毎日掃除出来ます。」
ちゃぷん。
「佳奈さんとはメル友になりました。お婆ちゃんとは庭友です。菅原さんも玉を見かけると話しかけてくれます。玉はもう1人じゃありません。」
ちゃぷん。
「殿は玉を仲良しお化けと言いますけど、違うんですよ。玉じゃないんです。みんな、みんな殿に逢いにきてくれるんです。玉は知っていますから。」
ちゃぷん。
「そして。こうやってお社の周りも新しく綺麗になります。それもこれも全部、ぜ~えんぶ殿のお力なんですからね。」
ちゃぷちゃぷ。
「だから玉は改めて決めました。玉が殿の奥さんになるのは難しそうですけど、それでも。それでも玉はずっと殿について行きたいです。殿が何をされるのかわかりませんけど、玉は殿のお手伝いがしたいです。」
ちゃぷん。
「………お慕い申し上げますよ、殿…。」
僕は、僕は今どういう顔をしているのだろう。
★ ★ ★
「たっだいまぁ!お風呂お風呂しゃわぁー!」
さっきまで神妙な顔して僕に告っていた筈の少女は、
帰る早々、巫女衣装を脱ぎ散らかして下着姿になりながら風呂場に飛び込んで行ったってオイ!
なんなんだろうね。男に惚れました。一生付いていきますって結構な決意を表明しといて、その男に着てた物を片付けさすかね。
まぁ、多分これも玉的には僕に甘えているんだろうけど。それにしても、パジャマやジャージじゃなくて巫女衣装だぞ。
一応、僕らは神様に会っているんだぞ。
「さぁびすです。」
「ちっともサービスじゃありません。」
やれやれ。
そういえば。僕は玉の巫女衣装を畳みながら思う。
この装束は、おそらく玉が1,000年着ていた物だろう。拝殿すらない小さな本殿には、祭壇と奉納絵馬の他何も無かった。
今でこそ、榊を毎日納めているとはいえ、鏡しかあの祭壇にはなかった。
ならば、この装束は、汚れや解れのないこの装束はなんなんだろう。
~玉をお願いしますね~
……今更、何が起ころうと驚きませんけどね。
例え巫女装束が頭の中に話しかけてこようと。
~玉は私の大切な娘です~
つまり、玉が言うところの、突然居なくなったお母さんが今は巫女装束だと。
~もっと早くご挨拶したかったのですが、何しろ玉は巫女衣装を脱ぐ事が増えましたし、玉がお風呂に入っている時以外は、いつもお二人一緒なので~
まぁ、僕のそばにいる事で玉の存在確率が上がっているわけですし。
それで、何か伝えたい事でもありましたか?
~…本当に動じない方ですね…~
巫女装束に呆れられる僕。
まぁねえ。この部屋に越して来ていきなりご先祖様が出て来たり、1,000年前の少女が住み着いたり、4年前の女子高生がOLになって我が家をメールで引っ掻き回したり。
ついこの間、会社が潰れてリストラされて、そしたら何だいこの生活。巫女装束だと何となくそれっぽいし、神様にだって会ったし、ついさっきその誰かさんにプロポーズされたし。
動じてる暇なんかないんですよ。
ぶっちゃけ、玉のお母さんが巫女装束に宿っていると言う事実よりも、お昼ごはんをどうしようか。
そっちの方が悩ましいんです。
~…時と場所を選んで、色々考えていたのに、玉のごはんに負けちゃいましたか~
今のところ、そのくらい平和であり平穏であり、何も起こらない日々なんです。
~一つ、いいですか?~
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~働け~
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