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第一章 開店
とりあえず一つの真相
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翌朝。天気は雨。
なので、玉と大家さんの庭いじりはお休み。そんな日は、さすがの大家さんも店子に朝ご飯をねだろうとしには来ない。
僕らはさっさと水晶玉に潜り込んだ。
ここ2日ばかり、さすがにちょいと草臥れた。
玉は連日買い物先でおもちゃにされてるし、僕の動物園や釣り堀での所業は異常だ。
神が座する聖域はいるだけで気持ちがいい。神社が発する清浄な雰囲気と、いつのまにか動植物にも快適な空間になっている様だ。
あそこで。澄み切った清水が湧き出る小川と池のほとりで、朱傘の下で、縁台に座り、穏やかな陽と爽やかな微風に包まれてお茶を一服頂く。
隣には玉とたぬきちがゆったりと寝息を立てている。
そんな光景を胸に頭に、今日もここにやってきた。
…やってきた。
………。
なんだこりゃ?
「わぁ。これみんなたぬきち君が集めてくれたの?」
「わん!」
僕がゆっくりしようと思っていた緋毛氈の上には3つの籠が置かれて、それぞれには柿・蜜柑・枇杷が山と積まれていた。
目線を上げると、柿も蜜柑もぱんぱんに膨れた実をぶら下げていた。
あぁなんだ。確かにたぬきちは器用だし、人語を解する狸に言う事じゃないけど頭も良い。
木登りして実を収穫するくらい、易々とやってのけるだろう。
しかも実に傷がつかない様に、手間の枝からしっかり切ってあるよ。
けど、この竹で編んだ籠は何処から来た?こんなもん何処にもなかったぞ。
「わん」
「店先に立て掛けてあったと。」
「わんわん」
「確かに甘い果物は、皆んなで食べた方が美味しいね。」
「わんわん」
「そうか。ミニトマトとフルーツコーンは美味しかったか。なら芋ももう出来てそうだな。」
「わん」
「殿ぉ。たぬきち君がせっかく話しかけてくれてるんですから、もう少しこう、こうですね。」
「疲れて愛想が悪いのは自覚してますよ。一服でもすれば落ち着くでしょうから、玉とたぬきちはお勤めしてらっしゃい。」
そっか、玉にわかるほどぶっきらぼうになっていたか。
大切な家族には出しちゃいけない顔だったね。反省反省。
「わん」
「あぁ大丈夫だよ。一休みすれば復活するから、たぬきちは玉の元に行きなさい。あの娘はたぬきちが居ないと寂しがる娘だって言う事は、君も知っているでしょう?」
「わん」
わかったぜ!とばかりに、たぬきちは巫女装束を抱えた玉を追いかけて走って行った。
やれやれ、たぬきちにまで心配かけてしまったか。
★ ★ ★
玉は小柄で可愛らしい女の子だ。(鏡は銅鏡くらい、あとは水面に写すくらいしかなかった時代の娘なので、自分の容姿について自己評価は一切漏らさないけど)前に僕の歳の半分くらいと言っていたから、数え歳を考えるなら13~15歳くらいかな。
栄養摂取の関係で、同年代の女性よりは小さくて、あの通り少し人見知りで押しに弱いので、マネキンとしても可愛がられる事が多い。
自分に自信のある娘では無さそうなので、洋服屋等での騒動は、本人的に結構ストレスだったのかも知れない。
そこは、保護者として、僕の至らなかったところだ。
僕がそう言う立場に立たされた昨日、初めてわかった。
僕はただ、両親が早逝した我が家で、家と妹を守る為に僕なりに頑張って来ただけで、じゃあ僕自身の自己評価はどうなんだって言われたら、こうなりました、としか考えてない。
飼育員さん達の評価がピンと来ないのも、単に僕の社会性と価値観が狭小なだけだから。
妹に動物がよく懐く人と言われたのも、僕の中には「妹よりは」という言葉が前についていた。つけていた。
だけど、昨日の出来事は「妹よりは」のレベルを超えていた。
浅葱の力?浅葱の力は時間旅行だ。
ここ最近、聖域を中心に起こっている出来事は、あくまでも荼枳尼天の力だ。
そう思っていたんだけど?
あぁもう。
お茶だお茶。お茶を一杯。
「ふひぃ。」
湯呑みを両手で包むように。
「緋毛氈…」
久しぶりに口に出すと、僕の足元の地面に緋毛氈が現出して広がった。
そのまま、地面にゴロンと横になる。
僕の視界の隅では、玉が自分の時間帯から採ってきた一輪草が、地味ながらも可憐な白い花を咲かせている。
「どうでもいいけど、確かに今、幸せだよなぁ。」
そう口に出したくなったので出した。
聖域がもたらす幸福感、いや多幸感に包まれて、僕は目を閉じた。
★ ★ ★
「おや?殿、お休みですか?本当にお疲れだったんですねぇ。」
「はん」
玉たちがお勤め終わりましたか。
それよりも、玉よりたぬきちの方が僕に気を遣って小声だったのが気になりますな。
「起きてますよ。あまりに気持ち良くて横になっていたくなっただけです。」
「わん」
あぁ、たぬきち。足の裏を見せなさい。うん。大丈夫。
汚れてないから、毛氈の上に乗っても良いよ。
毛氈の汚れを気にする狸ってなんなんですかねぇ。
『儂らも良いかの?』
御狐様の背に横向きで腰掛ける荼枳尼天様御降臨。
荼枳尼天を知ってからいくつかの像を検索しましたけど、大体普通に跨ってました。それに比べると、うちの荼枳尼天様は女らしくお行儀が良い。
『儂に性別は無いがの。神だから。』
こんなポイポイ顕現する神様というのも、あまり無いんだろうなぁ。
『いやいや。世界中ので神話を調べてみい。わりかしポイポイ顕現するぞ』
有り難みがないなぁ。
まぁ、神殿なり本殿なりに座す神様や御狐様の足の裏が汚れてるとは思えないけどね。
………。
あの、何故、御狐様がお手のポーズを取られているんですか?
『当然、お主に拭いて欲しいんじゃ。』
あれま、御狐様がコクコク頷いている。
仕方ないか。
「濡れタオル。」
温かい濡れタオルを出して、御狐様の足の裏、一本一本丁寧に拭いてあげる。
「わふぅ」
「殿、このポーズは。たぬきち君も拭いて欲しがってますよ。」
犬科の動物が右前足をお手のポーズで構えている訳で。
たぬきちの言う事が100%わかるわけではない玉にも、これは間違えようが無い。
そこでもう一枚、温かい濡れタオルを出してあげる。
僕と玉は背中合わせになって、御狐様とたぬきちの足の裏を拭いてあげた。
なんだこれ?
★ ★ ★
『それは全部、お主のせいじゃな』
僕が剥く柿と、玉が剥く蜜柑は、荼枳尼天と御狐様とたぬきちの取り合いになりました。時々、玉も、自分の蜜柑は隠してキープしてます。
聖域の中の、茶店の外の、池のほとりの、緋毛氈の上には。
ただの無職人間と1,000年前の巫女さんと、1000年間の狸と、荼枳尼天と使いの狐が、お茶を片手に果物を貪り食べている訳で。
そんな理解不能というか理解不要なひと時。僕は昨日起こった事を神様に相談していた。
荼枳尼天の仕業だったら、鰻はしばらくお預けにする覚悟で。
『それは嫌じゃのう。大体、儂の管理はこの水晶玉の中にしか及ばん。そりゃ神ゆえ縁が結ばれた場所に行けはするが、神の力など制限されるわい』
成る程。
『じゃないと、人間世界の物理法則が簡単に崩壊するからのう。』
な、成る程。
『じゃから巫女っ子がやたら玩具にされるは巫女っ子の宿命じゃが、生物にやたら好かれるのは、お主の宿命じゃ。』
僕と荼枳尼天の会話は、巫女修行中な今の玉にはまだ聞こえないのだけど、宿命と聞いたらどんな顔をするんだろな。
『お主からは、生物が安らぐ力が出ているのよ。うちの狐は神狐じゃぞ。たかだか人間にこれほど媚びる姿なぞ、儂の神人生の中で初めて見るわい。』
神人生。3文字で矛盾してますね。
『お主は存在が矛盾じゃ。』
わぁお。神様に酷い事言われた。
『儂はその、浅葱の力なぞ知らんし分からん。理解も出来ん。じゃが、そんなケッタイな力が目覚める前から、そんな気配はあった筈じゃ。』
あぁ、妹の軽口が僕の脳内をこだまする。
「兄さんには、ペットが飼い主より懐く」
『じゃがの、お主の力がそれほどまでに急に強まった理由はわかる。』
はぁ。
なんか聞きたく無いなあ。
あれ?柿はもう皆んないいのかな?
「殿が剥いてばかりで食べないからですよ。玉もたぬきち君も神様たちも、殿の分をちゃんと残しているんです。」
「あれま、それはありがとう。玉、たぬきち、荼枳尼天様、御狐様。」
「えへへ。」
「わん」
『構わん。気にするでない。』
「(コクコク)」
★ ★ ★
『もう一つの水晶玉の方じゃ。』
とうとう僕の膝に頭を乗せて御狐様が寝ちゃった。
そんな御狐様の頭をそっと撫でながら、荼枳尼天が真相?を語り始めた。
『あっちで、お主と巫女っ子が土地神の穢れを払ったじゃろ』
そんな事もありましたねぇ。ほんの一昨日の事でしたねぇ。
なんだかんだで、毎日が濃すぎです。
買い物行ったり、遊びに行ったりしてるだけなんですが。
『それゆえ、土地神の力が完璧に元に戻った。元々、土地神程度に収まる神格ではないからの。どうやら浅葱の力とは浅からぬ縁(えにし)があるようだの。お主の力が高いところにもって、全ての力を取り戻した土地神の祝福を一身に受けている訳じゃの。そりゃ、動物も懐くじゃろうて。』
割と自業自得な真実だった。
国麻呂さんの顔が浮かぶ。
玉のお母さんの顔が浮かぶ。
僕は。僕は何をするんだろう。
どうしたらいいんだろう。
なので、玉と大家さんの庭いじりはお休み。そんな日は、さすがの大家さんも店子に朝ご飯をねだろうとしには来ない。
僕らはさっさと水晶玉に潜り込んだ。
ここ2日ばかり、さすがにちょいと草臥れた。
玉は連日買い物先でおもちゃにされてるし、僕の動物園や釣り堀での所業は異常だ。
神が座する聖域はいるだけで気持ちがいい。神社が発する清浄な雰囲気と、いつのまにか動植物にも快適な空間になっている様だ。
あそこで。澄み切った清水が湧き出る小川と池のほとりで、朱傘の下で、縁台に座り、穏やかな陽と爽やかな微風に包まれてお茶を一服頂く。
隣には玉とたぬきちがゆったりと寝息を立てている。
そんな光景を胸に頭に、今日もここにやってきた。
…やってきた。
………。
なんだこりゃ?
「わぁ。これみんなたぬきち君が集めてくれたの?」
「わん!」
僕がゆっくりしようと思っていた緋毛氈の上には3つの籠が置かれて、それぞれには柿・蜜柑・枇杷が山と積まれていた。
目線を上げると、柿も蜜柑もぱんぱんに膨れた実をぶら下げていた。
あぁなんだ。確かにたぬきちは器用だし、人語を解する狸に言う事じゃないけど頭も良い。
木登りして実を収穫するくらい、易々とやってのけるだろう。
しかも実に傷がつかない様に、手間の枝からしっかり切ってあるよ。
けど、この竹で編んだ籠は何処から来た?こんなもん何処にもなかったぞ。
「わん」
「店先に立て掛けてあったと。」
「わんわん」
「確かに甘い果物は、皆んなで食べた方が美味しいね。」
「わんわん」
「そうか。ミニトマトとフルーツコーンは美味しかったか。なら芋ももう出来てそうだな。」
「わん」
「殿ぉ。たぬきち君がせっかく話しかけてくれてるんですから、もう少しこう、こうですね。」
「疲れて愛想が悪いのは自覚してますよ。一服でもすれば落ち着くでしょうから、玉とたぬきちはお勤めしてらっしゃい。」
そっか、玉にわかるほどぶっきらぼうになっていたか。
大切な家族には出しちゃいけない顔だったね。反省反省。
「わん」
「あぁ大丈夫だよ。一休みすれば復活するから、たぬきちは玉の元に行きなさい。あの娘はたぬきちが居ないと寂しがる娘だって言う事は、君も知っているでしょう?」
「わん」
わかったぜ!とばかりに、たぬきちは巫女装束を抱えた玉を追いかけて走って行った。
やれやれ、たぬきちにまで心配かけてしまったか。
★ ★ ★
玉は小柄で可愛らしい女の子だ。(鏡は銅鏡くらい、あとは水面に写すくらいしかなかった時代の娘なので、自分の容姿について自己評価は一切漏らさないけど)前に僕の歳の半分くらいと言っていたから、数え歳を考えるなら13~15歳くらいかな。
栄養摂取の関係で、同年代の女性よりは小さくて、あの通り少し人見知りで押しに弱いので、マネキンとしても可愛がられる事が多い。
自分に自信のある娘では無さそうなので、洋服屋等での騒動は、本人的に結構ストレスだったのかも知れない。
そこは、保護者として、僕の至らなかったところだ。
僕がそう言う立場に立たされた昨日、初めてわかった。
僕はただ、両親が早逝した我が家で、家と妹を守る為に僕なりに頑張って来ただけで、じゃあ僕自身の自己評価はどうなんだって言われたら、こうなりました、としか考えてない。
飼育員さん達の評価がピンと来ないのも、単に僕の社会性と価値観が狭小なだけだから。
妹に動物がよく懐く人と言われたのも、僕の中には「妹よりは」という言葉が前についていた。つけていた。
だけど、昨日の出来事は「妹よりは」のレベルを超えていた。
浅葱の力?浅葱の力は時間旅行だ。
ここ最近、聖域を中心に起こっている出来事は、あくまでも荼枳尼天の力だ。
そう思っていたんだけど?
あぁもう。
お茶だお茶。お茶を一杯。
「ふひぃ。」
湯呑みを両手で包むように。
「緋毛氈…」
久しぶりに口に出すと、僕の足元の地面に緋毛氈が現出して広がった。
そのまま、地面にゴロンと横になる。
僕の視界の隅では、玉が自分の時間帯から採ってきた一輪草が、地味ながらも可憐な白い花を咲かせている。
「どうでもいいけど、確かに今、幸せだよなぁ。」
そう口に出したくなったので出した。
聖域がもたらす幸福感、いや多幸感に包まれて、僕は目を閉じた。
★ ★ ★
「おや?殿、お休みですか?本当にお疲れだったんですねぇ。」
「はん」
玉たちがお勤め終わりましたか。
それよりも、玉よりたぬきちの方が僕に気を遣って小声だったのが気になりますな。
「起きてますよ。あまりに気持ち良くて横になっていたくなっただけです。」
「わん」
あぁ、たぬきち。足の裏を見せなさい。うん。大丈夫。
汚れてないから、毛氈の上に乗っても良いよ。
毛氈の汚れを気にする狸ってなんなんですかねぇ。
『儂らも良いかの?』
御狐様の背に横向きで腰掛ける荼枳尼天様御降臨。
荼枳尼天を知ってからいくつかの像を検索しましたけど、大体普通に跨ってました。それに比べると、うちの荼枳尼天様は女らしくお行儀が良い。
『儂に性別は無いがの。神だから。』
こんなポイポイ顕現する神様というのも、あまり無いんだろうなぁ。
『いやいや。世界中ので神話を調べてみい。わりかしポイポイ顕現するぞ』
有り難みがないなぁ。
まぁ、神殿なり本殿なりに座す神様や御狐様の足の裏が汚れてるとは思えないけどね。
………。
あの、何故、御狐様がお手のポーズを取られているんですか?
『当然、お主に拭いて欲しいんじゃ。』
あれま、御狐様がコクコク頷いている。
仕方ないか。
「濡れタオル。」
温かい濡れタオルを出して、御狐様の足の裏、一本一本丁寧に拭いてあげる。
「わふぅ」
「殿、このポーズは。たぬきち君も拭いて欲しがってますよ。」
犬科の動物が右前足をお手のポーズで構えている訳で。
たぬきちの言う事が100%わかるわけではない玉にも、これは間違えようが無い。
そこでもう一枚、温かい濡れタオルを出してあげる。
僕と玉は背中合わせになって、御狐様とたぬきちの足の裏を拭いてあげた。
なんだこれ?
★ ★ ★
『それは全部、お主のせいじゃな』
僕が剥く柿と、玉が剥く蜜柑は、荼枳尼天と御狐様とたぬきちの取り合いになりました。時々、玉も、自分の蜜柑は隠してキープしてます。
聖域の中の、茶店の外の、池のほとりの、緋毛氈の上には。
ただの無職人間と1,000年前の巫女さんと、1000年間の狸と、荼枳尼天と使いの狐が、お茶を片手に果物を貪り食べている訳で。
そんな理解不能というか理解不要なひと時。僕は昨日起こった事を神様に相談していた。
荼枳尼天の仕業だったら、鰻はしばらくお預けにする覚悟で。
『それは嫌じゃのう。大体、儂の管理はこの水晶玉の中にしか及ばん。そりゃ神ゆえ縁が結ばれた場所に行けはするが、神の力など制限されるわい』
成る程。
『じゃないと、人間世界の物理法則が簡単に崩壊するからのう。』
な、成る程。
『じゃから巫女っ子がやたら玩具にされるは巫女っ子の宿命じゃが、生物にやたら好かれるのは、お主の宿命じゃ。』
僕と荼枳尼天の会話は、巫女修行中な今の玉にはまだ聞こえないのだけど、宿命と聞いたらどんな顔をするんだろな。
『お主からは、生物が安らぐ力が出ているのよ。うちの狐は神狐じゃぞ。たかだか人間にこれほど媚びる姿なぞ、儂の神人生の中で初めて見るわい。』
神人生。3文字で矛盾してますね。
『お主は存在が矛盾じゃ。』
わぁお。神様に酷い事言われた。
『儂はその、浅葱の力なぞ知らんし分からん。理解も出来ん。じゃが、そんなケッタイな力が目覚める前から、そんな気配はあった筈じゃ。』
あぁ、妹の軽口が僕の脳内をこだまする。
「兄さんには、ペットが飼い主より懐く」
『じゃがの、お主の力がそれほどまでに急に強まった理由はわかる。』
はぁ。
なんか聞きたく無いなあ。
あれ?柿はもう皆んないいのかな?
「殿が剥いてばかりで食べないからですよ。玉もたぬきち君も神様たちも、殿の分をちゃんと残しているんです。」
「あれま、それはありがとう。玉、たぬきち、荼枳尼天様、御狐様。」
「えへへ。」
「わん」
『構わん。気にするでない。』
「(コクコク)」
★ ★ ★
『もう一つの水晶玉の方じゃ。』
とうとう僕の膝に頭を乗せて御狐様が寝ちゃった。
そんな御狐様の頭をそっと撫でながら、荼枳尼天が真相?を語り始めた。
『あっちで、お主と巫女っ子が土地神の穢れを払ったじゃろ』
そんな事もありましたねぇ。ほんの一昨日の事でしたねぇ。
なんだかんだで、毎日が濃すぎです。
買い物行ったり、遊びに行ったりしてるだけなんですが。
『それゆえ、土地神の力が完璧に元に戻った。元々、土地神程度に収まる神格ではないからの。どうやら浅葱の力とは浅からぬ縁(えにし)があるようだの。お主の力が高いところにもって、全ての力を取り戻した土地神の祝福を一身に受けている訳じゃの。そりゃ、動物も懐くじゃろうて。』
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国麻呂さんの顔が浮かぶ。
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僕は。僕は何をするんだろう。
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