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6.作戦会議
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「殿下がツィーリィを必要だと言ったんだな?」イザベラ義兄様に聞き返され、
「はい」と頷き肯定する。
日中の馬術大会での殿下の振る舞いは、王宮で噂になったらしく、執務を終えたイザベラ義兄様が話を聞きに来たのだ。
誰にも聞かれない様に、使用人達は退室させた。
「もしかしたら、側室入りでこちらに別の意図があるのと同じ様に、殿下にも何かしらの目的があるのかもしれないな。」と顎を触り考えながら言う。
「殿下の目的…陛下の暗殺を企てた犯人探しとか?」
「それが殿下の目的かは分からないが、両侯爵家とも必死に犯人を探しているのは間違いない。」
現陛下は"戦いと愛の王"の異名を持つ。
他国との戦争は負けなしなことと奔放な女性関係からついた名らしい。
そんな陛下が3ヶ月前に一夜を共にした踊り子に滅多刺しにされた事件が起きた。
陛下が寝首をかかれ瀕死の状態など国の威信に関わるため、陛下の側近のミズリー侯爵、シアー侯爵にのみ知らされたらしい。
つまり、この事件は国にとって最重要機密事項だ。
「でも、殿下は光の魔法の加護で毒は効かないと仰っていました。となると、加護は物理攻撃には効果がないんでしょうか?」ふと湧いた疑問を口にする。
「俺もそこは疑問に思っていた。あの力を持つ陛下をどうやって瀕死に追いやったのか。だから、今回の犯人は、王族の力の弱点を知っている人物だと俺は考えている。」
義兄様は気を抜いているときは一人称が俺になるというのは、ここ最近知った。
「つまり、王族に近しい人物ですよね。立場ある人物が陛下に害をなすメリットよりもリスクの方が大きい気がするんですが。」
「権力や欲に目が眩んだ人間には、リスクが小さく見えるんだろな。犯人のせいで、俺たちがここに来る羽目になったしな。」と義兄様はため息をつく。
事件がきっかけで、陛下が崩御するようなことがあれば跡目争いが勃発する。
それ危惧して、あの人、シアー侯爵は私の側室入りを決めた。
「私たちの目的は、陛下のお命が尽きる前に達成しなければいけない。そう考えると時間がないのに、何も方法が思いつかず気が重くなります。」と素直な気持ちを吐露すると、
義兄様は困った様に眉を下げ
「そうだな。とりあえず、手段は俺の方で考えておくから、ツィーリィは殿下と親密になる事を優先してくれ。」と言う。
「…はい。」殿下にも何か目的があるかもしれないが、彼の優しさや気持ちを利用する様で気が進まず、返事が遅くなる。
真面目すぎる所がある義兄様がそれを良しとせず
「殿下に対し罪悪感を持っているのかもしれないが、側室入りは父上が殿下に直接打診して了承を得ているから、何か裏があることは予測しているだろう。それに殿下も何か目的があって、この状況を利用しているから、お互い様だ。だから気にするな。」と義兄様なりの励ましをしてくる。
「ふふ。相変わらずですね。」不器用な優しさに気持ちが少し解きほぐされる。
「次に殿下と会うのはいつごろになるんだ?」照れているのか話題をすぐに変えられる。
「明後日、また会えると思います。ミズリー侯爵主催の晩餐会があるから、一緒にと言われたので。」
「ミズリー侯爵か。あの人にとって、ツィーリィは目障りなはずだから、何かしかけてくるかもしれない。晩餐会では気を抜くなよ。」
王宮に来るまで、人の敵意を明確に感じたことは今まで無かった。
敵意を隠そうともしなかったミズリー侯爵は要注意人物だろう。
「はい。最善を尽くします。そういえば、ラヴェル殿下には婚約者がいると聞いたんですが、義兄様はどなたかご存知ですか?」
日中ご令嬢が話していた内容を聞いてみる。
「あぁ、婚約者はミズリー侯爵の孫娘だぞ。晩餐会にももしかしたら、来るんじゃないか。」
要注意人物の名前が上がり、明日の晩餐会の行く末を少し憂いたのだった。
「はい」と頷き肯定する。
日中の馬術大会での殿下の振る舞いは、王宮で噂になったらしく、執務を終えたイザベラ義兄様が話を聞きに来たのだ。
誰にも聞かれない様に、使用人達は退室させた。
「もしかしたら、側室入りでこちらに別の意図があるのと同じ様に、殿下にも何かしらの目的があるのかもしれないな。」と顎を触り考えながら言う。
「殿下の目的…陛下の暗殺を企てた犯人探しとか?」
「それが殿下の目的かは分からないが、両侯爵家とも必死に犯人を探しているのは間違いない。」
現陛下は"戦いと愛の王"の異名を持つ。
他国との戦争は負けなしなことと奔放な女性関係からついた名らしい。
そんな陛下が3ヶ月前に一夜を共にした踊り子に滅多刺しにされた事件が起きた。
陛下が寝首をかかれ瀕死の状態など国の威信に関わるため、陛下の側近のミズリー侯爵、シアー侯爵にのみ知らされたらしい。
つまり、この事件は国にとって最重要機密事項だ。
「でも、殿下は光の魔法の加護で毒は効かないと仰っていました。となると、加護は物理攻撃には効果がないんでしょうか?」ふと湧いた疑問を口にする。
「俺もそこは疑問に思っていた。あの力を持つ陛下をどうやって瀕死に追いやったのか。だから、今回の犯人は、王族の力の弱点を知っている人物だと俺は考えている。」
義兄様は気を抜いているときは一人称が俺になるというのは、ここ最近知った。
「つまり、王族に近しい人物ですよね。立場ある人物が陛下に害をなすメリットよりもリスクの方が大きい気がするんですが。」
「権力や欲に目が眩んだ人間には、リスクが小さく見えるんだろな。犯人のせいで、俺たちがここに来る羽目になったしな。」と義兄様はため息をつく。
事件がきっかけで、陛下が崩御するようなことがあれば跡目争いが勃発する。
それ危惧して、あの人、シアー侯爵は私の側室入りを決めた。
「私たちの目的は、陛下のお命が尽きる前に達成しなければいけない。そう考えると時間がないのに、何も方法が思いつかず気が重くなります。」と素直な気持ちを吐露すると、
義兄様は困った様に眉を下げ
「そうだな。とりあえず、手段は俺の方で考えておくから、ツィーリィは殿下と親密になる事を優先してくれ。」と言う。
「…はい。」殿下にも何か目的があるかもしれないが、彼の優しさや気持ちを利用する様で気が進まず、返事が遅くなる。
真面目すぎる所がある義兄様がそれを良しとせず
「殿下に対し罪悪感を持っているのかもしれないが、側室入りは父上が殿下に直接打診して了承を得ているから、何か裏があることは予測しているだろう。それに殿下も何か目的があって、この状況を利用しているから、お互い様だ。だから気にするな。」と義兄様なりの励ましをしてくる。
「ふふ。相変わらずですね。」不器用な優しさに気持ちが少し解きほぐされる。
「次に殿下と会うのはいつごろになるんだ?」照れているのか話題をすぐに変えられる。
「明後日、また会えると思います。ミズリー侯爵主催の晩餐会があるから、一緒にと言われたので。」
「ミズリー侯爵か。あの人にとって、ツィーリィは目障りなはずだから、何かしかけてくるかもしれない。晩餐会では気を抜くなよ。」
王宮に来るまで、人の敵意を明確に感じたことは今まで無かった。
敵意を隠そうともしなかったミズリー侯爵は要注意人物だろう。
「はい。最善を尽くします。そういえば、ラヴェル殿下には婚約者がいると聞いたんですが、義兄様はどなたかご存知ですか?」
日中ご令嬢が話していた内容を聞いてみる。
「あぁ、婚約者はミズリー侯爵の孫娘だぞ。晩餐会にももしかしたら、来るんじゃないか。」
要注意人物の名前が上がり、明日の晩餐会の行く末を少し憂いたのだった。
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