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【奇妙な予告状】⑧
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ピンポーン。
「ん?来たか」
濡れた服を袋に入れて廊下の拭き掃除を終え、一息ついたところで玄関のチャイムが鳴った。
まさしく、今から休憩の為に珈琲を淹れようと席を立った時に。
「タイミング良いんだか悪いんだか…まぁいっか」
目的地をキッチンから玄関に変更し、リビングを出ていく。玄関の覗き穴から見ると、来訪者はやはり快斗だった。
「おーい、新一。起きてるかぁ?いい加減起きねぇと、目が腐っちまうぞー。ほらほら、お前の愛しの快斗様が来てやったぞ。早く開けてくれ」
解ってやっているのかいないのか、快斗は玄関でそんな好き勝手な事を言っていた。
「………この野郎」
一瞬居留守を使おうかと思ったがそれでは呼んだ意味がないし、何より相手は怪盗。その気になればこんな鍵などあっさり開けてくるだろう。ならば居留守など使っても無意味だと考え直し、結局鍵を開けた。
「はいはい、今開けますよ。ったく、言いたい放題言いやがって」
玄関の扉を開けると、緑のパーカーにジーンズに帽子、持ち物としては若干大きな肩掛けバックという格好の快斗が立っていた。
相変わらずそこらに跳ねる癖っ毛に、何処か猫を思わせる目。いつもこっちをからかってくるお調子者なのだが、更にムカつくのは、こいつが新一の顔にそっくりだという点だ。
ストレートな新一の髪を快斗が真似すると、背格好も似ていることから良く双子に間違えられる。新一としては、こんな兄弟がいてたまるかといつも思っている。
俺に気づくと、快斗はいつものシニカルな笑みを浮かべた。
「おっ、ちゃんと起きてたな。偉い偉い。おはよう新一。あんまり不健康な生活してっと、不動さんが泣くぜ?」
「何でそこに凜が出てくんだよ。それに不健康な生活ってのはお前も当てはまるだろうが。昨日も仕事だっただろう。それに便乗して犯罪起こす奴とかいて、おかげでこっちにまで余波が来て大変だったんだぞ」
帰ろうとした時に要請が入り、昨日のお手伝いはまさしく予想外の残業になったのだ。
そんな原因となった快斗は、どこ吹く風といったように平然と返してきた。
「そんなの俺の所為じゃねぇもん。やった奴が悪いんだし。それに、どうせ警部に『もう帰って良いよ』とか言われたのに『いえ、気になりますから』とかなんとか言って自分から居残ったんじゃねぇの?」
「ほっとけ。昨日はいきなり雨が降ったから、証拠が消えかけて大変だったんだ。そんな時に帰れるかよ」
半眼で睨むと、快斗はあー確かにいきなり降ったよなぁとか言いながらうんうん頷いていた。
ちゃんと月が出ている夜だったのだが、時間が経つに連れて段々曇ってきて、そして最後には土砂降りの雨が降ったのだ。
こいつも急な雨の中の仕事だったのだから、いつもの逃走経路は使えないしでそれなりに大変だったのだろう。
そんな事を考えつつ、未だに自分たちが玄関にいることにふと気づく。
「まぁ立ち話もなんだ。入れよ。…それにしても、家に来るまでずいぶん早かったな」
家に招き入れながら聞くと、電話した時は本当にすぐ近くだったんだと返ってきた。
まぁ、近くだったからこそ、行くつもりになって電話したらしいが。
◆◆◆
「ん?来たか」
濡れた服を袋に入れて廊下の拭き掃除を終え、一息ついたところで玄関のチャイムが鳴った。
まさしく、今から休憩の為に珈琲を淹れようと席を立った時に。
「タイミング良いんだか悪いんだか…まぁいっか」
目的地をキッチンから玄関に変更し、リビングを出ていく。玄関の覗き穴から見ると、来訪者はやはり快斗だった。
「おーい、新一。起きてるかぁ?いい加減起きねぇと、目が腐っちまうぞー。ほらほら、お前の愛しの快斗様が来てやったぞ。早く開けてくれ」
解ってやっているのかいないのか、快斗は玄関でそんな好き勝手な事を言っていた。
「………この野郎」
一瞬居留守を使おうかと思ったがそれでは呼んだ意味がないし、何より相手は怪盗。その気になればこんな鍵などあっさり開けてくるだろう。ならば居留守など使っても無意味だと考え直し、結局鍵を開けた。
「はいはい、今開けますよ。ったく、言いたい放題言いやがって」
玄関の扉を開けると、緑のパーカーにジーンズに帽子、持ち物としては若干大きな肩掛けバックという格好の快斗が立っていた。
相変わらずそこらに跳ねる癖っ毛に、何処か猫を思わせる目。いつもこっちをからかってくるお調子者なのだが、更にムカつくのは、こいつが新一の顔にそっくりだという点だ。
ストレートな新一の髪を快斗が真似すると、背格好も似ていることから良く双子に間違えられる。新一としては、こんな兄弟がいてたまるかといつも思っている。
俺に気づくと、快斗はいつものシニカルな笑みを浮かべた。
「おっ、ちゃんと起きてたな。偉い偉い。おはよう新一。あんまり不健康な生活してっと、不動さんが泣くぜ?」
「何でそこに凜が出てくんだよ。それに不健康な生活ってのはお前も当てはまるだろうが。昨日も仕事だっただろう。それに便乗して犯罪起こす奴とかいて、おかげでこっちにまで余波が来て大変だったんだぞ」
帰ろうとした時に要請が入り、昨日のお手伝いはまさしく予想外の残業になったのだ。
そんな原因となった快斗は、どこ吹く風といったように平然と返してきた。
「そんなの俺の所為じゃねぇもん。やった奴が悪いんだし。それに、どうせ警部に『もう帰って良いよ』とか言われたのに『いえ、気になりますから』とかなんとか言って自分から居残ったんじゃねぇの?」
「ほっとけ。昨日はいきなり雨が降ったから、証拠が消えかけて大変だったんだ。そんな時に帰れるかよ」
半眼で睨むと、快斗はあー確かにいきなり降ったよなぁとか言いながらうんうん頷いていた。
ちゃんと月が出ている夜だったのだが、時間が経つに連れて段々曇ってきて、そして最後には土砂降りの雨が降ったのだ。
こいつも急な雨の中の仕事だったのだから、いつもの逃走経路は使えないしでそれなりに大変だったのだろう。
そんな事を考えつつ、未だに自分たちが玄関にいることにふと気づく。
「まぁ立ち話もなんだ。入れよ。…それにしても、家に来るまでずいぶん早かったな」
家に招き入れながら聞くと、電話した時は本当にすぐ近くだったんだと返ってきた。
まぁ、近くだったからこそ、行くつもりになって電話したらしいが。
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