Doll Master

亜黒

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【Doll Master】⑫

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そんな快斗から視線を移し、新一は警戒しつつ然り気無くDoll Masterを観察する。

(…金髪に背丈は平均より高め、スーツ越しだと分かりずらいが体格はしっかりしてるな。年は父さんくらいか。さっきの奇っ怪な技といい、どうも裏の世界の奴らみたいな危ない気配がする)

すでに警官に取り囲まれているのにも関わらず、特に焦る事もなく余裕を見せているところが更に不気味だ。

「…快斗、油断すんなよ」

「分かってるって。色々調べたが、奴についてはあまり詳しくは分からなかった。間近で見たのは初めてだけど、あいつすっげぇヤバいぜ」

緊張する二人に、一人の警官が慌てたように新一達に声をかけてきた。

「久神君、九條君。そこは危ないから、ちょっとこっちに下がってくれ!」

「クジョウ…?くじょう…九條…ああ!」

そう呟いた途端、突然Doll Masterはさも思い出したように手を打った。

「もしかして、君は九條新一君かい?あの伝説の女優、旧姓は黒木麗子だったかな?彼女のご子息か。いやぁ、彼女には憧れを抱いていたものだ。そういえば、どこか面影があるね。それに君の父上は確か、九條伸作だったよね。彼の書いた小説、『ナイトメアシリーズ』は私も読んだよ。あれは素晴らしかった…!」

「はぁ…?」

いきなり目を輝かせて語り始めたDoll Masterに面食らう新一達を他所に、一人でドンドンと話しを更にヒートアップしていく。

 「ああ、ああ。語る事が山程ありすぎて時間が足りないなんて。いやはや、私も運が良い。久神君だけでも想像以上だったのに、手に入れたいと思っていた『Doll』が、二人もこんな近くにいるなんてね。しかも、二人とも極上の一品。ふふふ…」

恍惚とした怪しい笑みを浮かべ、そして視線を新一と快斗へ向ける。

ゾクゾクゾクゥッ!

「な、何かヤバい気が…」

「快斗もそう思うか?俺も、さっきから鳥肌が止まらねぇよ」

思わず、仲良く揃って後ずさる二人。そんな二人を警官が隠すように立ちはだかる。

「久神君達を守れ!Doll Master、お前ももう終わりだ!観念しろ!!」

「はぁ。やれやれ、何と無粋な…。まあいい」

そんな警官に軽く舌打ちしたDoll Masterだったが、次の瞬間には笑顔になった。

「少し分が悪いみたいだから、今回は諦めよう。だが、次はちゃんと迎えに来るよ。その時まで待っていてくれ。久神快斗君。そして――九條新一君?」

「え…」

「被疑者を確保しろ!!」

「「「おーっ!!」」」

最後の言葉が聞こえるかというタイミングで、警部の号令が掛かる。それに合わせ、周りの警官がDoll Masterに飛び掛かったその瞬間、頭に響くような強烈な音が部屋中に鳴り響いた。

キィィィーン!!

「うわっ!?」

「ぐっ!?」

「痛っ!」

「きゃああ!?」

「な、何だ!?」


思わず頭を抱え、音をやり過ごした時には、そこにDoll Masterの姿はなかった――。


「…おめでとう、新一。晴れてお前にもファンが出来たな」

「…冗談きついぜ」

Doll Masterか。厄介な奴に目をつけられたな…。


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