回り道した1つの愛

樺純

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7話

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エマside

車に乗るとテルキは私の涙を優しくティッシュで拭きながら問いかけてきた。


T「もしかしてずっと会ってなかったの?ユマと……」

*「うん…ユマとは高校の時から折り合い…悪かったから…」

T「だったな…顔は全く同じなのに性格は真逆で有名だったもんな…お前たち…」

*「…テルキは気づかなかったの?ユマとジュンのこと…もしかして、もうユマとは別れてるの?」

T「あのさ…ずっと言わなきゃなって思ってたんだけど…」

*「…なに?」

T「俺とユマは…はじめかっから付き合ってなんかないよ…」


私はテルキの言葉を聞いて思わず言葉を失った。


どういうこと?


テルキはあの日、ユマと大学内でキスをしてた。


私と再会したテルキはユマの代わりでもいいと言った私に自身とユマの関係を否定なんてしなかったのに。 


*「付き合ってたんじゃないの…?」

T「やっぱずっとそう思ってたんだな?あの日、大学でユマに呼び出された俺はユマにいきなりキスされただけ。なのにエマは俺のこと拒絶するし、次の日にはジュンと付き合ってるし…」


テルキは笑いながらそう話して私の手を握った。


*「でも言ってくれなかったじゃん…私がユマとのこと聞いたとき…なんでその時に付き合ってないって言ってくれなかったの…」

T「俺はエマが本当にジュンのこと好きなら幸せになってほしいって思ってた。でも、卒業してエマと再会した時、やっぱり2番目でも良いからエマのそばにいたいと思ったんだ…ユマとは付き合ってないって言ったら…エマに重いって思われそうでこの曖昧な関係が終わってしまいそうで言えなかった…ごめん…」

*「私もずっと…テルキとのこの曖昧な関係が終わってしまいそうで怖かった…だからずっと…言えなかった。」

T「そっか…家に帰ろっか……?」

*「うん…」

テルキは優しく微笑み、私の頬をなぞるとチュッと軽くキスをした。

そして、私たちは近くのデパ地下で夜ご飯の用意を購入し私のマンションに戻った。


T「エマは座ってて~俺が準備するから!!」


テルキはそう言って張り切ってデパ地下で買ったお惣菜をお皿に並べていく。


私はそんな様子をリビングから眺めていた。


でも、頭の中にはさっき見た自分と同じ顔をしたユマとジュンのキスの光景が浮かんでくる。


ユマ…ジュンの好きなそうな服装をしてたな…


前までは派手だったのに今日みたユマの雰囲気は全く違った。


T「あ!違うこと!!考えてる…」


声かけられてテルキが目の前で両手にお皿を持って立っている事に気付いた。


*「ごめん…ぼーっとしてた。」

T「…やっぱりショック?ジュンのこと…」


テルキは不安気な顔をして私に問いかけ私の横に腰掛ける。


*「ショックとかじゃなくて…もう、やめよ…この話は…」

T「……だな。さ!乾杯しよう!」


テルキはそう言って白ワインをグラスに注ぎ私に持たせた。


T「エマ…お誕生日おめでとう…乾杯。」

*「ありがとう。」


テルキはいつも優しいが、今日はさらに優しかった。


自分の子供の頃の話をしたり、私と写真を撮って変な加工してケラケラ笑ったり、テルキがそばにいるとそれだけで笑顔でいれた。


T「あぁーお腹いっぱい!!タバコ吸ってもいい?」

*「いいよ。灰皿とってくるね。」


私はキッチンに置いてあるテルキだけの為の灰皿を持ってテルキの元に戻ると、テルキは少し煙たそうな顔をしながら煙草に火をつけた。


私はそんなテルキの腕に寄り添うようにもたれ掛かると、テルキは私に煙がかからないように横を向いて煙を吐き出す。


私の手がテヒョンの腰に回るとテルキはニヤッと笑い私の唇を塞いだ。


煙草のにおいがするキスは少し苦くて中毒性がある。


私はテルキの首に手を回し、自らテルキの舌に自分の舌を絡めると、テルキは笑いながら煙草を灰皿に押し当て火を消した。


ゆっくりとテルキは私をソファに押し倒し、テルキは私が頭をソファの角にぶつけないように自分の手でそっと後頭部を包み込んで甘いキスをする。


何度も角度を変えては舌を絡め合いチュ…チュ…と音を立てながらお互いの吐息を感じる。


テルキはゆっくりと唇から離れると私のシャツのボタンをパチ…パチ…と器用に外した。


我慢できないのは私の方で思わず身を起き上がらせてテルキの唇に吸い付くとテルキはシャツの隙間から手を滑り込ませた。


冷たいテルキの指先に身体がピクと反応するとテルキはそのまま私のワンピースを脱がせた。


下着姿になった私をテルキはじっと見つめ私の胸からお腹にかけて人差し指でなぞる。


*「くすぐったい。」

T「綺麗だなっと思って…」


今までテルキと数えきれないほど身体を重ね合わせてきた。


私の身体なんてもう何度も見てきたはずなのにテルキはそう言って微かに涙を溜めていた。


私を抱き上げようとするテルキを私は止めた。


*「ここで…シて…」

T「でも、体勢キツいだろ?」

*「お願い…」


私がそう言ったその瞬間…私のスマホが慌ただしく鳴り響いた。

思わずふたりで目を合わせて固まる。


私はその着信の相手が誰なのか…薄々気づいていた。


テルキは少し何かを考えたあと、私の上からゆっくりとおり、横にあったパーカーを私の肩にかけた。


T「出な…」


仕方なく起き上がりテルキが掛けてくれたパーカーに袖を通しスマホを見ると予想通り…


相手はジュンからだった。


*「もしもし…」

J「今どこ?」

*「家だよ。」

J「なら良かった…今、マンションの下にいるから部屋に上がるね…」


ジュンのその言葉を聞いて私は思わずテルキを見る。


*「わ…分かった…」 


私は電話を切りテルキに伝えた。


*「ジュン…ウチに来るって…」

T「え?今から?…分かった…じゃ俺、かえ…」

*「ここにいて…帰らないで…」

T「……分かった…」


テルキがそう言った瞬間…


部屋のインターホンが鳴った。

つづく
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