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第六十一話
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誠司サイド
俺の勘は当たる。
それは当たって欲しいことも当たって欲しくないことも。
俺は美沙ちゃんには純太とアヨの関係をちゃんと伝える方がいいと思い美沙ちゃんを飲みに誘った。
俺が片思いしてると思っていた美沙ちゃんに突然告白されたのは想定外だったけど。
ごめんね…美沙ちゃん…
告白はロマンティックに男の俺の方からしたかったんだ。
だから、今の言葉は聞かなかったことにするよ…
今度その件について2人で熱く語り合うね?
いつも淡々としている美沙ちゃんに純太とアヨの一連の出来事を伝えると空いた口が塞がらない…って顔していた。
そりゃそうだよね?
でも、さすが頭の回転が早い美沙ちゃん。
関係性を整理するのが早い。
そんな事に感心していると美沙ちゃんのスマホが鳴った。
純太の家に行ったはずのユオちゃんが美沙ちゃんの家の前で泣いてる?
嫌な予感が頭の中を横切る。
慌ててタクシーに乗り込み、美沙ちゃんの家につくとユオちゃんはしゃがみ込んで泣いていた。
ユオちゃん…心配しなくても俺も美沙ちゃんも君の味方だよ?
だから…大丈夫。
ユオちゃん…君はひとりじゃないから…
ユオちゃんを支えながらこのまま女の子の部屋に入っていいものかと戸惑っていると美沙ちゃんが言った。
美「誠司さんも上がってください…ユオも誠司がいてくれた方が心強いと思うんで…」
S「ユオちゃん…俺もいて大丈夫?」
Y「はい…すいません…」
俺は美沙ちゃんの部屋に入った。
美沙ちゃんがコーヒーを淹れてくれて、俺はゆっくりとそのコーヒーを啜る。
美「ユオ?コーヒー淹れたから飲んで、落ち着いたら話してね…?」
Y「美沙さんごめんね…もう大丈夫…ありがとう」
S「無理しなくていいからね?」
Y「はい…何から話せばいいのかわからないのですが…純太くんの家に行ったら…私…追い返されちゃいました…」
S「純太…なんか言ってた?」
Y「ごめんと帰って…だけしか…」
美「それで泣いて帰ってきたの…?」
Y「ううん…違う。諦めて帰ろうとしたらアヨさんに会った…」
S「アヨになんかされた!?」
Y「何もされてません…でも…もうここに来るなって純太くんも迷惑してるって…あんまりしつこいと警察にストーカーの被害届だすからって…」
アヨ…お前ってやつは…
俺は絶対にそんなこと純太が言ってる訳がないと分かっているから、余計にアヨに腹が立ち呆れた。
Y「やっぱり、純太くんとアヨさんは相思相愛だったんだよ…純太くんは私を好きって言ってくれたけど…私が思ってる好きと違ったみたい!私ひとりで勘違いしてた…うぅ…」
そう話すとユオちゃんの目からまた涙が溢れ出した。
純太…お前はユオに好きって言ってんじゃん!もう答え出てんじゃん!
なのに何に悩んでんだよ…
俺ははっきりしない純太に腹が立った。
すると、スマホからトークが届いた音が鳴り、チラッとスマホの画面にうつる名前を見て俺は固まる。
【トーク アヨ】
S「ごめん…ちょっと…」
俺は2人から少し離れてアヨからのメッセージを開いた。
【トーク アヨ】
心配かけてごめんなさい。
私と純太はやり直す事になりました。
お店であんな形で報告してしまってごめんなさい。
私は今幸せです。
画像
なんだよこれ…
その画像には裸で眠る純太に寄り添うアヨの姿が映っていた。
純太…お前なにやってんだよ…
こんなにイライラしたのは久しぶりだ。
純太は一体なに考えてんだ?
純太に好きって言いながらアヨと何やってんだよ…!?
S「勝手に席外してごめんね?」
美「誠司さん、大丈夫ですか?顔色が…」
S「あっ…大丈夫だよ。ユオちゃん、洗面所で手を洗っておいで?メイクと涙で手が汚れちゃったね?」
俺は美沙ちゃんに目で合図をしながらそう言った。
Y「これくらい大丈夫です…」
美「ユオ…誠司さんの言うとおりだよ!メイクが取れて酷い顔だよ?シャワー浴びておいで?勝手に使っていいから!ね?ほら!早く!」
美沙ちゃんは俺の合図の意味が分かったのか、ユオちゃんの背中を押しながらシャワールームに行くようユオちゃんを急かす。
Y「うん…?わかったよ……あ…そうだ…私、スマホ充電切れちゃったんだ…」
美「わかった!充電しとく!」
美沙ちゃんはユオちゃんをシャワールームに押し込むと、様子を伺いながら俺の元へと戻ってきた。
美「なんかあったんですか!?」
S「あ…うん…これ見て…?」
俺はさっきアヨから届いたメッセージを美沙ちゃんに見せた。
美「うそでしょ…なんなんですかこれ…?しかもなんでわざわざ…誠司さんに…?」
S「わかんねぇ…もう口出しするなってことかな?」
美「ユオのスマホ…充電した途端にさっきから鳴りっぱなしなんですけど…まさか…これ届いてないですよね…?」
俺たちは顔を見合わせてユオちゃんのスマホに噛り付いた。
美「ユオ…ごめん…こんな先輩を許してね…」
そう言いながら美沙ちゃんはユオちゃんのスマホを開いた。
S「き…きてる…?」
美「純太もあの女も私が絶対に許さない。」
その反応はきてたんだね…美沙ちゃん…
美沙ちゃんによると宛先が不明のアドレスからいくつも画像が送られてきてたらしい。
美「全部ブロックして消去しました。」
S「やっぱりアヨだよな…ユオちゃんに送ったの…」
美「はぁ!?当たり前でしょ!!誠司さんに送られて来たとのと同じ画像ですよ!?」
S「ですよね。」
どうやってユオちゃんの連絡先を知ったかは分からないが、ユオちゃんがアヨに目をつけられてる事はこれで確定した。
つづく
俺の勘は当たる。
それは当たって欲しいことも当たって欲しくないことも。
俺は美沙ちゃんには純太とアヨの関係をちゃんと伝える方がいいと思い美沙ちゃんを飲みに誘った。
俺が片思いしてると思っていた美沙ちゃんに突然告白されたのは想定外だったけど。
ごめんね…美沙ちゃん…
告白はロマンティックに男の俺の方からしたかったんだ。
だから、今の言葉は聞かなかったことにするよ…
今度その件について2人で熱く語り合うね?
いつも淡々としている美沙ちゃんに純太とアヨの一連の出来事を伝えると空いた口が塞がらない…って顔していた。
そりゃそうだよね?
でも、さすが頭の回転が早い美沙ちゃん。
関係性を整理するのが早い。
そんな事に感心していると美沙ちゃんのスマホが鳴った。
純太の家に行ったはずのユオちゃんが美沙ちゃんの家の前で泣いてる?
嫌な予感が頭の中を横切る。
慌ててタクシーに乗り込み、美沙ちゃんの家につくとユオちゃんはしゃがみ込んで泣いていた。
ユオちゃん…心配しなくても俺も美沙ちゃんも君の味方だよ?
だから…大丈夫。
ユオちゃん…君はひとりじゃないから…
ユオちゃんを支えながらこのまま女の子の部屋に入っていいものかと戸惑っていると美沙ちゃんが言った。
美「誠司さんも上がってください…ユオも誠司がいてくれた方が心強いと思うんで…」
S「ユオちゃん…俺もいて大丈夫?」
Y「はい…すいません…」
俺は美沙ちゃんの部屋に入った。
美沙ちゃんがコーヒーを淹れてくれて、俺はゆっくりとそのコーヒーを啜る。
美「ユオ?コーヒー淹れたから飲んで、落ち着いたら話してね…?」
Y「美沙さんごめんね…もう大丈夫…ありがとう」
S「無理しなくていいからね?」
Y「はい…何から話せばいいのかわからないのですが…純太くんの家に行ったら…私…追い返されちゃいました…」
S「純太…なんか言ってた?」
Y「ごめんと帰って…だけしか…」
美「それで泣いて帰ってきたの…?」
Y「ううん…違う。諦めて帰ろうとしたらアヨさんに会った…」
S「アヨになんかされた!?」
Y「何もされてません…でも…もうここに来るなって純太くんも迷惑してるって…あんまりしつこいと警察にストーカーの被害届だすからって…」
アヨ…お前ってやつは…
俺は絶対にそんなこと純太が言ってる訳がないと分かっているから、余計にアヨに腹が立ち呆れた。
Y「やっぱり、純太くんとアヨさんは相思相愛だったんだよ…純太くんは私を好きって言ってくれたけど…私が思ってる好きと違ったみたい!私ひとりで勘違いしてた…うぅ…」
そう話すとユオちゃんの目からまた涙が溢れ出した。
純太…お前はユオに好きって言ってんじゃん!もう答え出てんじゃん!
なのに何に悩んでんだよ…
俺ははっきりしない純太に腹が立った。
すると、スマホからトークが届いた音が鳴り、チラッとスマホの画面にうつる名前を見て俺は固まる。
【トーク アヨ】
S「ごめん…ちょっと…」
俺は2人から少し離れてアヨからのメッセージを開いた。
【トーク アヨ】
心配かけてごめんなさい。
私と純太はやり直す事になりました。
お店であんな形で報告してしまってごめんなさい。
私は今幸せです。
画像
なんだよこれ…
その画像には裸で眠る純太に寄り添うアヨの姿が映っていた。
純太…お前なにやってんだよ…
こんなにイライラしたのは久しぶりだ。
純太は一体なに考えてんだ?
純太に好きって言いながらアヨと何やってんだよ…!?
S「勝手に席外してごめんね?」
美「誠司さん、大丈夫ですか?顔色が…」
S「あっ…大丈夫だよ。ユオちゃん、洗面所で手を洗っておいで?メイクと涙で手が汚れちゃったね?」
俺は美沙ちゃんに目で合図をしながらそう言った。
Y「これくらい大丈夫です…」
美「ユオ…誠司さんの言うとおりだよ!メイクが取れて酷い顔だよ?シャワー浴びておいで?勝手に使っていいから!ね?ほら!早く!」
美沙ちゃんは俺の合図の意味が分かったのか、ユオちゃんの背中を押しながらシャワールームに行くようユオちゃんを急かす。
Y「うん…?わかったよ……あ…そうだ…私、スマホ充電切れちゃったんだ…」
美「わかった!充電しとく!」
美沙ちゃんはユオちゃんをシャワールームに押し込むと、様子を伺いながら俺の元へと戻ってきた。
美「なんかあったんですか!?」
S「あ…うん…これ見て…?」
俺はさっきアヨから届いたメッセージを美沙ちゃんに見せた。
美「うそでしょ…なんなんですかこれ…?しかもなんでわざわざ…誠司さんに…?」
S「わかんねぇ…もう口出しするなってことかな?」
美「ユオのスマホ…充電した途端にさっきから鳴りっぱなしなんですけど…まさか…これ届いてないですよね…?」
俺たちは顔を見合わせてユオちゃんのスマホに噛り付いた。
美「ユオ…ごめん…こんな先輩を許してね…」
そう言いながら美沙ちゃんはユオちゃんのスマホを開いた。
S「き…きてる…?」
美「純太もあの女も私が絶対に許さない。」
その反応はきてたんだね…美沙ちゃん…
美沙ちゃんによると宛先が不明のアドレスからいくつも画像が送られてきてたらしい。
美「全部ブロックして消去しました。」
S「やっぱりアヨだよな…ユオちゃんに送ったの…」
美「はぁ!?当たり前でしょ!!誠司さんに送られて来たとのと同じ画像ですよ!?」
S「ですよね。」
どうやってユオちゃんの連絡先を知ったかは分からないが、ユオちゃんがアヨに目をつけられてる事はこれで確定した。
つづく
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