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14話

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トウヤside

ジョウキの過剰な問い詰がアナちゃんは不愉快だったのか勢いよく立ち上がり部屋を飛び出した。

それと同時に俺の足元に何かが落ちテーブルの下を覗き込むとそこにはピンクのハンカチが落ちていた。

俺はそのハンカチを拾い上げアナちゃんを追いかけようと立ち上がるとジョウキが俺の前に立ちはだかった。

J「それ俺が渡しに行くよ。」

ジョウキそう言って俺の手からハンカチを取り上げる。

T「いや、俺が届けるから。」

いつもならこんな事でムキになるなんて絶対にない。

だけどこのときの俺はなぜがジョウキに譲るような真似をしたくなくて、俺もまたそのハンカチをジョウキの手から取り上げた。

M「いやお2人さん!もう、そろそろ事務所に戻らないといけないんですよ~?そんな揉めてる暇ないでしょ?」

マハロがそう言って俺とジョウキのやり合いを止めようとする。

Y「もう戻っちゃうの?じゃ、兄にお会計聞いてくるね?」

ユナちゃんが気を利かせて部屋から出て行き、その間も俺とジョウキはお互いに譲ることなく睨み合う。

H「あぁもう~早く届けるなら届けて来いよ!時間ないから!」

俺はハヤセくんのその声を聞いてハンカチを握りしめたまま店を飛び出した。 

そう時間は経ってないからまだすぐ近くにいるはず…

どうかタクシーには乗ってませんように…

俺は頭の中でそう唱えながら走っているとすぐにアナちゃんの後ろ姿を見つけた。

そして、俺は財布に入っていた小さな紙切れに急いで電話番号と名前を書いてハンカチの間に挟んだ。

人目を気にして大声でアナちゃんを呼び止めるわけにもいかないので、俺はアナちゃんの細い手首を掴んで引っ張った。

すると、その衝撃でアナちゃんはフラつき咄嗟に俺はアナちゃんの腰に手を回して抱きとめていた。

柔らかく香るアナちゃんの香水の匂いが俺の鼻をかすめ、思わず俺は腰に巻きついた手にグッと力が入った。

不思議そうに俺を見上げるアナちゃんの目は真っ直ぐで俺は視線をそらしながらアナちゃんを解放した。

女性と見つめ合うなんて初めての事じゃないのに俺の心臓は周りに音が聞こえてしまうんじゃないかと思うぐらいにうるさく動いた。

メンバーとしてジョウキの行動を謝ったけど本当はそんなことどうでも良かった… 

ジョウキのことなんて本当に忘れちゃえばいい…

ジョウキのファンなんて早くやめちゃえばいいのに…

そう思ってしまった俺はもう、この時すでにアナちゃんに恋をしてしまっていたのかもしれない。

走って店に戻るとジョウキは不機嫌そうな顔をして俺の顔すら見ることはなかった。

H「トウヤも戻ったしじゃ、事務所に帰ろか。」

こういう時、ハヤセくんの存在はピリっとした空気を穏やかに変えてくれるから本当に助かる。 

俺たちはマスターとユナちゃんに挨拶をし店を出た。

事務所へと戻るタクシーの車内でマハロからユナちゃんと連絡先を交換したと他の2人に聞こえないよう小声で自慢された。

マハロもやるなそう思いながら俺もアナちゃんから連絡がくるといいなと心持ちにしながら事務所へと戻った。


つづく
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