62 / 196
62話
しおりを挟む
ジョウキside
たまたま寄ったコンビニでアナを見かけた。
本気でスイーツをみて悩んでるアナが面白くて可愛いくてつい、俺の意地悪心が騒ぎアナの狙っていたシュークリームを横取りした。
でも、その時に俺に気づき驚いたアミの顔を見て思い出したんだ。
アナが誰に似ているのか。
アナは俺の部屋に入るのを拒んだが俺の小さな嘘をすぐに信じ込み、心配しながら慌ててマンションの中にはいった。
そんなとこも一緒だね?
チエリも俺の小さな嘘をすぐに信じ込んでたよ…?
ただチエリとアナが違うのはチエリは俺の嘘を笑って許してくれたけど、目の前にいるアナはなんで嘘ついたんだってツノを生やしながら怒っているところ。
でもアナは怒っても全然、怖くないし、むしろ顔が真っ赤になって面白い。
でも、アナと話してるとすぐに子供のような言い合いになる。
アナはホント幼稚だな。
なんて思っているが俺の本心は楽しくてもっとアナを独り占めしたいそう思ってしまう自分が1番幼稚なんだと思った。
だけどもし、アナがトウヤくんと付き合ってたら?
昨日、本当にそういう関係になってたら?
それは全て話が変わってくる。
なのに問い詰めた俺にアナが言ったのは…
A「トウヤは…私にとって…大切な…友達…」
なんだよ大切な友達って。
こんな短期間で男と女が大切な友達になれるのかよ?
アナのその言葉で俺の嫉妬心に火がついた。
俺の事は?
今のアナはどう思っているんだろう?
アナにとっての今の俺はどんな存在?
するとアナは散々俺の悪口言っといてまた、王子様なんて子供染みた事を言うんだ。
あ、そういえばチエリもよく俺の事、私の王子様だねって笑いながら言ってたな。
でも、アナの口から出たのはセナの名前で俺とセナの関係を気にする。
別れた…そう言った時のアナの困った顔がまたチエリと繋がるんだ。
アナと出会ってからチエリの事がよく頭をよぎるようになった。
アナの困った顔も…ホントよくチエリに似ている。
いや、似てるを通り越して本当はチエリなんじゃねぇの?と俺の心の中にそんなありえない錯覚がおきて虚しさが襲う。
名前が違うってことは決定的で別人だと分かっているはずなのに、なぜか俺はアナが持っているウサギのキーホルダーについて問い詰めた。
知りたい。
なぜアナが数少ないはずのそのキーホルダーを持っているのか。
聞きたい…アナがどんな子供だったのか。
気がつけば俺の中でアナの存在が大きく膨らみ自分でも処理できないほどになっていた。
惚れ直させるなんてただの自惚れだった。
知らない間に俺がアナに惚れちゃった。
アナ…俺から離れて…
トウヤくんのとこに…行かないで…
頼むよ…
俺は焦りから独りよがりになりアナの気持ちを無視していた。
アナは何かをボソッと呟いが聞き取ることが出来ず、必死に問い詰める俺に怯えたかのような顔をしてアナは家を飛び出した。
A「ごめんなさい…本当に分からなの!覚えてないの!ごめん…私…帰る!」
俺の前からアナはいなくなり、俺の手のひらで揺れ動く小さなウサギのキーホルダーが悲しそうに見える。
アナを泣かせたまま1人で帰らせる訳にはいかない。
俺は慌てて家を飛び出しアナの背中を追いかけた。
すぐに追いついたアナは怯えた顔をして後ろを振り返る。
そして俺だと気づくとまた目に涙を光らせた。
J「まだ泣いてんの…って泣かせたのは俺だな。ごめん…アナ?泣いたら弱くなる!泣くな!笑え!」
小さな頃、泣き虫だった俺は父親に毎日のように言われていた。
辛い時、苦しい時こそ笑え。
そうすれば自然と幸せが寄ってくるんだぞ。って…
俺はアナの小さな手に指を絡めゆっくりと歩き出す。
一瞬、拒まれるかもと思ったがアナはそのまま俺を受け入れてくれた。
2人で同じ方向をむいて歩く時間が心地よくてなんだか懐かしい気持ちになった。
なんで俺はこんな見た目も中身も普通なアナに惹かれてしまうんだろ。
もっとアナと一緒にいたい。
もっとアナを知りたい。
もっと…もっと…
心の中でそんな気持ちが溢れて、手のひらから俺の気持ちがちょっとでも伝わったらアナはどんな顔するんだろって思ったら少し笑えた。
でも、いつまでもこうして歩いて訳にもいかず俺はアナに問いかけた。
J「ってかさ?アナの家ってどこなわけ?俺、知らないから適当に歩いてるんだけど?」
俺のこの言葉にアナは驚いた顔で俺を見上げ周りをキョロキョロと見渡す。
A「通りすぎちゃった…」
アナはそう言って申し訳なさそうに眉をハの字に下げる。
なんだよ…アナってこんな可愛いかったけ?
俺は横にあった公園に入りブランコへと走って行った。
そして後ろを振り返りアナを手招きすると、アナはゆっくりと俺の横にあるブランコの前に立った。
そのまま乗ろうとしないので俺がアナの肩を持ち座らせ、背中を押してブランコを動かすと俺はアナの言葉に耳を疑った。
A「やだ…怖いよ…ジョジョ…」
え…今ジョジョて?
俺を呼んだよな?
なんでアナがその呼び方を知ってるんだ?
「ジョジョ」
それはチエリが昔飼っていたウサギの名前で、俺の名前がジョウキだと知ったチエリは「ジョウキは私が飼ってたうさぎに似てる。笑った顔とか!名前もジョウキだしジョジョって呼んでもいい?
そう言ってそれからずっと俺をジョジョと呼んでいた。
そして、そう呼んでいたのはチエリ…ただ1人。
なのに今、目の前のアナが俺をジョジョって呼んだ。
J「アナ…ジョジョって今…言った…よな?」
A「え…」
J「アナって…もしかして…俺のこと子供の頃から知ってる…?」
俺の問いかけにアナは目を泳がせながら震える声で言った。
A「ごめんなさい!私…覚えてないの…記憶喪失で覚えてないの…!!」
そう言ってアナは走って俺の前から去って行った。
記憶喪失って…嘘だろ…?
アナ…お前本当は…チエリなのか?
つづく
たまたま寄ったコンビニでアナを見かけた。
本気でスイーツをみて悩んでるアナが面白くて可愛いくてつい、俺の意地悪心が騒ぎアナの狙っていたシュークリームを横取りした。
でも、その時に俺に気づき驚いたアミの顔を見て思い出したんだ。
アナが誰に似ているのか。
アナは俺の部屋に入るのを拒んだが俺の小さな嘘をすぐに信じ込み、心配しながら慌ててマンションの中にはいった。
そんなとこも一緒だね?
チエリも俺の小さな嘘をすぐに信じ込んでたよ…?
ただチエリとアナが違うのはチエリは俺の嘘を笑って許してくれたけど、目の前にいるアナはなんで嘘ついたんだってツノを生やしながら怒っているところ。
でもアナは怒っても全然、怖くないし、むしろ顔が真っ赤になって面白い。
でも、アナと話してるとすぐに子供のような言い合いになる。
アナはホント幼稚だな。
なんて思っているが俺の本心は楽しくてもっとアナを独り占めしたいそう思ってしまう自分が1番幼稚なんだと思った。
だけどもし、アナがトウヤくんと付き合ってたら?
昨日、本当にそういう関係になってたら?
それは全て話が変わってくる。
なのに問い詰めた俺にアナが言ったのは…
A「トウヤは…私にとって…大切な…友達…」
なんだよ大切な友達って。
こんな短期間で男と女が大切な友達になれるのかよ?
アナのその言葉で俺の嫉妬心に火がついた。
俺の事は?
今のアナはどう思っているんだろう?
アナにとっての今の俺はどんな存在?
するとアナは散々俺の悪口言っといてまた、王子様なんて子供染みた事を言うんだ。
あ、そういえばチエリもよく俺の事、私の王子様だねって笑いながら言ってたな。
でも、アナの口から出たのはセナの名前で俺とセナの関係を気にする。
別れた…そう言った時のアナの困った顔がまたチエリと繋がるんだ。
アナと出会ってからチエリの事がよく頭をよぎるようになった。
アナの困った顔も…ホントよくチエリに似ている。
いや、似てるを通り越して本当はチエリなんじゃねぇの?と俺の心の中にそんなありえない錯覚がおきて虚しさが襲う。
名前が違うってことは決定的で別人だと分かっているはずなのに、なぜか俺はアナが持っているウサギのキーホルダーについて問い詰めた。
知りたい。
なぜアナが数少ないはずのそのキーホルダーを持っているのか。
聞きたい…アナがどんな子供だったのか。
気がつけば俺の中でアナの存在が大きく膨らみ自分でも処理できないほどになっていた。
惚れ直させるなんてただの自惚れだった。
知らない間に俺がアナに惚れちゃった。
アナ…俺から離れて…
トウヤくんのとこに…行かないで…
頼むよ…
俺は焦りから独りよがりになりアナの気持ちを無視していた。
アナは何かをボソッと呟いが聞き取ることが出来ず、必死に問い詰める俺に怯えたかのような顔をしてアナは家を飛び出した。
A「ごめんなさい…本当に分からなの!覚えてないの!ごめん…私…帰る!」
俺の前からアナはいなくなり、俺の手のひらで揺れ動く小さなウサギのキーホルダーが悲しそうに見える。
アナを泣かせたまま1人で帰らせる訳にはいかない。
俺は慌てて家を飛び出しアナの背中を追いかけた。
すぐに追いついたアナは怯えた顔をして後ろを振り返る。
そして俺だと気づくとまた目に涙を光らせた。
J「まだ泣いてんの…って泣かせたのは俺だな。ごめん…アナ?泣いたら弱くなる!泣くな!笑え!」
小さな頃、泣き虫だった俺は父親に毎日のように言われていた。
辛い時、苦しい時こそ笑え。
そうすれば自然と幸せが寄ってくるんだぞ。って…
俺はアナの小さな手に指を絡めゆっくりと歩き出す。
一瞬、拒まれるかもと思ったがアナはそのまま俺を受け入れてくれた。
2人で同じ方向をむいて歩く時間が心地よくてなんだか懐かしい気持ちになった。
なんで俺はこんな見た目も中身も普通なアナに惹かれてしまうんだろ。
もっとアナと一緒にいたい。
もっとアナを知りたい。
もっと…もっと…
心の中でそんな気持ちが溢れて、手のひらから俺の気持ちがちょっとでも伝わったらアナはどんな顔するんだろって思ったら少し笑えた。
でも、いつまでもこうして歩いて訳にもいかず俺はアナに問いかけた。
J「ってかさ?アナの家ってどこなわけ?俺、知らないから適当に歩いてるんだけど?」
俺のこの言葉にアナは驚いた顔で俺を見上げ周りをキョロキョロと見渡す。
A「通りすぎちゃった…」
アナはそう言って申し訳なさそうに眉をハの字に下げる。
なんだよ…アナってこんな可愛いかったけ?
俺は横にあった公園に入りブランコへと走って行った。
そして後ろを振り返りアナを手招きすると、アナはゆっくりと俺の横にあるブランコの前に立った。
そのまま乗ろうとしないので俺がアナの肩を持ち座らせ、背中を押してブランコを動かすと俺はアナの言葉に耳を疑った。
A「やだ…怖いよ…ジョジョ…」
え…今ジョジョて?
俺を呼んだよな?
なんでアナがその呼び方を知ってるんだ?
「ジョジョ」
それはチエリが昔飼っていたウサギの名前で、俺の名前がジョウキだと知ったチエリは「ジョウキは私が飼ってたうさぎに似てる。笑った顔とか!名前もジョウキだしジョジョって呼んでもいい?
そう言ってそれからずっと俺をジョジョと呼んでいた。
そして、そう呼んでいたのはチエリ…ただ1人。
なのに今、目の前のアナが俺をジョジョって呼んだ。
J「アナ…ジョジョって今…言った…よな?」
A「え…」
J「アナって…もしかして…俺のこと子供の頃から知ってる…?」
俺の問いかけにアナは目を泳がせながら震える声で言った。
A「ごめんなさい!私…覚えてないの…記憶喪失で覚えてないの…!!」
そう言ってアナは走って俺の前から去って行った。
記憶喪失って…嘘だろ…?
アナ…お前本当は…チエリなのか?
つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる