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96話

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ユナside

アナの意識が戻った事をお医者様と看護師さんに伝えアナのご両親にも伝えた。

やはりアナのお母様の体は限界だったらしく寝込んでしまったようで、すぐには病院に行けそうにないと言うことで社長からお母様に伝えてもらうことになった。

そして、この報告を待ちわびているであろうあの2人にも伝えてあげなきゃと私はそう思い2人に電話する。

しかし、2人揃って電源が切れていて繋がらない。

私は苛立ちながら何度も電話をするが繋がらず、とりあえずマハロに電話した。

Y「もしもし?おはよう…今大丈夫?」

M「おはよう!ユナから電話なんて珍しいね?嬉しい…俺に会いたくなっちゃった?」

Y「そうじゃなくて…実はアナの意識が戻ったの。なのにジョウキとトウヤと連絡とれなくて…一応、メールは入れておくけど今日、一緒の仕事場だったらマハロからも伝えといてくれない?」

M「マジで!?良かった!!あっ、でも俺たち今日オフだからとりあえずそっち行く!じゃ!」

そう言ってマハロの電話は一方的に切れた。

呆気に取られた私はどうにかしていち早くジョウキとトウヤに伝えてあげたいと方法を考える。

他のメンバーの番号知らないし…トウヤの家は知ってるけどアナを1人には出来ないし…

そう考えながらスマホをいじっているとハヤセに連絡してない事に気づき、私は慌ててハヤセに電話をした。

出て…お願いお願い…そう念力を送りながらコールを鳴らし続けるとハヤセは長いコールのあとようやく着信をとった。

寝ぼけた声のハヤセにアナが目覚めたことを伝えるとハヤセの叫び声がスマホから響き、私は咄嗟にスマホを耳から離す。

Y「もう!鼓膜破れる!」

H「ごめん…びっくりしたから!」

Y「それでさジョウキとトウヤに連絡取れなくて…」

私がそう話しているとハヤセはボソッとそう言った。

H「いるけど?」

Y「今、一緒にいるの!?」

H「うん!」

Y「もぅ先に言ってよ!!じゃ、2人に伝えといてよ!!」 

H「俺に任せといて!!」

ハヤセにそう伝言をお願いをしてアナの病室に戻るとちょうどお医者様の診察が終わった所だった。

Y「先生…あの…」

先生「もう、大丈夫ですよ。怪我も問題ないですし…意識もしっかりとしてるのでこの調子だと明後日には退院出来ますね!」

Y「ありがとうございます!」

お医者様は私たちに優しい笑顔を残して病室から出て行った。

A「ごめんね…心配かけて…」

Y「ホント心配したんだから!」

私とアナは抱き合いしばらくの間たわいもない話をしていた。

すると、病室の扉をコンココンっと軽快にノックする音がした。

私がノックの音に返事をするとゆっくりと扉が開き可愛い笑顔のマハロがやってきた。

A「マハロ!!来てくれたんだ!ありがとうね!」

M「心配したよ?でも、良かった!」

マハロは私の横にある椅子に座りアナとニコニコ笑いあっている。

そんな2人の笑顔を見て私の心が癒されていくのがわかった。

Y「本当に来たんだね?」

M「当たり前じゃん!あっ!でも、今日はユナにじゃなくてアナに会いに来たんだ!妬くなよ?」

そう言いながらマハロは私のおでこを人差し指で突っつく。

Y「妬かないわよ。ってか昨日うちの社長からマハロが会いに来たって聞いたんだけど…何話したの?」

私は昨日の夜からずっと気になっていたことをマハロに聞いた。

A「え?マハロうちのパパに会ったの?」

それはアナも知らなかった様子で驚いている。

M「情報早っ!うん…実は…アナが進めてるプロジェクトを絶対に通してくれって!それでユナの昇進をお願いしてきた!」

マハロは襟足を掻きながら少し照れた様子そう言ったが、私はまさかの事で驚きを隠せない。

Y「はぁ!?相手は社長だよ!?何やってんの!?」

A「あはは!やるじゃん!」

M「だってさ?どうしてもゴナをユナの元に返してあげたくてさ…アナがこんな事になっちゃってその話が流れちゃったらどうしよって不安になっちゃってさ…」

その話とは何のことを指しているのだろう?

私はよく理解ができず困惑していると、アナが笑いながら言った、

A「マハロ実はまだあの話はユナに内緒だったんだよ?」

M「え!そうなの!?ごめん俺…」

マハロはあきらに落ち込んで下を向くが私には何の話なのか分からない。

すると、そんな私を見たアナが話し出した。

A「ユナ…あのね?実はウチのブランドでキッズブランドを立ち上げようと思っててね?そのキッズブランドの責任者マネージャーとしてユナで推薦したの!」

私はアナの言葉を聞いて言葉を失う。

確かに離婚してから今まで必死で勉強して働いてきた。

しかし、専門的な学校に通ったこともなく結婚をして出産をして離婚を経験をしてからの社会人スタートだった為、私は周りよりで遅れていて年下の上司が当たり前だった。

自分より年下の子たちが出世していく姿を私はじっとみながら悔しさをバネにしてここまでやって来たから、アナの言葉を聞いて努力が報われたようで涙が出そうになった。

Y「ウソ…」

M「今のユナならゴナを引き取る事は可能だよ?申し訳ないけど元旦那の事も調べさせてもらったけどあの人の会社は今、傾いてる。このままだったら倒産は目に見えてる…」

マハロがそこまで調べてくれていた事に私は驚きを隠さない。

A「マハロさすが!ホント頼りになる!」

M「リリとの結婚もおそらく会社を立て直すためだと思うよ?リリは大手事務の社長令嬢だから元旦那に惚れたリリの望みを叶える事で会社を立て直そうとしてる。だから、ゴナを引き取る話し合いをするタイミングは今が1番いいと思う。でも、ゴナを確実に引き取る為にもユナに役職についてほしかった。だから恥を忍んでアナのお父様にお願いしたんだ…」

私はマハロの話を聞いてマハロがここまで真剣に私とゴナを大切に想ってくれていたんだと実感した。

A「ユナ…よかったね…」

優しいアナの声を聞いて私の涙が溢れ出していた。

つづく
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