二人の王子様はどっちが私の王様?

樺純

文字の大きさ
141 / 196

141話

しおりを挟む
ユナside

ジョウキの部屋を後にして私たちは自分達の部屋へと戻った。

ゴナを抱っこしたマハロは慣れた手つきでゴナをベッドに寝かせ、愛しそうにゴナの前髪をなで布団をかける。

そしてマハロは私の方をチラッと見て優しく微笑んだ。

M「ユナ…おいで…」

マハロはそう言って手を広げて私を見つめた。 

私はマハロに抱きしめられてゴナを見つめる。

M「ほら見て?ゴナの口元…ユナにそっくり…」

マハロは私を抱きしめたままそっとベッドに腰掛けゴナ優しく見つめながらそう言った。

Y「そうかな…?」

M「寝顔もびっくりするほどそっくり…もう俺はゴナが可愛くてたまらないよ…」

Y「…ありがとう…」

私の言葉にマハロは私の頬を優しく撫でる。

M「ユナ?あのさ…俺…ユナが思ってるよりもずっと…2人を必要としてるよ?」

Y「え…?」

マハロは私の顔を覗き込みながら目の奥をじっと見つめる。

M「トウヤとミリちゃんが付き合ってたとしてもそれは俺たちには関係ない。だけど…もし、俺たちの関係が表沙汰になったら世の中には悪く言う人が出てくるだろね。俺だけじゃなくユナやゴナのことも悪く言われるかもしれない…」

Y「うん…」

M「でも、俺はその人達を黙らせて俺たちの事を理解してもらえるように努力するから…2人を絶対に守るから…」

Y「マハロ…」

M「だから…ユナは何も不安に思わなくていいんだよ…?」 

マハロはそう言って私を包み込むように優しく抱きしめた。

Y「…ごめんね…」

M「ごめんねは俺にじゃなくてトウヤに言わなきゃね?」

Y「うん…明日ちゃんと謝る…」

M「いい子だね。」

マハロはそう言うと優しく微笑み何度も何度も私の背中を優しく撫でてくれた。

すると、インターホンがあるはずなのに扉を激しく叩く音が響いた。

その音に驚いたゴナは飛び起き私にしがみつく。

Y「ゴナ大丈夫だよ…」

G「こわい…」

M「大丈夫。俺が行くから2人はここにいて?」

マハロがポンポンっとゴナの頭をなでて扉の方へと向かった。

微かに聞こえてきたのはジョウキの声でマハロと一緒に部屋の奥へとやって来たのはやはりジョウキだった。

Y「…あんな大声で…一体…どうしたのよ…?」

ジョウキはあきらかに不機嫌そうな顔をしながらおでこに血管を浮かせてイラついている。

そんな様子みてゴナはさらに怯え私の胸に顔をうずめた。

ジョウキはそんなゴナの怯える様子を見て少し落ち着きを取り戻した。

J「ごめん…ユナあのさ、ヒスイって男…知ってるだろ?」

私はジョウキの口から出たその名前に固まる。

いずれはヒスイさんの名前をジョウキの口から聞く日はくるとは思ってたけど、まさかそれがアナと再会した日になるとはさすがに私も思ってもみなかった。

きっとジョウキは落ちついたフリして私に聞いてるけど本当はものすごく怖いはず。

私は軽く深呼吸をして呼吸を整えた。

Y「ジョウキ…ヒスイさんはね…」

目の前にいるジョウキの身体が微かに震えていて私の心が痛む。

J「うん…」

ジョウキの生唾を飲み込む音がゴクリと響いて聞こえた。

Y「ヒスイさんはアナのお兄様だよ…」

J「へ…?」

私の言葉を聞いたジョウキは強張っていた顔が一瞬にしてチカラが抜ける。

M「なんだアナのお兄さんか。こっちで出来た彼氏かと思って焦った。良かったねジョウキ!」

マハロはほっとしてニコニコしながらゴナを私の腕から抱き上げたが、私が今ジョウキから聞いた話では全く良くなくてむしろ、危険な状態だ。

J「いや…全然…よくない…」

M「え?聞いてた?ヒスイさんはアナのお兄さんだよ?」

あの大きいはずのジョウキの体はみるみるうちに縮こまりシュンっと下を向く。

Y「何があったのよ…一体…」

J「…実は…」

ジョウキはあきらかにヘコんだ声でさっき起こったばかりの一連の出来事を私達に詳しく話した。

J「どうしよユナ…俺…お兄さんの胸ぐら掴んじゃった。」

Y「もう、今更後悔しても遅いしあの冷静なはずのヒスイさんがそこまで取り乱すとはね…確かにヒスイさんは社長以上にアナの事を溺愛してるけど…なんかちょっと気になるな。でもジョウキ本気で次、ヒスイさんと会った時は覚悟した方がいいかもね?」

ジョウキは私の話を肩を落として下を向いて聞いている。

そしてマハロは私の話を聞いてジョウキよりも驚いてる様子だった。

M「え!?あの社長よりも溺愛って…でも、今回は目撃されたタイミングが悪かったとしか言いようがないよね…」

マハロは励ますようにジョウキの肩をポンポンと叩く。

J「もぉ~マジでどうしよ。アナとやっと再会出来たばかりなのにこれじゃお兄さん絶対許してくれねぇよな。」

そう言いながらジョウキはさらに小さく丸まった。

M「いや…ジョウキ…これは逆にチャンスだよ…!!」

隣に座るマハロは何故かドヤ顔をしてそう話す。

J「どこがチャンスなんですか。ピンチの間違いでしょ?」

すると、マハロはニヤッと片方の口角をあげて笑った。

M「ピンチはチャンスって言うだろ?このままの状態にしといていいの?お兄さんとのこと。」

J「それは…」

M「まずはお兄さんに会ってちゃんとさっきの事情を説明しなきゃだね。大丈夫だよ、お兄さんならちゃんとアナとジョウキのこと理解してくれる。」

J「そうですよね。」

そうしてマハロはジョウキの背中を押した。


つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました

専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

夢見るシンデレラ~溺愛の時間は突然に~

美和優希
恋愛
社長秘書を勤めながら、中瀬琴子は密かに社長に想いを寄せていた。 叶わないだろうと思いながらもあきらめきれずにいた琴子だったが、ある日、社長から告白される。 日頃は紳士的だけど、二人のときは少し意地悪で溺甘な社長にドキドキさせられて──!? 初回公開日*2017.09.13(他サイト) アルファポリスでの公開日*2020.03.10 *表紙イラストは、イラストAC(もちまる様)のイラスト素材を使わせていただいてます。

あなたがいなくなった後 〜シングルマザーになった途端、義弟から愛され始めました〜

瀬崎由美
恋愛
石橋優香は夫大輝との子供を出産したばかりの二十七歳の専業主婦。三歳歳上の大輝とは大学時代のサークルの先輩後輩で、卒業後に再会したのがキッカケで付き合い始めて結婚した。 まだ生後一か月の息子を手探りで育てて、寝不足の日々。朝、いつもと同じように仕事へと送り出した夫は職場での事故で帰らぬ人となる。乳児を抱えシングルマザーとなってしまった優香のことを支えてくれたのは、夫の弟である宏樹だった。二歳年上で公認会計士である宏樹は優香に変わって葬儀やその他を取り仕切ってくれ、事あるごとに家の様子を見にきて、二人のことを気に掛けてくれていた。 息子の為にと自立を考えた優香は、働きに出ることを考える。それを知った宏樹は自分の経営する会計事務所に勤めることを勧めてくれる。陽太が保育園に入れることができる月齢になって義弟のオフィスで働き始めてしばらく、宏樹の不在時に彼の元カノだと名乗る女性が訪れて来、宏樹へと復縁を迫ってくる。宏樹から断られて逆切れした元カノによって、彼が優香のことをずっと想い続けていたことを暴露されてしまう。 あっさりと認めた宏樹は、「今は兄貴の代役でもいい」そういって、優香の傍にいたいと願った。 夫とは真逆のタイプの宏樹だったが、優しく支えてくれるところは同じで…… 夫のことを想い続けるも、義弟のことも完全には拒絶することができない優香。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

処理中です...