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153話
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アナside
私が必死でジョウキの名前を叫んでいると後ろから大好きな人の匂いに包まれた。
J「なにやってんだお前!バカか!」
私の大好きな声…ずっと聞きたかった声が今すぐそばにある。
私の目から大粒の涙が溢れ出した。
A「ジョウキ……ジョウキに会いたくて家を抜け出したんだけど…ホテルの場所が分からなくて…家の帰り方も分からなくなっちゃって…ごめん…」
J「お兄さん心配してるから帰るぞ…」
ジョウキは私の目を見ることもせず、私の腕を引っ張って強引に連れて帰ろうとする。
A「やだ…家に帰ったらジョウキに会わせてもらえなくなる…だから帰りたくない!ジョウキと一緒にいたいの…ジョウキと一緒に日本に帰る!!」
分かってる…ワガママだって…
でも…まさかジョウキの口からそんな言葉が出るなんて…私は思ってもみなかったんだ。
J「迷惑なんだよ…こういうの重いし…」
A「え…ジョウキ?なにを言ってるの…?」
私はジョウキの言葉があまりの衝撃で涙さえも止まってしまった。
J「久しぶりに会ったからちょっとテンションあがっただけで勘違いさせちゃったならごめん…」
やだ…お願いそんなこと言わないで…お願い…
私の心は悲鳴をあげ引き裂かれそうになる。
A「勘違い…って何…?会いたかったって…気持ちは変わってないって…帰ってきてほしいって…言ったじゃん…」
自分の声が震えてるのが分かる。
目もみてくれないジョウキは今なにを考えてるんだろう。
J「あぁ…ごめん熱でどうかしてたのかな?マジで勘違いさせちゃって悪りぃ。俺さ実は彼女いるしさ?アナとその…付き合うとか考えてねぇから!申し訳ないけど昨日の事は忘れて?」
ジョウキは薄っら笑いながら私にそう話した。
昨日、私の目の前にいたジョウキは私の知ってるジョウキだったのに今、私の目の前にいるジョウキは…一体…誰ですか?
まるで別人のようになってしまったジョウキの目を見て全身から血の気が引いていき、私は思わずその場に倒れそうになるのをグッと堪えて拳を握った。
そうだった…忘れてた。
この恋は私自ら手放した恋だった。
なのに今さらジョウキが私を忘れて彼女を作っていても私にはそんな事責める権利なんてないんだ。
J「アナ…」
ジョウキは私の腕に手を伸ばそうとした。
A「触らないで…1人で歩けるから…。」
私は大好きなジョウキの手を払いのけて歩き出す。
そうでもしないと泣いてジョウキにすがってしまいそうだったから。
J「…分かった…」
背中を向けたジョウキの後ろについて行こうとすると、目の前からリツが息を切らして走ってきた。
「アナ!」
A「リツ…」
J「リツさんちょうど良かった…あとはアナの事よろしくお願いします…。」
ジョウキはそう言って私たちの元から小走りで去って行った。
ジョウキの名を呼んでしまいそうになるのを下唇を噛んでグッと堪えると、唇が切れて微かに血の味が口の中に広がる。
「帰ろう?」
そう言ってリツは優しく私の手を取りゆっくりと歩き始めた。
つづく
私が必死でジョウキの名前を叫んでいると後ろから大好きな人の匂いに包まれた。
J「なにやってんだお前!バカか!」
私の大好きな声…ずっと聞きたかった声が今すぐそばにある。
私の目から大粒の涙が溢れ出した。
A「ジョウキ……ジョウキに会いたくて家を抜け出したんだけど…ホテルの場所が分からなくて…家の帰り方も分からなくなっちゃって…ごめん…」
J「お兄さん心配してるから帰るぞ…」
ジョウキは私の目を見ることもせず、私の腕を引っ張って強引に連れて帰ろうとする。
A「やだ…家に帰ったらジョウキに会わせてもらえなくなる…だから帰りたくない!ジョウキと一緒にいたいの…ジョウキと一緒に日本に帰る!!」
分かってる…ワガママだって…
でも…まさかジョウキの口からそんな言葉が出るなんて…私は思ってもみなかったんだ。
J「迷惑なんだよ…こういうの重いし…」
A「え…ジョウキ?なにを言ってるの…?」
私はジョウキの言葉があまりの衝撃で涙さえも止まってしまった。
J「久しぶりに会ったからちょっとテンションあがっただけで勘違いさせちゃったならごめん…」
やだ…お願いそんなこと言わないで…お願い…
私の心は悲鳴をあげ引き裂かれそうになる。
A「勘違い…って何…?会いたかったって…気持ちは変わってないって…帰ってきてほしいって…言ったじゃん…」
自分の声が震えてるのが分かる。
目もみてくれないジョウキは今なにを考えてるんだろう。
J「あぁ…ごめん熱でどうかしてたのかな?マジで勘違いさせちゃって悪りぃ。俺さ実は彼女いるしさ?アナとその…付き合うとか考えてねぇから!申し訳ないけど昨日の事は忘れて?」
ジョウキは薄っら笑いながら私にそう話した。
昨日、私の目の前にいたジョウキは私の知ってるジョウキだったのに今、私の目の前にいるジョウキは…一体…誰ですか?
まるで別人のようになってしまったジョウキの目を見て全身から血の気が引いていき、私は思わずその場に倒れそうになるのをグッと堪えて拳を握った。
そうだった…忘れてた。
この恋は私自ら手放した恋だった。
なのに今さらジョウキが私を忘れて彼女を作っていても私にはそんな事責める権利なんてないんだ。
J「アナ…」
ジョウキは私の腕に手を伸ばそうとした。
A「触らないで…1人で歩けるから…。」
私は大好きなジョウキの手を払いのけて歩き出す。
そうでもしないと泣いてジョウキにすがってしまいそうだったから。
J「…分かった…」
背中を向けたジョウキの後ろについて行こうとすると、目の前からリツが息を切らして走ってきた。
「アナ!」
A「リツ…」
J「リツさんちょうど良かった…あとはアナの事よろしくお願いします…。」
ジョウキはそう言って私たちの元から小走りで去って行った。
ジョウキの名を呼んでしまいそうになるのを下唇を噛んでグッと堪えると、唇が切れて微かに血の味が口の中に広がる。
「帰ろう?」
そう言ってリツは優しく私の手を取りゆっくりと歩き始めた。
つづく
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