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152話

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ジョウキside

当てもなく俺はただ夢中走り続けた。

そして、声が枯れるほどアナの名を呼んだ。

すれ違う人はきっと俺をみて頭のおかしい人間だと思ってるだろうか…?

でもそんな事、今の俺にとっちゃどうでもいい事で…この喉が潰れようが足から血が出ようが…何がなんでもアナを見つけなきゃいけない。

ゴナが言うには…アナは今1人で泣いてるらしい…

ゴナ…お前は俺の永遠のライバルだけど今回はお前の言葉を信じてアナを探すよ。

日も暮れてきて一体、俺は何時間ぐらい走り回っていたんだろ?

シャツが汗で濡れていた。

そして、俺はユナに電話をした。

J「ユナ?アナは?」

Y「来てないよ…どうしよ…このままアナが見つからなかったら…あれからもう4時間も経ってるのに…」

4時間!?もう…そんな経ってたのかよ…

そりゃ日が暮れるはずだ。

早く見つけてやらなきゃ。

俺はそんな事を思うも、もどかしかから苛立つ。

J「あぁ~くそぉ!!あいつどこ行ったんだよ!」

Y「ジョウキ…」

J「おいっ!!アナ!またいなくなったのかよ!!バカアナどこだこのやろっ!!」

俺は思わず立ち止まりその場で今まで出したことのないほどの大声で叫んだ。

Y「ジョウキ…落ちついてよ…」

ユナは涙声になりながらそう言うと、車が行き交う雑音の中から微かに声が聞こえた。

「ジョウキ…ジョウキ!」

J「今アナの声が聞こえた…」

Y「え?本当に!?」

「ジョウキ…ここだよ…!助けて……!」

アナだ…間違いなくこれはアナの声だ…!!

J「ユナ!アナ見つけた!ごめん一旦、切る!家まで連れて帰るってヒスイさんに伝えて!」

Y「え!!いたの!?ちょ、待ってジョウキ!」

俺はユナが話してる途中で電話を切り、声のする方へと走って行った。

明らかに涙声で必死で叫んでいる様子だったアナの声。

すると、そこには大きな公園があり、俺はゴナの言っていた事を思い出し立ち止まる。

ゴナ…マジかよ…お前…マジで分かってて言ったのか…?

そこからの事は俺もあまり覚えていない…

気づいたら俺は見つけたアナを後ろから思いっきり抱きしめていた。

J「なにやってんだ!バカか!」

A「ジョウキ……ジョウキに会いたくて家を抜け出したんだけど…ホテルの場所が分からなくて…家の帰り方も分からなくなっちゃって…ごめんなさい…」

アナの涙が俺の手の甲にポタポタと落ちる。

J「お兄さん心配してるから帰るぞ…」

俺は泣いているアナの腕を引っ張って歩き出そうとするが、アナは立ち止まり動こうとしない。

A「やだ…家に帰ったらジョウキに会わせてもらえなくなる…だから帰りたくない!ジョウキと一緒にいたいの…ジョウキと一緒に日本に帰る!!」

アナはまるでワガママな子供のように泣きじゃくり、そのアナの言葉を聞いた俺は残酷な決断をした。

胸が痛くなるくらいに息を吸い込み、拳をぎゅっと握る。

そして、意を決してアナに言った。

J「迷惑なんだよ…こういうの重いし…」

俺の放った冷たい言葉でアナの動きがピタっと止まった時、俺の心臓もピタっと止まってしまったような気がした。


つづく
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