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171話

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ジョウキside

店に入るとチナは1番隅の暗い席に座っていた。

店内には俺たちしかいない。

俺が入ってきてすぐマスターも姿を消した。

ちょうど2人がけのソファの席にチナが座っている。

俺は少しチナから距離をあけてソファの端に腰掛けた。

J「はやく…キーホルダー返して?」

ロレツの回らない俺はボンヤリとした目の焦点を定めながら言ったチナを見ていた。

それはアナの分身なんだよ。

お前なんかが気安く触るなよ。

隣のチナはキーホルダーを目の前にぶら下げて微笑んでいる。

チナ「ジョウキさん、そんなにこのキーホルダーが大切なんですねぇ~?」

J「いいから…はやく返して…」

俺が手を伸ばしキーホルダーを取り上げようとするが上手くかわされた。

チナ「じゃ~ぁ!このキーホルダーを返してほしかったらぁ~今度デートしてくださ~い!そしたら返しますよぉ?」

チナは上目遣いで俺をみて、俺はその目を見ているはずなのに目の前がグラグラと回り始めた。

ダメだ…マジでヤバイかも…

J「分かったから…とりあえず返して?」

すると、チナはニコっと微笑み俺の手のひらにポトんっとクマのキーホルダーを落とした。 

チナ「絶対だよ?」

俺はクマのキーホルダーを握りしめソファから立ち上がろうとした瞬間…

頭の中がグラっと揺れ足元がフラつき…

俺は…そのまま意識を手放した…

そして、俺はからだを揺すられて目を覚ました。

マスター「お客さん!もう、店閉めるし…タクシーも呼んでるから帰りな…」

そう言って俺はマスターに起こされた。

俺…寝落ちしてたんだ…

一体、どれぐらいの時間こうしてたんだろ?

俺は痛くなった首を気にした。

慌てて手の中を確認すると俺の手のひらの中にはちゃんとクマのキーホルダーがあった。

J「良かった…」

そして、俺は周りを見渡したがそこにはもうチナの姿はなかった。

マスター「チナならもう帰ったよ?」

J「そうなんですね…寝落ちしてすいませんでした…」

俺はそう言って店を出ようとすると、マスターに呼び止められた。

マスター「あのさ…あの子常連客だからこんな事言いたくないけど…あんたUNoの人だよな?あの子には…気をつけたほうがいいよ?」

マスターは俺にそう忠告し、スッと背中を向けた。

J「え…あ… はい…ありがとうございます…」

俺はマスターの背中にそう言って店を出た。

そして、止まっていたタクシーに乗り込み、スマホを取り出し何気なくSNSを開いて俺は異変に気付いた。

つづく
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