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187話
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ジョウキside
しばらくするとゆっくりと車が止まり俺はイヤホンを外した。
HS「着きました…行きましょうか…」
俺たちは車を降り、ヒスイさんに連れられて病院内のとあるフロアに向かう。
すると廊下にユナとゴナそして、アナのお母様と雑誌でしか見たことのないお父様がいた。
俺はアナが全てを忘れてしまってるのではないかとあう緊張感と恐怖で足が微かに震える。
ゴナが俺たちの姿に気づき俺たちの元に駆け寄った。
G「ジョウキやっときた!アナ…おきてるよ!ジョウキ…アナがんばったんだよ!」
マハロくんに抱き上げられたゴナは俺に一生懸命そう言った。
J「そっか…」
俺はアナのご両親に頭を下げてお父様に挨拶をした。
J「あ…あの…は…初めまして橘ジョウキと申します…」
父「君の事は聞いてますよ。まずはアナに会ってあげて下さい。それからですね…私とお話をするのは…どうぞ中へ…」
お父様は優しいような…怒っているような…
なんとも言えない雰囲気のお父様は病室の扉を開け俺にニコッと微笑んだ。
俺もそのお父様の笑顔に応えるよう微笑んだが自分でも分かってる…
うまく笑えていないことに。
微かに震える膝に力を入れながら一歩づつアナの元へと向かう。
アナの頭には包帯が巻かれて、痛々しい姿でベッドの背もたれにもたれたまま窓の外をぼーっと眺めていた。
J「アナ…」
俺がそう呼びかけてもアナは俺の声に反応しない。
一瞬にして俺の頭の中に不安がよぎり、俺はアナに近づいて続けた。
J「アナ…ウソついてごめん…沢山傷つけてごめん…俺…会いに来たよ?アナは…俺を許してくれる…?」
アナは俺の言葉にピクリとも反応せず、ただぼんやりと虚な視線のまま窓の外を眺めていた。
俺はこの現実を受け入る事が出来るのだろうか…?
俺は窓の外を眺めたままのアナの肩を優しく持ち、ゆっくりと自分の方へと向かせた。
そして、俺はアナと視線が合うようにベッドに腰をかけた。
J「アナ?俺だよ?ジョウキだよ?アナ…俺のこと分かるよな…?」
俺がどんなにアナの目の奥を見ながら問い掛けても…
アナは俺の声に答えようとしてくれない。
俺の全身が震えだし手に上手く力が入らない。
J「アナ…頼むよ…何か言ってくれよ…アナ…」
俺の目から涙が溢れアミの顔がぼやけて見えない。
J「何勝手に俺のこと忘れてんだよ…勝手に俺のこと忘れるなんて…許さないって俺言ったよな?俺の心をこんなに夢中にさせといて…俺の頭は…アナでいっぱいなんだよ…?」
全身に力が入らず下を向くと涙がポタポタと落ちシーツに染みをつけた。
アナ…わかったよもう…
俺は…全てを受け入れるから…
アナのそばにいさせてくれる…?
J「…アナ…愛してるよ…だから…また…俺のこと…好きになってくれますか…?」
俺は声だけが虚しく響き静まり返る病室は冷たくてさらに俺の体を震えさせた。
すると、ふわっと柔らかくて温かい感触に俺は包まれ俺の涙が止まる。
「私の王子様…やっと迎えに来てくれたね…」
J「え……?」
気がつくと俺は小さなアナの胸の中に包み込まれていた。
J「ア…ナ…?」
A「私…ジョウキのこの匂い…大好き…」
俺は慌ててアナの顔を確認するとそこには子供のように笑うアナがいた。
J「え…アナ?」
A「これは私に嘘ついた…罰だよ…」
アナの頬も涙で濡れていて太陽に照らされて、まるで宝石が煌めいてるようだ。
J「俺のこと…分かるの?」
A「分かるよ。子供の時のジョウキは優しくて強くて私にとってのヒーローだった。推しのジョウキはいつもキラキラしてて、優しく微笑みながら歌うジョウキの横顔が大好きで…推しじゃなくなったジョウキは意地悪で変なヤツで大っ嫌いになったのに……大好きだった。」
アナはぽろぽろと流し、優しい声で俺の頬を何度も撫でながらそう言い、俺は情け無いほどに泣きじゃくっていた。
J「アナ…ごめん…」
俺はそう言うと思いっきりアナを抱きしめアナの存在をこの腕で確認する。
A「私もごめんね…」
アナの腕にも力が入り愛しさが溢れそうになる。
J「本当に…全部忘れちゃったのかと思った…まじ…息が止るかと思った…」
A「私も…ジョウキに別れを告げられた時…息が止まるかと思った。今のジョウキと同じ気持ちだよ。ジョウキは子供の時から私に嘘ばかりだから…仕返しだよ。」
こんな愛しい人の仕返しだったら俺はなんでも我慢できるような気がする。
俺とアナは何度も何度も見つめ合い…おでこを合わせた。
そして、何度も何度も抱き合い…初めて甘く溶けてしまいそうなキスをした。
つづく
しばらくするとゆっくりと車が止まり俺はイヤホンを外した。
HS「着きました…行きましょうか…」
俺たちは車を降り、ヒスイさんに連れられて病院内のとあるフロアに向かう。
すると廊下にユナとゴナそして、アナのお母様と雑誌でしか見たことのないお父様がいた。
俺はアナが全てを忘れてしまってるのではないかとあう緊張感と恐怖で足が微かに震える。
ゴナが俺たちの姿に気づき俺たちの元に駆け寄った。
G「ジョウキやっときた!アナ…おきてるよ!ジョウキ…アナがんばったんだよ!」
マハロくんに抱き上げられたゴナは俺に一生懸命そう言った。
J「そっか…」
俺はアナのご両親に頭を下げてお父様に挨拶をした。
J「あ…あの…は…初めまして橘ジョウキと申します…」
父「君の事は聞いてますよ。まずはアナに会ってあげて下さい。それからですね…私とお話をするのは…どうぞ中へ…」
お父様は優しいような…怒っているような…
なんとも言えない雰囲気のお父様は病室の扉を開け俺にニコッと微笑んだ。
俺もそのお父様の笑顔に応えるよう微笑んだが自分でも分かってる…
うまく笑えていないことに。
微かに震える膝に力を入れながら一歩づつアナの元へと向かう。
アナの頭には包帯が巻かれて、痛々しい姿でベッドの背もたれにもたれたまま窓の外をぼーっと眺めていた。
J「アナ…」
俺がそう呼びかけてもアナは俺の声に反応しない。
一瞬にして俺の頭の中に不安がよぎり、俺はアナに近づいて続けた。
J「アナ…ウソついてごめん…沢山傷つけてごめん…俺…会いに来たよ?アナは…俺を許してくれる…?」
アナは俺の言葉にピクリとも反応せず、ただぼんやりと虚な視線のまま窓の外を眺めていた。
俺はこの現実を受け入る事が出来るのだろうか…?
俺は窓の外を眺めたままのアナの肩を優しく持ち、ゆっくりと自分の方へと向かせた。
そして、俺はアナと視線が合うようにベッドに腰をかけた。
J「アナ?俺だよ?ジョウキだよ?アナ…俺のこと分かるよな…?」
俺がどんなにアナの目の奥を見ながら問い掛けても…
アナは俺の声に答えようとしてくれない。
俺の全身が震えだし手に上手く力が入らない。
J「アナ…頼むよ…何か言ってくれよ…アナ…」
俺の目から涙が溢れアミの顔がぼやけて見えない。
J「何勝手に俺のこと忘れてんだよ…勝手に俺のこと忘れるなんて…許さないって俺言ったよな?俺の心をこんなに夢中にさせといて…俺の頭は…アナでいっぱいなんだよ…?」
全身に力が入らず下を向くと涙がポタポタと落ちシーツに染みをつけた。
アナ…わかったよもう…
俺は…全てを受け入れるから…
アナのそばにいさせてくれる…?
J「…アナ…愛してるよ…だから…また…俺のこと…好きになってくれますか…?」
俺は声だけが虚しく響き静まり返る病室は冷たくてさらに俺の体を震えさせた。
すると、ふわっと柔らかくて温かい感触に俺は包まれ俺の涙が止まる。
「私の王子様…やっと迎えに来てくれたね…」
J「え……?」
気がつくと俺は小さなアナの胸の中に包み込まれていた。
J「ア…ナ…?」
A「私…ジョウキのこの匂い…大好き…」
俺は慌ててアナの顔を確認するとそこには子供のように笑うアナがいた。
J「え…アナ?」
A「これは私に嘘ついた…罰だよ…」
アナの頬も涙で濡れていて太陽に照らされて、まるで宝石が煌めいてるようだ。
J「俺のこと…分かるの?」
A「分かるよ。子供の時のジョウキは優しくて強くて私にとってのヒーローだった。推しのジョウキはいつもキラキラしてて、優しく微笑みながら歌うジョウキの横顔が大好きで…推しじゃなくなったジョウキは意地悪で変なヤツで大っ嫌いになったのに……大好きだった。」
アナはぽろぽろと流し、優しい声で俺の頬を何度も撫でながらそう言い、俺は情け無いほどに泣きじゃくっていた。
J「アナ…ごめん…」
俺はそう言うと思いっきりアナを抱きしめアナの存在をこの腕で確認する。
A「私もごめんね…」
アナの腕にも力が入り愛しさが溢れそうになる。
J「本当に…全部忘れちゃったのかと思った…まじ…息が止るかと思った…」
A「私も…ジョウキに別れを告げられた時…息が止まるかと思った。今のジョウキと同じ気持ちだよ。ジョウキは子供の時から私に嘘ばかりだから…仕返しだよ。」
こんな愛しい人の仕返しだったら俺はなんでも我慢できるような気がする。
俺とアナは何度も何度も見つめ合い…おでこを合わせた。
そして、何度も何度も抱き合い…初めて甘く溶けてしまいそうなキスをした。
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