【BL】記憶のカケラ

樺純

文字の大きさ
23 / 45

23話

しおりを挟む
タカラside

どれくらい泣いたのだろう…泣きすぎて頭が痛くなり現実へと引き戻された。

あぁ…店に戻らなきゃ…やだな…

そんな事を思いながら足元にある小石を蹴飛ばしていると、息を切らしたノイルくんが走ってきた。

N「お前…休憩30分って言ったのに何時間経ってると思ってんだよ!?」

T「ごめん…」

N「2時間も経ってんだぞ?連絡しても通じないし…みんな心配するだろう。」

T「ご…めんなさい…」

また、涙が溢れ出して俺が泣いているとノイルくんは俺の横に座った。

N「キイチに何言われた。何されたんだ。」

その声は少し怒っていて、俺はキイチにされた事実をノイルくんにいう事を少しためらった。

T「な…なにも…」

N「俺に嘘ついたら…バイトクビだぞ。」

もし…今、俺があの店をクビにされたら俺の居場所はなくなってしまう。

誰も味方でいてくれる人もいなくて…

ノイルくんやユウリちゃん、ミズキに見放されたら…

きっと俺は本当の独りぼっちになるだろう。

T「キイチにキス…された。」

N「はぁん!?」

俺はひとりぼっちになるのが怖くてノイルくんに正直に伝えたが…あの温厚なノイルくんが珍しくキイチにめちゃくちゃキレていた。

N「あいつはイオリと付き合いながらタカラにも手を出すつもりなのか?何考えてんだ…あいつ…まだ中二の子供のくせに…。」

T「ほんと…最低だよね…双子の兄の恋人とキスしてドキドキしてる俺も…」

俺の言葉に大きなため息をついたノイルくんはくしゃくしゃっと俺の頭を撫でて、そのまま店へと連れて帰ってくれた。

あの出来事があってからまた、キイチからの連絡は途絶え、俺たちはもう道端で偶然会っても声をかけたりする事すらなくなってしまうんだろうなと俺は思い始めていた。

そんなことがあった数日後

俺とミズキがバイトしている時間帯に珍しく受験勉強で忙しいはずのリヒトくんとヒノハちゃんが店にやってきた。

T「二人が珍しいね?受験勉強順調?」

L「まぁ、息抜きにな。」

ミズキはヒノハちゃんが来た途端にバイト中だというのにヒノハちゃんの横にベッタリとくっ付き甘えている。

そんなミズキの姿をみたノイルくんはカウンターの中から時給引いておきまーすと叫んでいた。

俺は2人の前におしぼりと水を出し注文を聞きにいくと、ヒノハちゃんが俺の顔をじっと見つめるので俺は不思議に思い首を傾げた。

T「ん?」

H「いやさ……最近、キイチどうしてる?私たち受験勉強ばかりで全然みんなと会えてないし……キイチからなんかみんなの事を聞いてくるような連絡来てたから…あの子みんなと会ってないのかなと思って。」

ヒノハちゃんの口からキイチの話が出た途端に俺とミズキ、ノイルくんとユウリちゃんは思わず口を閉し、店の中には気まずい空気が漂う。

L「俺のとこにも同じような連絡がキイチから来てたんだよな……喧嘩でもしたか?」

T「いや…そういう訳では…」

そう言いながら俺が口籠もっているとカランカランと音を立てながら扉が開いた。

咄嗟に「いらっしゃいませ!」と声をかけようとしたその瞬間…

俺の喉が縮こまり声が出なかった。

つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キミと2回目の恋をしよう

なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。 彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。 彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。 「どこかに旅行だったの?」 傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。 彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。 彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが… 彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?

僕のために、忘れていて

ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────

記憶喪失のふりをしたら後輩が恋人を名乗り出た

キトー
BL
【BLです】 「俺と秋さんは恋人同士です!」「そうなの!?」  無気力でめんどくさがり屋な大学生、露田秋は交通事故に遭い一時的に記憶喪失になったがすぐに記憶を取り戻す。  そんな最中、大学の後輩である天杉夏から見舞いに来ると連絡があり、秋はほんの悪戯心で夏に記憶喪失のふりを続けたら、突然夏が手を握り「俺と秋さんは恋人同士です」と言ってきた。  もちろんそんな事実は無く、何の冗談だと啞然としている間にあれよあれよと話が進められてしまう。  記憶喪失が嘘だと明かすタイミングを逃してしまった秋は、流れ流され夏と同棲まで始めてしまうが案外夏との恋人生活は居心地が良い。  一方では、夏も秋を騙している罪悪感を抱えて悩むものの、一度手に入れた大切な人を手放す気はなくてあの手この手で秋を甘やかす。  あまり深く考えずにまぁ良いかと騙され続ける受けと、騙している事に罪悪感を持ちながらも必死に受けを繋ぎ止めようとする攻めのコメディ寄りの話です。 【主人公にだけ甘い後輩✕無気力な流され大学生】  反応いただけるととても喜びます!誤字報告もありがたいです。  ノベルアップ+、小説家になろうにも掲載中。

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

楽な片恋

藍川 東
BL
 蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。  ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。  それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……  早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。  ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。  平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。  高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。  優一朗のひとことさえなければ…………

林檎を並べても、

ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。 二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。 ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。 彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。

経理部の美人チーフは、イケメン新人営業に口説かれています――「凛さん、俺だけに甘くないですか?」年下の猛攻にツンデレ先輩が陥落寸前!

中岡 始
BL
社内一の“整いすぎた男”、阿波座凛(あわざりん)は経理部のチーフ。 無表情・無駄のない所作・隙のない資料―― 完璧主義で知られる凛に、誰もが一歩距離を置いている。 けれど、新卒営業の谷町光だけは違った。 イケメン・人懐こい・書類はギリギリ不備、でも笑顔は無敵。 毎日のように経費精算の修正を理由に現れる彼は、 凛にだけ距離感がおかしい――そしてやたら甘い。 「また会えて嬉しいです。…書類ミスった甲斐ありました」 戸惑う凛をよそに、光の“攻略”は着実に進行中。 けれど凛は、自分だけに見せる光の視線に、 どこか“計算”を感じ始めていて……? 狙って懐くイケメン新人営業×こじらせツンデレ美人経理チーフ 業務上のやりとりから始まる、じわじわ甘くてときどき切ない“再計算不能”なオフィスラブ!

【完結】俺はずっと、おまえのお嫁さんになりたかったんだ。

ペガサスサクラ
BL
※あらすじ、後半の内容にやや二章のネタバレを含みます。 幼なじみの悠也に、恋心を抱くことに罪悪感を持ち続ける楓。 逃げるように東京の大学に行き、田舎故郷に二度と帰るつもりもなかったが、大学三年の夏休みに母親からの電話をきっかけに帰省することになる。 見慣れた駅のホームには、悠也が待っていた。あの頃と変わらない無邪気な笑顔のままー。 何年もずっと連絡をとらずにいた自分を笑って許す悠也に、楓は戸惑いながらも、そばにいたい、という気持ちを抑えられず一緒に過ごすようになる。もう少し今だけ、この夏が終わったら今度こそ悠也のもとを去るのだと言い聞かせながら。 しかしある夜、悠也が、「ずっと親友だ」と自分に無邪気に伝えてくることに耐えきれなくなった楓は…。 お互いを大切に思いながらも、「すき」の色が違うこととうまく向き合えない、不器用な少年二人の物語。 主人公楓目線の、片思いBL。 プラトニックラブ。 いいね、感想大変励みになっています!読んでくださって本当にありがとうございます。 2024.11.27 無事本編完結しました。感謝。 最終章投稿後、第四章 3.5話を追記しています。 (この回は箸休めのようなものなので、読まなくても次の章に差し支えはないです。) 番外編は、2人の高校時代のお話。

処理中です...