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31話
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タカラside
次の日
俺は気持ちを切り替えるように手首につけていた赤いブレスレットを外し、長かった髪をバッサリと短く切り、アッシュ色に染めていた明るめの髪色を黒に染め直した。
キイチと楽しく幸せに過ごせていたあの頃の髪型のように。
それから俺は次の日もその次の日もずっとキイチのそばに付き添い、キイチが目覚める事だけを願って見守った。
代わる代わるにノイルくんとユウリちゃん、ミズキとヒノハちゃん…そしてリヒトくんがキイチのお見舞いに来ては俺のことも励ましてくれた。
しかし、この事故の原因となった張本人であるイオリはあれから一度もキイチの病室に顔を見せず、大した怪我でもないのに長々と入院しているイオリの病室に俺が行くと、イオリは気が狂ったような目つきでこう言った。
「お前の顔なんて見たくもないんだよ!俺だって傷ついてるのに!」
T「キイチはお前を庇ってあんな大怪我したんだぞ?何とも思わないのかよ。」
「だからなんだよ!?一生かけて助けてくれたお礼をしろとでも言うか!?」
T「そうじゃなくて!!一度くらいは病室に顔を見に行けよ!!お前たち付き合ってんだろ!?」
「もう別れる!!キイチなんか好きでもなんでもない!!だから放っておいてくれよ!!」
情緒不安定となっていたイオリは俺にそう怒鳴りつけるように叫んだ。
こんな簡単に…別れる?好きでもなんでもない?
散々、俺に見せつけるような事をしておいてキイチが意識不明の重体になったら別れるって…
その程度の想いでお前は俺からキイチを奪ったのかよ…
やっぱりあれはイオリにとって恋愛ではなく俺への当て付けだったんだろう。
俺はイオリの無責任すぎるその言葉を聞いて呆れ果て、イオリの病室を出た。
すると、キイチのお母さんが俺の元に走ってきた。
「タカラくん!!」
T「おばさん?キイチに何かあったんですか!?」
「キイチが…キイチが…!!」
取り乱すおばさんの元に駆け寄った俺は血の気が引き、微かに震える手でおばさんの手を握った。
T「おばさん落ち着いて!!」
「キイチ…キイチがね…!!」
T「う…うん…」
「やっと…目覚めたの!!」
それを聞いた俺はホッとして全身の力が抜けた。
そして、俺はおばさんと共にキイチの病室に飛んで行った。
微かに震える手でキイチの病室の扉を開けると……
K「タカラくん~!!来てくれたんだね?」
さっきまで意識がなかったとは思えないような笑顔を俺に向けるキイチがそこにはいて、ホッとした俺は思わずキイチをギュッと抱きしめた。
T「キイチ……心配した……」
K「俺、事故に遭ったんだってね…びっくりした。でも、もう大丈夫だよ?」
キイチはそう言うと俺のことをギュッと抱きしめ返してくれて、トントンと背中を叩くと俺の頬に流れ落ちる涙を拭ってくれた。
T「キイチ、本当ごめんね…俺たちのせいで……」
K「俺たちのせい?って…事故の時…俺とタカラくん以外に誰かいたの?」
俺はキイチの言葉に驚き言葉を失った。
キイチは何を言ってるんだろ?
俺の他に誰かいたも何も…
キイチはイオリを庇ってこんな事故に遭ったんじゃん…
呆然とした俺が涙を流し、キイチの顔を見ながらそう心の中で思っているとキイチのお母さんがキイチに言った。
「キイチ…先に看護師さんと検査に行ってきて…それからタカラくんとゆっくり話しなさい。」
キイチのお母さんが泣きじゃくる俺の肩をぽんぽんと撫でるとそう言った。
K「うん。タカラくんもう泣かないでね?俺、大丈夫だから。検査から帰ってくるまで絶対待っててよ。」
T「え…あぁうん…」
キイチは俺に手を振ると車椅子に乗って検査へと向かった。
つづく
次の日
俺は気持ちを切り替えるように手首につけていた赤いブレスレットを外し、長かった髪をバッサリと短く切り、アッシュ色に染めていた明るめの髪色を黒に染め直した。
キイチと楽しく幸せに過ごせていたあの頃の髪型のように。
それから俺は次の日もその次の日もずっとキイチのそばに付き添い、キイチが目覚める事だけを願って見守った。
代わる代わるにノイルくんとユウリちゃん、ミズキとヒノハちゃん…そしてリヒトくんがキイチのお見舞いに来ては俺のことも励ましてくれた。
しかし、この事故の原因となった張本人であるイオリはあれから一度もキイチの病室に顔を見せず、大した怪我でもないのに長々と入院しているイオリの病室に俺が行くと、イオリは気が狂ったような目つきでこう言った。
「お前の顔なんて見たくもないんだよ!俺だって傷ついてるのに!」
T「キイチはお前を庇ってあんな大怪我したんだぞ?何とも思わないのかよ。」
「だからなんだよ!?一生かけて助けてくれたお礼をしろとでも言うか!?」
T「そうじゃなくて!!一度くらいは病室に顔を見に行けよ!!お前たち付き合ってんだろ!?」
「もう別れる!!キイチなんか好きでもなんでもない!!だから放っておいてくれよ!!」
情緒不安定となっていたイオリは俺にそう怒鳴りつけるように叫んだ。
こんな簡単に…別れる?好きでもなんでもない?
散々、俺に見せつけるような事をしておいてキイチが意識不明の重体になったら別れるって…
その程度の想いでお前は俺からキイチを奪ったのかよ…
やっぱりあれはイオリにとって恋愛ではなく俺への当て付けだったんだろう。
俺はイオリの無責任すぎるその言葉を聞いて呆れ果て、イオリの病室を出た。
すると、キイチのお母さんが俺の元に走ってきた。
「タカラくん!!」
T「おばさん?キイチに何かあったんですか!?」
「キイチが…キイチが…!!」
取り乱すおばさんの元に駆け寄った俺は血の気が引き、微かに震える手でおばさんの手を握った。
T「おばさん落ち着いて!!」
「キイチ…キイチがね…!!」
T「う…うん…」
「やっと…目覚めたの!!」
それを聞いた俺はホッとして全身の力が抜けた。
そして、俺はおばさんと共にキイチの病室に飛んで行った。
微かに震える手でキイチの病室の扉を開けると……
K「タカラくん~!!来てくれたんだね?」
さっきまで意識がなかったとは思えないような笑顔を俺に向けるキイチがそこにはいて、ホッとした俺は思わずキイチをギュッと抱きしめた。
T「キイチ……心配した……」
K「俺、事故に遭ったんだってね…びっくりした。でも、もう大丈夫だよ?」
キイチはそう言うと俺のことをギュッと抱きしめ返してくれて、トントンと背中を叩くと俺の頬に流れ落ちる涙を拭ってくれた。
T「キイチ、本当ごめんね…俺たちのせいで……」
K「俺たちのせい?って…事故の時…俺とタカラくん以外に誰かいたの?」
俺はキイチの言葉に驚き言葉を失った。
キイチは何を言ってるんだろ?
俺の他に誰かいたも何も…
キイチはイオリを庇ってこんな事故に遭ったんじゃん…
呆然とした俺が涙を流し、キイチの顔を見ながらそう心の中で思っているとキイチのお母さんがキイチに言った。
「キイチ…先に看護師さんと検査に行ってきて…それからタカラくんとゆっくり話しなさい。」
キイチのお母さんが泣きじゃくる俺の肩をぽんぽんと撫でるとそう言った。
K「うん。タカラくんもう泣かないでね?俺、大丈夫だから。検査から帰ってくるまで絶対待っててよ。」
T「え…あぁうん…」
キイチは俺に手を振ると車椅子に乗って検査へと向かった。
つづく
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