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59話
しおりを挟むテラside
そしてついに…
若頭だったケイトはこの組の後を継ぎ組長となった。
ジニさんはケイトの補佐として変わらずそばにいてくれて、私もこれを機にこの屋敷に引っ越した。
あの日から「お嬢」と呼ばれていた私は今「姐さん」と呼ばれていて、この環境に慣れるのにはまだ時間が掛かりそうだ。
最近では新たな出会いと楽しみが出来た。
それはケイトの組がボランティア活動の一環として、身寄りのない子達が生活をする養護施設にケーキをプレゼントするようになったこと。
私はその責任者になり、ケーキを作りのアシスタントとしてププを始めとするケイトの部下達も一緒に手伝い、私に厳しくケーキ作りを指導された部下たちは、あの厳つい顔からは想像できないほど可愛らしいケーキを作れるようになった。
T「みんな~!!ケーキ持って来たよ~!!ププも手伝って!!」
P「了解しやした!!」
この園に来るようになってもう1ヶ月が経つが、ププのトレードマークであるツインテールにあの厳つい顔が子ども達にはまだ理解できないのか、子どもたちはププにビビって近寄ろうとしない。
そんなププに苦笑いをしながらケーキを配っていると子ども達の声が色めき立つ。
「ボスがきた~!!」
そう言って子ども達は一斉に門の方へと走っていき、私はその様子を見つめるとケイトが笑顔で子どもたちと戯れる。
K「みんないい子にしてたか?園長の言うことちゃんと聞くんだぞ!?」
「はーい!!」
K「じゃ、座ってケーキ食べるぞ!」
子どもたちに埋もれながらそう言ったケイトは、若頭だったあの頃よりも頼り甲斐が出来てさらに私の自慢の恋人となった。
そんなケイトについ、見惚れているとケイトは私の横に来てニコッと微笑んだ。
K「そんなに見つめてどうした?また、惚れ直しちゃった?」
T「うん…毎日惚れ直してるよ。」
私がそう言うとケイトはニヤッと笑って、園の子どもたちに見せつけるように私のほっぺにキスをするとキャ~チュウした~!!と子供たち浮かれた声があちらこちらから沸き立ち私たちを冷やかした。
「ボスとテラちゃんはケッコンするのぉ~?」
私の足元にいた子供が私を見上げてそう問いかける。
その答えに私が困っていると…
K「そうだよ。ボスはテラちゃんと結婚します!結婚式にはみんも来てね。」
T「え…結婚!?」
K「んふふ…うん。そう…結婚。」
ケイトはイタズラに笑いながらそう私の耳元で囁くと、子どもたちと浮かれながら戯れていた。
そして、私たちの結婚話と共にまたひと波乱が起きる事を…この時のケイトは知る由もなかった。
つづく
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