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11話
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私はオサくんと初めて2人っきりになり少し緊張しながらフライパンを火にかける。
O「ねぇ、ルリさんさ?ユウアのこと大丈夫?」
オサくんは私の横で野菜を切りながらそう問いかけてきたが、私にはその質問の意図が分からない。
*「え?大丈夫って何が?」
O「いや、ユウアさ…子供の頃からぶりっ子って言われて虐められる事が多くてなかなか女友達できなかったんだ…」
オサくんが少し切ない笑顔を見せながらそう言った。
*「そうだったんだね…でも、私は人見知りだからあんな風にユウアさんに話しかけてもらえて逆に嬉しかったよ?」
O「ほんと?なら良った…ユウアにとって友達って言えるのは俺とジユだけだからルリさんが仲良くしてくれたらあいつ喜ぶと思うよ。」
そう話すオサくんの顔を見ればわかる…友達としてユウアさんを想ってない事ぐらい。
すごく温かい顔をしてユウアさんの話をしているオサくんはとてもカッコ良いと私は心の中で思った。
*「私も仲良くしてもらえたら嬉しいな…そうそう、さっきユウアさんと話してたんだけど?ジユとオサくんってどういう関係なの?」
私がさっきユウアさんとしていた話の続きをオサくんに問いかけた。
O「あぁ…うーん?昔、ジユが中学生の頃に俺がジユの家庭教師しててね?それが縁でここに居候させてもらってるんだ。」
T「へぇ~オサくんって頭いいんだね?」
O「ジユよりはね?ってか俺のことも呼び捨てでいいからね。」
そう言ってオサは独特な笑い声で笑った。
すると、その声に引き寄せられるかのようにカウンターキッチンの向こう側にひょこっと可愛いお顔が現れた。
J「ねぇ、まだ?」
そう言ったジユは上目遣いで私を見る。
その目を見てあの時に感じた想いが確信に変わる。
私が彼について来てしまったのはきっと…
彼があの人にそっくりだからだと…。
私はそんな複雑な思いを誰にも気づかれないよう心に秘めながら料理を仕上げていく。
*「できたよ。あっちで食べよう!」
O「あ、これ先にあっち持っていくね?」
そう言ってオサが大きな鍋をテーブルへと運びその背中をユウアさんが追いかける。
*「ジユ、お皿ってどこに…」
J「右上の棚だよ?危ないから俺が取るよ~」
*「大丈夫大丈夫~!」
私は上にある棚を開けて奥にあるお皿を背伸びして取ろうとするが、なかなか上に他のお皿が乗っていて重くて取れない。
私がお皿を持ち上げようとした瞬間、お皿がガチャガチャと音を立ててバランスを崩した。
あ、危なぃ…
私は咄嗟に両目をぎゅっと閉じて思わず固まってしまった。
…が…お皿は落ちくる気配はなく私はゆっくりと目を開けた。
J「セーフ。」
するとそこにはジユが私の背後から手を伸ばしてお皿を押さえていた。
*「ご…ごめん。ありがとう。」
私がそう言うと彼はそっとお皿を取り出して私の前に置いた。
J「もう~ルリは危なっかしいな~。だから、俺が取るって言ったのに~。」
*「だからごめんって…。」
私たちのやり取りが聞こえたのかオサが心配そうな顔をして私たちに問いかけた。
O「大丈夫?」
*「うん。大丈夫!お皿に盛り付けてそっち持っていくね~。ジユ、料理が冷めちゃうよ。」
J「はいはい。」
彼は少し呆れたように笑って私が盛り付けた料理を持ってテーブルへと向かった。
つづく
O「ねぇ、ルリさんさ?ユウアのこと大丈夫?」
オサくんは私の横で野菜を切りながらそう問いかけてきたが、私にはその質問の意図が分からない。
*「え?大丈夫って何が?」
O「いや、ユウアさ…子供の頃からぶりっ子って言われて虐められる事が多くてなかなか女友達できなかったんだ…」
オサくんが少し切ない笑顔を見せながらそう言った。
*「そうだったんだね…でも、私は人見知りだからあんな風にユウアさんに話しかけてもらえて逆に嬉しかったよ?」
O「ほんと?なら良った…ユウアにとって友達って言えるのは俺とジユだけだからルリさんが仲良くしてくれたらあいつ喜ぶと思うよ。」
そう話すオサくんの顔を見ればわかる…友達としてユウアさんを想ってない事ぐらい。
すごく温かい顔をしてユウアさんの話をしているオサくんはとてもカッコ良いと私は心の中で思った。
*「私も仲良くしてもらえたら嬉しいな…そうそう、さっきユウアさんと話してたんだけど?ジユとオサくんってどういう関係なの?」
私がさっきユウアさんとしていた話の続きをオサくんに問いかけた。
O「あぁ…うーん?昔、ジユが中学生の頃に俺がジユの家庭教師しててね?それが縁でここに居候させてもらってるんだ。」
T「へぇ~オサくんって頭いいんだね?」
O「ジユよりはね?ってか俺のことも呼び捨てでいいからね。」
そう言ってオサは独特な笑い声で笑った。
すると、その声に引き寄せられるかのようにカウンターキッチンの向こう側にひょこっと可愛いお顔が現れた。
J「ねぇ、まだ?」
そう言ったジユは上目遣いで私を見る。
その目を見てあの時に感じた想いが確信に変わる。
私が彼について来てしまったのはきっと…
彼があの人にそっくりだからだと…。
私はそんな複雑な思いを誰にも気づかれないよう心に秘めながら料理を仕上げていく。
*「できたよ。あっちで食べよう!」
O「あ、これ先にあっち持っていくね?」
そう言ってオサが大きな鍋をテーブルへと運びその背中をユウアさんが追いかける。
*「ジユ、お皿ってどこに…」
J「右上の棚だよ?危ないから俺が取るよ~」
*「大丈夫大丈夫~!」
私は上にある棚を開けて奥にあるお皿を背伸びして取ろうとするが、なかなか上に他のお皿が乗っていて重くて取れない。
私がお皿を持ち上げようとした瞬間、お皿がガチャガチャと音を立ててバランスを崩した。
あ、危なぃ…
私は咄嗟に両目をぎゅっと閉じて思わず固まってしまった。
…が…お皿は落ちくる気配はなく私はゆっくりと目を開けた。
J「セーフ。」
するとそこにはジユが私の背後から手を伸ばしてお皿を押さえていた。
*「ご…ごめん。ありがとう。」
私がそう言うと彼はそっとお皿を取り出して私の前に置いた。
J「もう~ルリは危なっかしいな~。だから、俺が取るって言ったのに~。」
*「だからごめんって…。」
私たちのやり取りが聞こえたのかオサが心配そうな顔をして私たちに問いかけた。
O「大丈夫?」
*「うん。大丈夫!お皿に盛り付けてそっち持っていくね~。ジユ、料理が冷めちゃうよ。」
J「はいはい。」
彼は少し呆れたように笑って私が盛り付けた料理を持ってテーブルへと向かった。
つづく
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