キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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26話

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あの日

私は月明かりに照らされながら自分の部屋で眠っていた。

すると突然、布団の上にずっしりとした重みを感じ、目を開けるとそこには母親の恋人が私の上に跨っていたのだ。

あまりの恐怖からカラダが強張り悲鳴をあげようとすると、力づくで口を押さえつけられ唇が切れて血の味がじんわりと広がった。

布団を剥ぎ取られ服の中に入ってくる気持ち悪い感触に怯え…一瞬、男が口元にある手を緩めた時に私は大きな悲鳴をあげた。

*「助けてぇ!!」

すると、男が私の頬を思いっきり殴った。

あまりの衝撃で頭がぼーっとし耳がキーンとなる。

T「姉ちゃん?」

大きな足音と共にトモキが私の部屋の扉を開けて立ち尽くしていて、男はトモキを見て少し後ずさりをした。

T「なにやってんだ!!お前!?」

きっと、トモキもこの男の顔に見覚えがあったのだろう…

男の胸ぐらを掴み男ともみ合いになった。

私は怖くて震えてただ、2人を見つめることしか出来なかった。

トモキがその男を引きずるようにして1階におりようと廊下に出た瞬間!!

男がトモキの足に掴みかかった。

*「トモキ!!危ない!!」

そして、階段のすぐそばで揉み合った2人はそのまま階段から落ちた。

*「トモキ!!!!」

酒を呑んだくれた母親もさすがに酔いが覚めたのか、1階でトモキのそばに駆け寄っていた。

私も震えるカラダで階段をおり、トモキのそばにいくと、トモキの頭から赤いモノが大量に流れ出していたのに、男はトモキがクッションになり傷ひとつなかった。

救急車が家に到着し、トモキが救急車で運ばれて行く。

*「私も…」

そう言ってトモキを追いかけ一緒に救急車に乗り込もうとすると…

母「あんたは来ないで…私が行く。家で待ってなさい。」

そう母に突き飛ばされ、私はじっと母からの連絡を家で1人、待った。

そして、翌朝

一睡もせず待っていると母だけが家へと帰ってきた。

*「お母さん…トモキは…?」

私が帰ってきた母にそう駆け寄ると母は私の頬を思いっきり叩いた。

母「また、男に色目使ったの!?母親の恋人を誘惑するなんてどんな神経してるの!?その悪い癖はまだ直ってなかったのね!?トモキはあんたのせいで怪我したのよ!?あんたのせいで…」

母の思いもよらない言葉に返す言葉が見つからない。

*「…な…なに言ってんの…色目なんて使うわけ…」

母「こんな娘を持って恥ずかしいわ。トモキはあんたのせいで意識不明よ…もう、トモキに関わるのはやめて。」

そう言われたその時に思ったんだ…確かに私がここにいなければ母の恋人に襲われることもなかった。

そうすればトモキも私を助けるために怪我をすることもなかった。

ほんとだ…私がいなけばこんな事にならなかった。

ごめんね…トモキ…全部お姉ちゃんのせいだね…

私の今までは一体、なんだったんだろ?そう想いながらこの街を彷徨ったのがちょうど1ヶ月前の話。

そう…私が実家を出てあの丘でジユと出会った日のお話。

O「ルリさん…?ここだよ。」

オサの声で我に返り視線をあげるとそこには暗闇の中、大きな三階建の一軒家が浮かび上がっていた。


つづく
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