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28話

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*「え…再発って……」

O「正直…カナリ難しい状況だよ…すぐにでも治療始めないと。」

オサの話によれば私が初めて丘の上にある家に行った日にオサの病気の再発が発覚した。

しかし、本人は治療を望まずオサはジユをどうやって説得しようかと悩んで時に、ジユに連れられて私があの家にやって来たと。

*「あの日のジユ…そんな風に全然見えなかった。あの日あの丘で私がぼーっとしてたら偶然その場にいたジユが話しかけてきて…」

O「偶然なんかじゃない。ジユは全て知ってるよ…」

*「え?」

O「ルリさんの母親の事もトモキの事も自分の父親との関係も…全部知ってる。」

*「な…なんで…」

O「あいつが8歳の頃だったかな?俺に頼んできたんだよ。ここに行きたいってシワシワの写真を持ってね。俺はもう中学生だったし写真を見れば大体どこだか分かったから、まだ幼かったジユを連れてその場所へと連れて行ったんだ。それがあの丘だよ?」

*「私たちが出会った…あの丘…?」

O「そう…そしたら、そこには学生服姿のルリさんとトモキがとても楽しそうに手を繋いで遊んでる姿が見えた。ルリさんがトモキの頭を撫でたり、抱きしめたりしている姿をとても羨ましそうな目でジユは2人を眺めていたよ。」

*「そんなの………」

O「…それから場所をおぼえたジユはたまに俺や親父の目を盗んではルリさんやトモキを影で見に行くようになった。だから、あいつがルリさんに話しかけたのはたまたまや偶然でもない…必然だったんだよ。」

*「私だけが偶然って思い込んでたんだ……」

O「あいつはどこかでずっとルリさんの愛を求めてた。ルリさんがトモキに与えていた愛を自分にも向けてほしいそう望んでたんだよ。だから、頼むよ…ジユを説得して。救えるのはルリさんしかいないんだよ…」

*「ねぇ…オサ…私ね?ジユと一線を超えてしまったの…あの子…私が異母姉弟だって知っててなんでそんな事したんだろ…しかも体も悪いのにそんな事してもっと悪化なんてしたら…」

私の告白にオサも驚きを隠せない様子だった。

O「あいつが…?何考えてんだ一体…愛されることを知らないから姉弟愛を男女の愛だと勘違いしてしまったのかな…あいつ…」

*「ジユには生きて欲しい…でも私はそばに居られない。お互いのためにもう…離れた方がいいんだと思う。」

私の言葉に小さなため息をつくオサ。

O「今、ルリさんがあいつから離れたら…また生きる希望を無くしてしまうよ…ルリさんにはそれがわからない!?」

*「…でも私たちは姉弟なのに…愛し合ってしまったんだよ…!?もし、ジユが助かったとしても…私たちに未来はないよ。お互い…苦しむだけ…そらなら…今、離れた方がお互いの傷も浅くてすむ。」

O「…病気の治療のことはどうするつもり…」

*「オサが説得して…」

O「それでジユが納得すると思う?ルリさんはジユに生きて欲しいんだろ?なら…そばにいてやってよ…」

オサの言葉に心臓が震えだす…

*「オサ…私も分からない。どうすればいいの?もう、弟としてジユを見るなんて私にはできないのよ。一緒にいればもっと彼を愛してしまう。でも…ジユには生きて欲しい…ねぇオサ…教えて…私はどうすればいい?」

涙がポロポロと流れ落ちて胸が苦しい…

O「ルリさん…やっぱり2人は深く関わるべきじゃなかったね…」

そう言ってオサは泣きじゃくる私を優しく抱きしめた。

つづく
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