キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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29話

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そして、私たちはあの丘の上にある家へと戻り私はトランクを持って家を出た。

それが私の出した答え。

彼が生きることを望むよう…オサにその命を託して私は彼の元を離れた。

坂道を下りていると太陽が完全に登り空がキラキラと輝いてみえる。

また、私の居場所はなくなってしまった。

どこに行けばいいのだろう…忙しく動き出した街並みを見てそんなことを思いながら私も一歩…また一歩と歩き出す。

朝になって私がいない事に気付いたのだろう…ジユからの着信が何度も鳴り私はそっとスマホの電源を落とした。

行き場なのなくした私はあの丘に向かい、小さなベンチに座りその丘から眺める景色を改めて見て私は気付いたんだ…

なぜあの日…母が私とトモキを連れてここに来たのか。

この丘から眺める景色の中に父の病院がちょうど見えていて、私はそんな事も知らずに何度もこの丘からこの景色を眺めていた。

母はあの病院が父の経営する病院だと知っているのだろうか…いや、間違いなく知っているだろう。

知っていてトモキを今もあそこに入院させている。

そう思うとジユのお母様から父を奪った母の事がさらに性悪で醜い女に思えてきた。

「やっぱりここにいた…」

愛しい声がして振り返るとそこにはジユが息を切らして立っている。

私はジユから目をそらして足早に去ろうとするがそれを彼が許すはずがない。

J「こんなの納得できると思ってんのかよ!?あんな手紙書きやがって…何考えてんだよ?言いたいことあるならちゃんと面と向かって俺に言えよ!」

言いたいことは山ほどあるのにジユの顔を見ると涙しか出てこない。

*「お願い…ジユも知ってるんでしょう?私達が異母姉弟だってこと…なのになんで!?なんで…私なんかに優しくしたのよ…なんであんな事!?」

私が力なくそう言うと、ジユは何かを諦めたかのように泣き崩れる私を抱き止め、ジユはため息をついて話し始める。

J「優しくしたいからした。それだけ。他になにか理由がいる?異母姉弟だって知ったら俺のこともう好きじゃなくなった!?異母姉弟だからって俺のこと…そんな簡単に諦められるのかよ!?ねぇ…勝手に出て行ってマジで何考えてんの…?まだ、試用期間があと2か月も残ってるけど!?」

*「…もうそばにいれないって思ったのよ…!取り返しがつかなくなる前に離れなきゃ…私達…」

J「もう、俺は取り返しはつかないよ…ルリはまだ取り返しつくのかよ!?ルリだってそんなこと無理だって…自分でもわかってるだろ!?」

そう言ってジユは私の頬を両手で包みこんだ。

つづく
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