キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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40話

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マナトは無言のまま私を引っ張ってエレベーターへ乗り、病院の外にある自分のバイクの所へと無理やり引っ張って連れて行かれた。

*「マナト?どうしたの?トモキのとこに行くんでしょ?」

M「トモキには悪いけど今日はやめた。」

マナトはバイクの横にかけてあるヘルメットを取り私の頭に強引にかぶせる。

*「ちょっとマナト…やめてよ…私戻らないと…」

私がヘルメットを押し返すと、マナトは眉間にシワを寄せて無言のまま私にかぶせようとする。

*「ねぇ、マナトってば!いいって言ってるじゃんか。」

M「嫌なんだよ…俺がよくないんだよ…。こんな事になって放って置けないんだよ。何でそれが分からないの!?それでなくても心配で心配で夜も眠れないのに…ルリさんは一体いつになったら気づくんだよ…俺の気持ちに…!!」

その言葉に私は凍りつく。

*「え…」

M「俺、ルリさんのこと友達のお姉さんだなんて思ったこと1度もないから。ちょっとは俺のこと…男として意識しろよ…」

*「マナト…ごめん…私…」

M「聞きたくない。」

*「ちゃんと聞いてよ…私好きな人がいるの…だから…ごめ…」

そう言いかけた私の唇をマナトは自分の唇で強引にふさいだ。

*「……ん…ぃやぁ!!」

私が無理矢理マナトを押し返すと…弾みで噛んでしまったのだろうマナトの唇は痛々しく赤く滲んでいた。

*「マナト…ごめん…」

咄嗟にカバンからハンカチを出し押さえようとするとその手を払われた。

M「ルリさん…そういうとこだよ…男を勘違いさせるその目…ルリさん…俺、ルリさんのこと諦めないから。」

マナトのその目は本気だった。

*「ごめん…」

私は呆然としながらマナトをその場に残し、気が動転していた私はジユの病室に戻ることも忘れ逃げるようにして丘の上の家へと帰った。

今までの私の行動が男を勘違いさせていたのだろうか?

私は母が言うように男に色目を使っていたのだろうか?

シクシクと痛む心は図星からなのかただ単にマナトの言葉に傷ついたからなのか…

自分でもわからない。

誰もいない家の鍵を開け部屋の中に入る。

1人で過ごすにはあまりにも広すぎて寂しい…

いつもならジユにからかわれて拗ねた私をオサが慰めてくれるのに…

いつのまにか当たり前になっていたその温かい空間は、当たり前なんかじゃなかったんだと気付かされ、冷たい空気が私の身も心も震わせた。

どれくらいの時間が経ったのだろう…家のインターホンの音でボーッとしていた私は我に返った。

もしかしてオサが帰ってきた? 

ピンポーン

私は小走りで玄関に向かい扉を開けるとそこに立っていたのは…

*「マナト…なんで…」

そこにはマナトが立っていた。

M「やっと見つけた。帰ろう…」

マナトは私の手を掴み無理矢理引っ張る。

その力はさっき、マナトに引っ張られた力とは全く違いあまりの痛さに腕が折れてしまうのではないかと思うほどだった。

*「ちょ…ちょっとやめて!マナト!」

私の言葉はマナトには届かない。

マナトはいつもの優しい目とは違う影を落とした冷たい目をしていた。

大きな庭を無理矢理引きずるようにして連れて行かれた私は、門の前に止めてある黒の車の後部座席に押し込まれた。

*「マナト!ねぇ!どうしたの!?お願いやめて!」

私の声に一切応えてくれないマナト。

そこにいるのは私の知らない男なのだろうか?

その車にはチャイルドロックがかけられており車の中から扉を開ける事が出来ない。

*「マナト!!一体、どういうつもりなの!?」

運転席に乗り込んだマナトが後ろを振り返り私に微笑む。

M「ルリさんが悪いんだよ…」

そう言って私の顔に何かをシュッと吹きかけた。

*「ちょ…なにこれ…」

そう言ったと同時に頭がぼんやりとし始め、視界が揺らぐ…

そして、私は次第に意識が遠のき、完全に暗闇へと落ちた。


つづく
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