キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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70話

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ジユサイド

無言のまま帰った家にはなぜか彼女とお泊りのはずのトモキくんがいて驚いた。

ルリは家に着き、部屋で休むことなり、そばに付き添ってあげようと思ってルリの後ろをついて行こうとしたら、トモキくんに店がどうのとか言われて部屋へと呼ばれた。

トモキくんの部屋に入るとトモキくんは大きなため息をついてベッドに腰掛け、俺もその向かいにあるソファにゆっくりと腰掛けた。

T「ねぇ?ジユどうするつもり?姉ちゃんのこと…」

トモキくんは切長な瞳で俺を見る。

J「どうするって…ルリとはちゃんと結婚するよ…お腹の子は俺の子だからね。」

T「いや、そうじゃなくて!マルタだよ!行くんだろ?」

J「まぁ…今更仕事断れなんで…」

T「あの人、あぁ見えて頑固だよ?初めっからジユがマルタに行くこと賛成してなかったのに大人ぶって行っておいで?とか言ってさ、今になって爆発してるじゃん?」

J「ルリ…賛成じゃなかったんだ…」

俺はてっきり、初めはマルタに行くこと賛成してくれてるものだと思っていた。

T「トラウマだよ。たぶん…父さんがちょっと出張に行ってくるって言ったまま…帰ってこなかったからそのトラウマ。もし、ジユが帰って来なかったらどうしよう…とかしょうもない事考えてモヤモヤしてるんだよ。」

そう言う事だったのか…確かにルリにとったらそれは一番悲しい思い出でそれを思い出させてしまったのか…

J「どうしましょう?」

T「まぁ、今は姉ちゃんのわがままを沢山聞いてじっと耐えるしかないんじゃない?そのうちツワリが治れば気持ちも変わるかもしれないしさ?俺も協力するよ。って話でした~。ってか、俺の彼女さ?お宅の病院で人間ドッグしたみたいだよ?聞いてる?」

J「それで今日、色々大変だったんですだから~でも知らなかったの?人間ドッグ行ってること!」

T「知らないからお泊りデートのつもりでいたんじゃん?なのにドタキャンされてさ?まぁ、そんな自由人な所がまたいいんだけど。」

J「俺がマルタに行くまでにちゃんとルリにも紹介しなよ?じゃ、昨日はトモキくんどこ行ってたの?」

俺の問いかけにトモキくんは少し気まずそうな顔をして下を向いた。

すると、トモキくんはふ~っと息を吐き出して話し始めた。

T「うん…実は昨日、マナトのいる警察病院に行ってきたんだ…ジユが姉ちゃんの耳入るの嫌だろうと思って言わなかったんだけど。」

J「警察病院?」

T「うん…そこで今、心の治療してる。だいぶ落ち着いて姉ちゃんに申し訳ない事したって泣いてたよ。まぁ、姉ちゃんにはこの事言うつもりないから安心して。」

J「あぁ…うん…トモキくん会いに行ったりしてたんだ?」

T「いや、初めて会いに行った。姉ちゃんにした事、どうしても許せなくて一生会わないって思ってたけど…あいつは俺にとって親友でもあったからさ…ちゃんと話しておかないと後悔すると思って。まぁ、俺ももうあいつとは会う事ないよ。母ちゃんともね…」

J「いいの…?母ちゃんに会わなくて…」

T「俺さ?母ちゃんに世話してもらった事ないんだよね?ずっと姉ちゃんが面倒見てくれてたから。でも、母ちゃんの事嫌いではなかった。姉ちゃんとそっくりな顔して中身は全然違うけどね?でも、俺に必要なのは姉ちゃんで…今、母ちゃんに会って姉ちゃんや俺に今までした事を許せるかって言ったら…それはきっと許せない。俺があの家を出なかったのも姉ちゃんと母ちゃんが揉めると思ってたからで…姉ちゃんが幸せな家庭を作るまでは俺が2人の間でなんとかしなきゃって思ってたからさ。だから、まぁとりあえずジユが姉ちゃんの事を幸せにしてくれるなら俺はなんでもいいんだけどね?」

トモキくんはそう言って笑った。

J「俺…出来るかな?ルリのこと幸せに…」

T「珍しく弱気じゃん?」

J「オサくんに言われたんだよね…ジユは幼稚すぎるって…俺、ルリに釣り合うような男にならなきゃって思ってるけど…確かにオサくんの言うように俺は幼稚だなって…」

T「人の姉にやる事やっといて幼稚はないでしょう?wちゃんと責任とってよね~。」

J「それはそうだけど…不安っていうか…なんていうか…」

T「まぁ、みんな最初は不安なんじゃないの?それぐらいの方がいいんだよきっと…ほら、早く姉ちゃんのところに行って様子見てあげなよ?」

J「うん…」

俺はトモキくんに背中を押されるようにして部屋を出た。


つづく
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