キミの首元に揺れる悲しい白詰草

樺純

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76話

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ホテルを後にした俺たちは帰り道にあるお土産屋さんで沢山のお土産を買った。

ルリさんが楽しみにしていた現地の食材なども買い込んで車のトランクに詰め込んだ。

車を走らせばだんだんと俺たちは現実に引き戻されていく。 

きっと昨日の出来事は夢だった。

俺の妄想だったんだ…

そう思いながら家へと車を走らせる。

すると、さっきまでいつも以上に元気だったはずのユウアが暗い顔をして窓の外を眺めている。

きっとこうして2人で出かける事も無くなるのだろう…そう思うとギュッと胸の奥が締め付けられて苦しい。

俺はそれを誤魔化すかのように信号が赤になったと同時にユウアへ微笑みかけようとユウアを見つめると、ユウアの目には涙がたまっていた。

俺は驚き慌てて車を道沿いに停車した。

O「ユウアどうしたの…!?」

俺の言葉を聞いてさらに涙が溢れでてくるユウア。

俺はどうすればいいのか分からなくてとりあえず、ユウアが落ち着くようにそっと肩に手を置く。

それでも、ユウアは震えるように泣いている。

この涙の理由はなんだろうか…

誰を思って泣いてるの?

昨日の夜のことを後悔して泣いてるのだろうか…?

婚約者への罪悪感で泣いてるの…?

泣いてるユウアの姿を見ながら俺の頭の中はそんな事ばかりが浮かんでは消える。

O「ユウア…昨日の事だけど…やっぱり後悔してる?」

Y「………違うの…」

ユウアが声を震わせながら…そう言った。

O「え?」

Y「オサくんが私に言ったんだからね…?自分に素直に生きろって……だから言うよ………私やっぱりオサくんが…好き…」

ユウアの突然の言葉に俺は息を飲む。

俺もユウアが好きだよ…

でも、そこには触れず今までやってきた…

俺はユウアの立場を理解しているから言ってはいけないような気がしていた。

なのに…今…

そんな事言われてしまったら…

O「ユウアごめん…俺は…好きじゃない…」

Y「え……そ…そうだよね…ごめん……私何言って……」

O「愛してる…」

俺の言葉を聞いたユウアの瞳が大きく見開き、涙がまたポロポロと落ちる。

O「ユウア…このまま…2人でどこかに逃げちゃおうっか…」

俺がユウアの髪を撫でて微笑みながら言うと 

Y「そう出来たらどんなに幸せなんだろうね…私たち…オサくん…ごめんね…帰ろっか…」

2人でこのまま逃げるなんてドラマみたいなことが出来ない立場にいる事を理解しているユウアが悲しそうに笑いながらそう言った。

ユウアの言う通り家に送ってしまう俺もどんなに意気地なしなんだろう…

そんな事を思いながらユウアの背中を見送った。

Y「ありがとう。じゃ…また…」

O「うん…また。」

そして、俺はユウアの背中が見えなくなるまで見送り丘の上の家に帰った。  

家に着き

荷物を車から降ろし無駄なため息をまた、ひとつつく。

T「オサくん?もう、帰ってきたの?」

車から荷物を出しているときにちょうど門からトモキが入ってきた。

O「あぁ。荷物中に運ぶの手伝ってくれ。」

T「うん…」

トモキはそれ以上なにも聞かずにお土産の入った大きな荷物を抱える。

そして、家の中に入るとジユが迎えてくれた。 

J「オサくん、早かったね?どうだった?ユウアとの二人旅は?」

ジユの言葉を無視して俺はリビングに荷物を置く。

J「ちょっと~無視するなよ~!!」

O「ルリさんのことが心配だったけど…旅行は楽しかったよ。」

ジユは俺の顔色を伺うかのように俺をジロジロと見る。

J「…?それだけ?俺に隠してること他にない…?」

ジユのその目はまるで俺を見透かすようで少し…背筋がぞっとした。

O「な…ないよ…」

T「俺だったら好きな女とひと晩過ごして何もないとか絶対、考えられないわ。オサくんどこか悪いんじゃない?人の事ばかり診察してないでちゃんと自分のソコも検査した方がいいよ?」

トモキは俺のソコを指差しながら言った。

トモキ…俺のソコはちゃんと正常だったよ…

なんて今の俺はとてもじゃないけど言えるほどの余裕はなかった。

つづく
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