12 / 39
12話
しおりを挟む
ジュンペイside
会社に着き
不機嫌な坊っちゃんを会社の部屋にお連れして、俺はマヤトさんから仕事内容を引き継ぐために会議室へと向かった。
J「マヤトさんお待たせしました!!」
息を切らして中に入ると、そこにはマナトさんではなく俺を睨み付けて威圧感を放つ…
ヤヨイさんが座っていた。
J「ヤヨイさんがなんでここに…」
Y「社長に呼ばれて会社をしばらく手伝ってくれって。にしてもジュンペイは…よくも人の個人情報をナツオさんにペラペラと…」
J「いや…俺じゃ…」
なんてとぼけながら椅子に座るとヤヨイさんの首にチラッと赤いシルシが見えた。
J「なんだかんだ言って丸く収まってるじゃないですかw」
Y「はぁ!?」
J「それそれ!」
首元を指差してながらいうと、一気に顔を真っ赤にして手で首を押さえるヤヨイさん。
Y「こ…これはそんなんじゃないし!ナツオさんが無理矢理!!」
J「はいはい。分かりました分かりました!ナツオさんに無理矢理襲われたんですよね?分かってますから!!」
Y「本当だって言ってんでしょ!!」
なんて鼻息荒めにムキになるヤヨイさんを諭し、俺は仕事の引き継ぎをする為にマヤトさんを待った。
マヤトさんとヤヨイさんそして、俺の3人で仕事の引き継ぎの話をして分かったこと…
それはヤヨイさんがこの会社を手伝う事になったのは、ただのナツオさんのワガママであり会社に戻る条件として社長に出したそうだ。
Y「ほんと…あの人なに考えてんだろ。」
なんて言いながらもヤヨイさんは店の経営をしながらも秘書検定をひっそりと取っていた。
M「ヤヨイさんをそばに付けてくれないと会社には戻らないってナツオさんが言ったらしいです。なので直々に社長がヤヨイさん所へ話に行ったのかと…なので、ヤヨイさんが仕事に慣れたらナツオさんの秘書はヤヨイさんがやる事になりますからね。」
J「でもヤヨイさん、店はどうするの?」
Y「お兄ちゃんにあの店を任せる事にしたの。脱サラして飲食したいって言ってたから。」
J「なんだかんだでヤヨイさんもナツオさんのそばにいたいんじゃないですか。」
俺が少し笑いながらヤヨイさんを揶揄うようにそういうと、折角、治りかけていたヤヨイさんのご機嫌がまた悪くなった。
Y「向こうが離れないだけ。」
俺を睨みながらそういうヤヨイさんの目つきが鋭く、俺は慌てて話を逸らす。
J「に…にしても、マヤトさんが留学とかびっくりしたました。言ってくれたら良かったのに。」
M「うん…海外にいる恋人がしばらく仕事でこっちに戻れそうになくて、精神的にも追い詰められてるから俺が語学留学を兼ねて向こうに行って支えようと思って。」
J「なるほど…まぁ、そう言うことなら俺たちが秘書業を頑張るしかないですね。ね?ヤヨイさん?」
Y「私はもう完璧よ。」
そうして引き続き俺たちは仕事の流れについてマヤトさんから色々と話を聞かされた。
俺が会議を終え、坊ちゃんの部屋に戻ると坊っちゃんの姿が見当たらない。
廊下を出てトイレや自販機の前を探したものの姿はない。
仕方なくスマホを取り出し、電話を掛けようとした時、微かに階段からあの独特な低い声が聞こえてきたので、俺は様子を伺うようにしてそちらに向かった。
そして、坊ちゃんの話し声が聞こえて思わず足を止める。
T「話ってなに?」
「私…トルハくんしか……無理なの…」
この女の声…どこかで聞いたこと…
そうだ確か取引先社長のお嬢様でパーティの時に坊っちゃんに近づいていた…
T「わざわざ仕事中に会社に来て言うこと?」
「会いたいのに全然会ってくれないじゃん…寂しいの…」
そう言ってお嬢様は坊っちゃんの首に腕を巻き付けた。
思わず俺は動揺して影に身を隠す。
そして、また覗いてみると…
坊っちゃんは無言のままお嬢様を大切そうにギュッと抱きしめていて…
俺の胸はザクっと抉れたかのように痛んだ。
つい、声が出てしまいそうになるのをグッと堪え…
俺は愛おしいその背中からスッと目を逸らし、胸を震わせながら坊っちゃんの部屋に戻った。
やっぱり俺のことは…
坊っちゃんにとったらただの暇つぶしだったんだな…
つづく
会社に着き
不機嫌な坊っちゃんを会社の部屋にお連れして、俺はマヤトさんから仕事内容を引き継ぐために会議室へと向かった。
J「マヤトさんお待たせしました!!」
息を切らして中に入ると、そこにはマナトさんではなく俺を睨み付けて威圧感を放つ…
ヤヨイさんが座っていた。
J「ヤヨイさんがなんでここに…」
Y「社長に呼ばれて会社をしばらく手伝ってくれって。にしてもジュンペイは…よくも人の個人情報をナツオさんにペラペラと…」
J「いや…俺じゃ…」
なんてとぼけながら椅子に座るとヤヨイさんの首にチラッと赤いシルシが見えた。
J「なんだかんだ言って丸く収まってるじゃないですかw」
Y「はぁ!?」
J「それそれ!」
首元を指差してながらいうと、一気に顔を真っ赤にして手で首を押さえるヤヨイさん。
Y「こ…これはそんなんじゃないし!ナツオさんが無理矢理!!」
J「はいはい。分かりました分かりました!ナツオさんに無理矢理襲われたんですよね?分かってますから!!」
Y「本当だって言ってんでしょ!!」
なんて鼻息荒めにムキになるヤヨイさんを諭し、俺は仕事の引き継ぎをする為にマヤトさんを待った。
マヤトさんとヤヨイさんそして、俺の3人で仕事の引き継ぎの話をして分かったこと…
それはヤヨイさんがこの会社を手伝う事になったのは、ただのナツオさんのワガママであり会社に戻る条件として社長に出したそうだ。
Y「ほんと…あの人なに考えてんだろ。」
なんて言いながらもヤヨイさんは店の経営をしながらも秘書検定をひっそりと取っていた。
M「ヤヨイさんをそばに付けてくれないと会社には戻らないってナツオさんが言ったらしいです。なので直々に社長がヤヨイさん所へ話に行ったのかと…なので、ヤヨイさんが仕事に慣れたらナツオさんの秘書はヤヨイさんがやる事になりますからね。」
J「でもヤヨイさん、店はどうするの?」
Y「お兄ちゃんにあの店を任せる事にしたの。脱サラして飲食したいって言ってたから。」
J「なんだかんだでヤヨイさんもナツオさんのそばにいたいんじゃないですか。」
俺が少し笑いながらヤヨイさんを揶揄うようにそういうと、折角、治りかけていたヤヨイさんのご機嫌がまた悪くなった。
Y「向こうが離れないだけ。」
俺を睨みながらそういうヤヨイさんの目つきが鋭く、俺は慌てて話を逸らす。
J「に…にしても、マヤトさんが留学とかびっくりしたました。言ってくれたら良かったのに。」
M「うん…海外にいる恋人がしばらく仕事でこっちに戻れそうになくて、精神的にも追い詰められてるから俺が語学留学を兼ねて向こうに行って支えようと思って。」
J「なるほど…まぁ、そう言うことなら俺たちが秘書業を頑張るしかないですね。ね?ヤヨイさん?」
Y「私はもう完璧よ。」
そうして引き続き俺たちは仕事の流れについてマヤトさんから色々と話を聞かされた。
俺が会議を終え、坊ちゃんの部屋に戻ると坊っちゃんの姿が見当たらない。
廊下を出てトイレや自販機の前を探したものの姿はない。
仕方なくスマホを取り出し、電話を掛けようとした時、微かに階段からあの独特な低い声が聞こえてきたので、俺は様子を伺うようにしてそちらに向かった。
そして、坊ちゃんの話し声が聞こえて思わず足を止める。
T「話ってなに?」
「私…トルハくんしか……無理なの…」
この女の声…どこかで聞いたこと…
そうだ確か取引先社長のお嬢様でパーティの時に坊っちゃんに近づいていた…
T「わざわざ仕事中に会社に来て言うこと?」
「会いたいのに全然会ってくれないじゃん…寂しいの…」
そう言ってお嬢様は坊っちゃんの首に腕を巻き付けた。
思わず俺は動揺して影に身を隠す。
そして、また覗いてみると…
坊っちゃんは無言のままお嬢様を大切そうにギュッと抱きしめていて…
俺の胸はザクっと抉れたかのように痛んだ。
つい、声が出てしまいそうになるのをグッと堪え…
俺は愛おしいその背中からスッと目を逸らし、胸を震わせながら坊っちゃんの部屋に戻った。
やっぱり俺のことは…
坊っちゃんにとったらただの暇つぶしだったんだな…
つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
11
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる