愛及屋烏

ゆる

文字の大きさ
5 / 7

衝突:葵side

しおりを挟む
  それからずっと一華といるけど大喧嘩になったのは恐らく1度きり。
しかもあれは運命の日ってやつだろう。
一華は俺よりも成績がよく高校の進学先も幅広かった。
対して俺はとりあえず自立したいが為に全寮制の高校へあがろうと思っていた。
てっきり一華との付き合いはこれで終わってしまうと思っていた。

けど実際は違った。

「え、葵、俺と一緒に行くんじゃないの?」
「いやいや、無理だって~。俺は馬鹿だからさ、全寮制の農業高校に行くんだよ。」
「ふーん…。じゃあ俺もそこにする。」
「───は?」
「ん?なんだよ。」
「いや!なん、っっでだよ!お前の学力なら第一志望の普通高校に行けるのになんで俺が全寮制の高校行くって言ったら進路変えるんだよ!!」
  意味がわからなかった。
一華の優秀さは俺が一番わかってる。
だからこそ俺は一華が存分に実力を発揮出来る高校に進学して欲しかった。
俺のような馬鹿とじゃなくてもっと有意義な友人を作って。
だから当時はかなり頭に来てなかなかの怒鳴り声を発揮してしまった。
案の定一華はポカンと口を開け驚きを隠せない顔をしていた。

「……じゃ、俺帰るから。」
「…が………から…………。」
「…?なんだよ、」
「葵のことが好きだからそこまでするんだよッ!」

キンと耳に鳴ったその声と言葉は思いがけないものだった。
肩を上下に揺らし息をする一華を見ると幻聴ではないらしかった。
あぁ、今度は俺が阿呆のような顔しているんだろうな、なんて覚めた頭を回しながら思った。
一華は息を整える間もなく俺に近づき俺の頬を両手で包んだ。
俺を真っ直ぐな目で見て。
その時のこいつの目はまるで深い深い夜を閉じ込めたようで─。

「好きって友達じゃなくてこういう事だから。」

小さくリップ音が鳴る。柔らかな肉が俺の口を塞いだ感覚がした。

多分その時があいつに『惚れた』初めてだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

雪色のラブレター

hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。 そばにいられればいい。 想いは口にすることなく消えるはずだった。 高校卒業まであと三か月。 幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。 そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。 そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。 翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。

推し変なんて絶対しない!

toki
BL
ごくごく平凡な男子高校生、相沢時雨には“推し”がいる。 それは、超人気男性アイドルユニット『CiEL(シエル)』の「太陽くん」である。 太陽くん単推しガチ恋勢の時雨に、しつこく「俺を推せ!」と言ってつきまとい続けるのは、幼馴染で太陽くんの相方でもある美月(みづき)だった。 ➤➤➤ 読み切り短編、アイドルものです! 地味に高校生BLを初めて書きました。 推しへの愛情と恋愛感情の境界線がまだちょっとあやふやな発展途上の17歳。そんな感じのお話。 【2025/11/15追記】 一年半ぶりに続編書きました。第二話として掲載しておきます。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました!(https://www.pixiv.net/artworks/97035517)

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

【完結】アイドルは親友への片思いを卒業し、イケメン俳優に溺愛され本当の笑顔になる <TOMARIGIシリーズ>

はなたろう
BL
TOMARIGIシリーズ② 人気アイドル、片倉理久は、同じグループの伊勢に片思いしている。高校生の頃に事務所に入所してからずっと、2人で切磋琢磨し念願のデビュー。苦楽を共にしたが、いつしか友情以上になっていった。 そんな伊勢は、マネージャーの湊とラブラブで、幸せを喜んであげたいが複雑で苦しい毎日。 そんなとき、俳優の桐生が現れる。飄々とした桐生の存在に戸惑いながらも、片倉は次第に彼の魅力に引き寄せられていく。 友情と恋心の狭間で揺れる心――片倉は新しい関係に踏み出せるのか。 人気アイドル<TOMARIGI>シリーズ新章、開幕!

溺愛系とまではいかないけど…過保護系カレシと言った方が 良いじゃねぇ? って親友に言われる僕のカレシさん

315 サイコ
BL
潔癖症で対人恐怖症の汐織は、一目惚れした1つ上の三波 道也に告白する。  が、案の定…  対人恐怖症と潔癖症が、災いして号泣した汐織を心配して手を貸そうとした三波の手を叩いてしまう。  そんな事が、あったのにも関わらず仮の恋人から本当の恋人までなるのだが…  三波もまた、汐織の対応をどうしたらいいのか、戸惑っていた。  そこに汐織の幼馴染みで、隣に住んでいる汐織の姉と付き合っていると言う戸室 久貴が、汐織の頭をポンポンしている場面に遭遇してしまう…   表紙のイラストは、Days AIさんで作らせていただきました。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

処理中です...