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第1章

40.お客様

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謎の声事件は僕が眠っている間に円満解決で幕を閉じたらしい。

今日は家庭教師さんはいらっしゃらないので午後は暇だ。
兄様達は剣術と魔術それぞれみっちり入れられていて「今日は構ってやれない、すまない。」と言われてちょっと寂しくなりながら、送り出した。


「ラースさん、お供してもらってもいいですか?」

「はい、喜んで。どこに行かれるのでしょうか?」

「暇だしこの前借りていた本も読み終わったので書庫に行きたいんです。
今日は来客いない予定でしたよね?」


漸く外部の家庭教師さんになれたので、来客がない場合は出歩けるようになったのだ。
あ、もちろんお外は絶対無理だよ?
謎の声のせいで余計無理になっちゃった...
話戻すけど
朝、リコスが来客が何時台に来るか伝えに来てくれるのだ。
なるべく予定を入れないようにしてくれているが、父様が宰相の座についてる為仕方なく来客が訪れる場合があるのだ。
その時はお部屋に引きこもり。


「えぇ、そうお聞きしました。」

「では、今日は書庫で過ごしたいです」

「かしこまりました。体調はどうです?」

「今日は大丈夫だったよ、熱も平熱より低めだったし体調悪くなったら言いますね。」

「はい、くれぐれも無理をなさらぬように」

「うん、ありがとう!」







そこから、僕は無心で本を読んでいた。
結構好きなんだよね、時間を気にせず本を読み続けるの。
今丁度、絵本を卒業して難しい本に手を出し始めていて、家庭教師さんにも「上を目指せますよ!」と言われていたのでとても嬉しくて楽しいのだ。
ラースさんにお昼ご飯の時間を言われるまで気づかなかった。
あまりお腹がすいていなかったので、小さめのサンドイッチの軽食をもらった。

そして、また本を読み続けた。
いつもお昼寝をするのだが、今日は我儘言って無しにしてもらった。
夜ご飯まで起きていられるかな?






またまたラースさんに声をかけられた。
兄様達の鬼の鍛錬が終わったらしい。
僕は読んでいた本を借りて直ぐに書庫を出た。


「重いでしょう?持ちますよ」

「あぁ、ありがとう!」


分厚い本を借りてしまった僕はラースさんのお言葉に甘えて本を持ってもらった。

急ぎたいけど、ずっと座ってたのでお尻が痛い...
クッション入れてもらってたのになぁ...

そんな僕を見て、ラースさんが


「失礼します」


と一言。
さっと僕を抱えあげた。
片手に本を片手に僕を。
ちょっと面白い光景かもしれない。

兄様達が休憩してる部屋に向かう。


「兄様っ!!!」


僕はドアを開けてもらい、兄様達に駆け寄る。


「ランス!!」


メル兄様が駆け寄ってハグしてくれる。


「今日は何してたの?」


と聞かれたので、


「あのねあのね、いっぱい本を読んだんだよ!!」

「そっかぁ!楽しかったか?」

「うんっ!!」


あれ、そういえば...?


「ねぇねぇ、ヴィンス兄様とフラン兄様は?」

「あぁ、フランは今シャワーに行ってるよ、
兄様はお客様の相手をしているよ」

「お...お客様?」


えぇぇ...聞いてないよ?
お部屋に今すぐ帰りたい...
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